
NVIDIAは4月4日、esports Style UENO(東京都台東区)でリアルイベント「NVIDIA Gamer Day 2026」を開催した。
このイベントは、同社の最新GPU「GeForce RTX 50」シリーズの魅力を伝え、その進化を体験してもらうために実施されたもので、主要なPCメーカーの同シリーズ搭載ゲーミングPCが多数展示された他、複数のステージイベントが行われた。
この記事では、同社の澤井理紀氏(テクニカルマーケティング マネージャー)によるスペシャルプレゼンテーションを中心に、本イベントの模様をお伝えする。
●「DLSS 4.5」でゲーミング体験が飛躍的に向上
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2001年、NVIDIAはプログラマブルシェーダーに対応するGPU(グラフィックスチップ)として「GeForce 3」シリーズをリリースした。これは、現在のNVIDIA製GPUにおける「CUDA(Computer Unified Device Architecture)」の“礎”となった製品で、2026年はその登場から四半世紀(25年)という記念すべき年だ。
澤井氏は「GeForce 3が登場し、それがCUDAプラットフォームの基礎となり、(現在の)AIのビッグバンを生み出した。今では、そのAIが(ゲームの)グラフィックスを変革させている」と語り、GeForce RTX 50シリーズとDLSS 4.5の解説を始めた。
DLSS 4.5について、詳しくはリリース時の記事を参照してもらいたいが、プレゼンテーション内では、前バージョンの「DLSS 4」からの進化が強調されていた。
新モデルによる超解像処理の品質改善
DLSS 4.5では、DLSSの核心である「超解像(アップスケール)」処理の品質が大きく向上した。超解像処理は、低い解像度の映像を高解像度にするというもので、描画時のGPU負荷を下げつつ、高解像度でゲームを楽しめるというメリットがある。
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超解像処理の品質改善は、画像全体の関係性を理解するAIモデル「トランスフォーマーモデル」が第2世代に進化したことによるものだ。第2世代は、計算量が先代の約5倍という大規模なAIモデルとなったが、GeForce RTX 40/50シリーズはFP8(8bit浮動小数点演算)に対応しているため、大規模なAIモデルでも高速に処理を行えるのだ。
従来のDLSS 4では、画像のちらつきを抑えるために情報を圧縮して処理していたため、舞い上がる火の粉や火花、雪の粒子といった細かなパーティクルの光の弱まりや繊細なディテールの消失が生じていた。
しかし、DLSS 4.5ではAIモデルの大規模化により、情報を圧縮することなく安定性を保てるようになった。その結果、パーティクルやエッジ部分を正確に描き出し、動きの鮮明さが劇的に向上し、真の“超高解像度”表示を行えるようになったという。
マルチフレーム生成の進化
DLSS 4では、GeForce RTX 50シリーズにおいて「マルチフレーム生成」に対応した。1枚のオリジナルフレームに対して、最大3枚の補間フレームをAIで生成することでフレームレート(1秒当たりの表示コマ数)を最大で4倍にするというものだ。
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DLSS 4.5では、これがさらに強化されて「6倍マルチフレーム生成」となった。生成できる補間フレームが最大5枚となり、リフレッシュレートを最大6倍にできる。加えて、目標フレームレートに応じて“動的に”2〜5枚の補間フレームを生成する「ダイナミックマルチフレーム生成」にも対応している。
ダイナミックマルチフレーム生成は、例えるなら自動車のオートマチックトランスミッションのようなものだ。負荷の高いシーンでは、「シフトアップ」することで補間フレームを増やしてなめらかに表示する。逆に、負荷の軽いシーンでは「シフトダウン」して補間フレームを減らす。要するに、フレームレートと応答性の最適なバランスを効率的に保てるのだ。
プレゼンテーションでは「Cyberpunk 2077」を用いたデモが披露された。高負荷な「パストレーシング」を有効にした場合、DLSSオフ時の平均約30fpsから、DLSS 4.5の6倍マルチフレーム生成を有効にすると平均300fps以上と10倍に跳ね上がった。
なお、現時点では第2世代のトランスフォーマーモデルと6倍マルチフレーム生成/ダイナミックマルチフレーム生成は「NVIDIA App」のβ版で利用できる(正式な製品版ソフトウェアには未実装)。
