子宮頸がんのない未来への壁「日本の検診受診率43.6%」
早期に発見できれば90%以上治すことが可能といわれる子宮頸がんの主な原因はヒトパピローマウイルス(HPV)への感染であることが分かっています。
「子宮の日」(4月9日)を直前に控えた2026年4月8日、NPO法人子宮頸がんを考える市民の会と診断薬・医療機器メーカーのロシュ・ダイアグノスティックスは、子宮頸がんの予防と検診の重要性を周知する目的で、合同記者会見を開きました。日本の検診受診率は43.6%にとどまっており1)、世界保健機関(WHO)が掲げる70%という目標に対して未だ大きな乖離があるのが現実です。
検診に行かない最大の理由は「なんとなく」。知識不足という背景
同社が、全国の30歳以上の女性を対象に実施した子宮頸がん検診に関する意識調査から2)、未受診層が抱える心理的・物理的障壁が明らかになりました。

子宮頸がんを考える市民の会理事長の今野良先生
(ロシュ社提供)
直近2年以内に検診を受けていない方に理由を聞いたところ、「恥ずかしい」や「痛みへの不安」といった心理的ハードルではなく、「特に理由はない(なんとなく)」という回答が4割以上を占めて最多でした。次いで多かった理由が「忙しくて時間が取れなかった」(11.9%)という時間的な制約です。
しかし、なんとなく検診を受けていない方も決して無関心なわけではなく、未受診者の7割以上が「定期的な検診が必要」であることを認識しています。
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子宮頸がんを考える市民の会理事長の今野良先生(自治医科大学名誉教授)は、実際の行動に移せない背景には圧倒的な知識不足があると指摘します。
2025年の調査では3)、日本の女性で学校教育において子宮頸がんについて学んだ経験がある割合はわずか14%にとどまりました。
今野先生は、「この教育の空白が、『自分には関係ない』『症状が出てからでいい』という誤解を生み、受診率向上の最大の足かせとなっている。初期段階で見つければ約95%が治る一方で、進行してからでは生存率が約22%まで急落するという事実を、もっと自分事として捉えてもらう必要がある」と訴えます。
「5年に1回」の新しいHPV検査が、未受診者の背中を押す
では、どうすれば受診のきっかけを作ることができるのでしょうか。その解決策として期待されているのが、2024年度から一部の自治体で導入が始まっているHPV検査単独法です。
今野先生は「従来の自治体検診は細胞診が中心(感度約70%)で、2年に1回の受診が基本。これに対し、HPV検査は原因ウイルスの有無を直接調べるため感度が95%と非常に高く、精密検査不要の場合は受診間隔が5年に1回に延びるメリットがある」と強調します。
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今回の調査では2)、「5年に1回」という新しい選択肢が提示された際、未受診だった方の約4割が「受けてみようと思う気持ちが強くなる」と前向きな回答を示しました。特に、「なんとなく」や「忙しさ」を理由に直近3〜5年受診を遠ざけていた層では、約6割が前向きな姿勢を見せています。5年間隔というスケジュールの立てやすさと高い精度による安心感が、現代女性の背中を押す強力な後押しとなっているようです。
さらに今野先生は、「新しい検診方法の普及とHPVワクチンの両輪を回すことで、子宮頸がんのない未来を日本でも創っていける」と述べています。現在、東京都23区において、女子と同様に男子への無料接種も行われています。男性の接種は自身の中咽頭がんなどを防ぐだけでなく、パートナーへの感染を防ぎ、社会全体の「集団免疫」を形成することに直結します。
調査結果によると2)、受診を促す最大のきっかけは「市町村からの無料クーポンや案内状」でした。自治体から届く案内状の確認は、子宮頸がん予防に向けた第一歩となり得ます。
また、手軽に正しい知識を身につけるための新たな取り組みとして、子宮頸がんを考える市民の会は、スマートフォンなどから無料で受けられる「子宮頸がん予防検定(初級)」をスタートさせました。正しい知識を得て、新しい検診の選択肢を知ることは、自身の健康管理について見つめ直すきっかけになるでしょう。(QLife編集部)
1)国立がん研究センター がん情報サービス がん検診受診率(国民生活基礎調査による推計値)(2026年4月15日閲覧) [https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/screening/screening.html] 2)ロシュ・ダイアグノスティックス「子宮頸がん検診に関する意識調査」(2026年4月15日閲覧) [https://www.roche-diagnostics.jp/media/releases/2026-4-8] 3)ロシュ・ダイアグノスティックス「女性の健康管理に関する APAC 8 カ国・地域の意識調査」(2026年4月15日閲覧) [https://www.roche-diagnostics.jp/media/releases/2025-4-7]
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