新しいトランスフォーマーモデルを試したい場合は、β版NVIDIA Appの「DLSSオーバーライド機能」から「第2世代トランスフォーマーモデル」を適用する必要がある。
DLSS 4.5は、情報を圧縮して画質が犠牲になるという前バージョンの課題を克服し、高画質と圧倒的な流動性を両立させるものなのだ。今後リリースされる大作ゲームに順次搭載される予定だ。
●小規模言語モデルを活用するゲームアプリも快適に
プレゼンテーションでは、GeForce RTXの処理能力を活用した「NVIDIA ACE」というAI技術についても触れられた。
NVIDIA ACEは、小規模言語モデル(SLM)を使うことで、ゲーム内のNPC(ノンプレイヤーキャラクター)に“内なる考え”を生成できるという技術だ。これにより、人間のプレイヤーはNPCに自然言語で指示を出したり、作戦を一緒に立てたり、会話を楽しんだりできる。
また、NVIDIA ACEでは、チュートリアルがあっても全体を理解しづらいようなゲームをプレイ中に、「なぜ今のような状況になっているのか?」「次に何をすれば良いのか?」といった質問をNPCにすると、現在の状況を理解して文脈に沿った、しかもそのキャラクターらしいアドバイスを提供するといった活用も可能だという。
澤井氏は、NVIDIA ACEをゲーム内でうまく使えば「(ゲームに)新規参入するハードルを下げ、定着率のアップにつながるだろう」と語る。
今回、NVIDIA ACEの活用例として「Total War:Pharaoh」(Creative Assembly)が紹介された。このタイトルでは、チャットボックスに自然言語で「自軍の戦力」「現時点での戦況」「どのように強化すれば勝機をつかめるか?」といった質問を投げかけることができる。
質問をすると、AIアドバイザーがテキストで回答していたのだが、それが適切で「賢いな」と思ってしまった。
●「G-SYNC Pulsar」対応ディスプレイがついに日本上陸
プレゼンテーションの最後に紹介されたのは、「G-SYNC Pulsar」対応ディスプレイだ。これについては、別の記事でも詳しく紹介している。
これまで、映像をなめらかにする「可変リフレッシュレート(VRR)」と、動きの鮮明さに欠かせない「モーションブラー低減」は排他的にしか利用できなかった。しかし、G-SYNC Pulsarではこれらを両立できるという点が技術的なポイントとなる。
プレゼンテーションでは、FPS(一人称視点シューティング)ゲームと、ストラテジーゲームでのデモ動画が表示された。
従来のディスプレイでFPSゲームをプレイすると、たとえリフレッシュレートが360Hz対応であっても動きの速いシーンで映像にボケが生じてしまっていた。それに対して、G-SYNC Pulsar対応ディスプレイでは、ぼやけのない鮮明な映像を得ることができる。
一方で、細かなオブジェクトの多いストラテジーゲームでは、仮想カメラを大きく動かしても構造物やユニットの繊細な部分まではっきり表示できる。
澤井氏は、最後に次のように述べてプレゼンテーションを締めくくった。
NVIDIAは、ゲーミング、AI、ディスプレイを進化させている。AIはグラフィックスだけでなく、ゲームプレイにおけるインタラクションも強化しようとしている。また、PC上で言語モデルや画像生成モデルなどが快適に動作するような働きもしている。
ゲームプレイ、開発、日常のPC利用まであらゆる体験を変化させるものとなっている。これからもその進化をリードしていくので、今後の展開に期待してほしい。
●主要PCメーカーが“自信作”のゲーミングノートPCを披露
今回のイベントでは、主要なPCメーカーがGeForce RTX 50シリーズを搭載したゲーミングノートPCを展示していた。ざっと見ていこう。
マウスコンピューター
マウスコンピューターでは、国内で唯一である水冷ノートPC「G TUNE H6-I9G90BK-C」と、ベイパーチャンバーによる高効率冷却が可能な「G TUNE W4-I7G50BK-A」を展示していた。
水冷式のG TUNE H6-I9G90BK-Cでは、DLSS 4.5を用いて、「ディスプレイのリフレッシュレートは300Hzが上限だが、(スペック的には)それ以上のフレームレートを出すことができる。外付け水冷ボックスにより、内部を冷やせるので、これだけの処理をしても安定している」と語った。
サードウェーブ
サードウェーブでは、GALLERIAブランドで展開するゲーミングノートPC「GALLERIA XL7R-R56-6A」と「GALLERIA RL7C-R55-5N」を展示していた。
「全てとは言えないものの、押さえておきたいゲームタイトルを快適にプレイでき、かつ機動性の高いものを選んで持ってきた」とのことだった。
他社が40万円〜70万円という価格設定のゲーミングノートPCを持ってきているところ、GALLERIA XL7R-R56-6Aは20万9000円ほど、GALLERIA RL7C-R55-5Nは25万円を切る価格設定なので、「これからゲームを始めたい」「ゲームをするかもしれないけれど、普段使いもしたい」という人に最適だと感じた。
ASUS JAPAN
ASUSブースでは、「ROG Zephyrus G14 GA403WR」と「ROG Strix SCAR 16 G635LX」を展示していた。
ROG Zephyrus G14 GA403WRは14型で、ゲーミングノートPCとしては主張の控えめなデザインかつ、約1.57kgで持ち運びしやすい。スピーカーを6基搭載しており、音の良さが自慢だ。小さくてもファンを3基搭載しており、本体内部を冷却する。
ROG Strix SCAR 16 G635LXはGeForce RTX 5090 Laptop GPUを搭載したROGシリーズ最上級モデルだ。それなりに高価なのだが、担当者いわく「モンハンを快適にプレイできる上、物理ボタンでファンのモードを変えられるので、さまざまなゲームに対応する」とのことだ。
裏ぶたを簡単に外すことができるのも魅力で、メモリの他、ユーザーによるストレージ(SSD)の増設も行える。「裏ぶたを開けることで保証対象外になることはないのか?」と気になって質問したのだが、「(メモリやSSDは)デフォルトで搭載していたものに戻してもらえれば、保証対象製品として修理を受け付けられる」という。
GIGABYTE
「元々基板屋(マザーボードメーカー)だったので、NVIDIA Gamer Dayには力を入れて、最新機種を用意している」と語るのはGIGABYTE(日本ギガバイト)の担当者だ。
「AORUS MASTER 16 BZHC6JPE64SP」は、GeForce RTX 5090 Laptop GPUを搭載しており、最大230WのTDP(熱設計電力)に対応する設計となっている。「AERO X16 1VH93JP893AH」は、持ち運びに適したスリムなGeForce RTX 5060 Laptop GPU搭載ゲーミングノートPCだ。
「NVIDIA Blackwell Max-Qの賢いAI機能のおかげで、電源を抜くと自動的に内蔵GPUモードに、接続すると独立GPUモードになり、長時間駆動を実現する。外で作業するときなどに、このスリムさでも6〜8時間ほど作業してもらうことができる。いいとこ取りをした機種だ」と説明してくれた。
レノボ・ジャパン
レノボ・ジャパンブースでは、GeForce RTX 50 Laptop GPUシリーズのAI処理能力を活用した「NVIDIA Broadcast」の展示を行っていた。これは、オンライン会議などで人物と背景を分離して、人物のみを相手側に表示するという既存の技術を強化したものだ。
例えば、お互いにバーチャル背景を設定したオンライン会議でPCの向こうにいる人が、「これを見てもらいたいんですが」と書類などをカメラにかざすと、人も書類も消えてバーチャル背景のみが表示されて何も分からなかったということがあるだろう。
しかし、NVIDIA BroadcastとLenovoの技術を組み合わせることで、人物が手にしているモノも“映すべきもの”と認識され、モノがバーチャル背景に代替されるということを防げる。さらに、Lenovoによる独自チューニングで、距離を測定して、範囲外の人物の映り込みを避けることができる。オンラインの向こう側にいる人の気を散らすことなく、会議を続行できるというわけだ。
レノボは2017年、「Legion(レギオン)」ブランドでゲーミングPCに参入し、現在ではハンドヘルドゲーミングPCなども展開している。「イベント3回目にしてNVIDIA Gamer Dayに初参加を決めたのは、レノボのゲーミングPCブランドとしての認知度を高めたいから。高性能なAI処理の行えるNVIDIAのGPUと弊社のシステム開発力の強みを生かした製品があることを、ぜひ知ってもらいたい」と担当者は意気込んでいた。
MSIや日本エイサー、LEVEL∞(レベルインフィニティ)なども出展
その他、MSI(エムエスアイコンピュータージャパン)は「Stealth A16 AI+ A3HW」を、日本エイサーは「PREDATOR HELIOS NEO 16S AI」と「PREDATOR TRITON 14 AI」を、ユニットコムはiiyama LEVEL∞ブランドの「LEVEL-16WR172-U7-UKSX」と「LEVEL-15WR174-U7-TKPX」を展示していた。
リリース前のゲームを、最新GPUを搭載したゲーミングノートPCで体験できる貴重な機会に、雨の降る寒い日であったが多くの参加者が訪れていたのが印象的であった。
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