
国会で熱を帯び始めている憲法改正の議論。高市総理は自民党大会で「時は来た」と語り、その実現に強い意欲を示している。その高市氏が22年前に書いた「憲法改正のススメ」などとする論文がある。そこには「『国民はどうあるべきか』を冒頭に示す」「日本国民は国防の義務を負う」「有事の際、私権一部制限に協力する」などと具体的な改正案が記されていた。高市氏の憲法の考え方が浮かび上がる。
【写真を見る】「憲法改正のススメ」などとする高市氏の論文(2004年)
「国民の権利を制限、国防の義務」22年前の改憲論文高市氏は、総理に就任する4か月前の憲法審査会でこう発言していた。
高市総理(2025年6月)
「2012年の4月27日の自民党の憲法草案、これは策定に私も参加をいたしました。それがベストだと思っております」
2012年の「憲法改正草案」は自民党が野党時代につくったもので、「国防軍」の保持や緊急事態条項が盛り込まれていた。
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高市氏の憲法改正への考えは、20年以上前からたびたび表れる。憲法前文については…
高市議員(2000年9月 衆院・憲法調査会)
「『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した』と、この非常におめでたい一文を、もし改憲の機会があれば真っ先に変えようと思っている」
2004年に発行された雑誌「ディフェンス」。当時、落選中だった高市氏が書いた「憲法改正のススメ」などとする論文が掲載されている。
この中で高市氏は、今の憲法はGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の関与を受けて制定されているとした上で…
高市氏の論文(2004年)
「独立した主権国家の国民としてのプライドにかけて『日本の心と言葉を持った憲法』へと書き直すべきだと思っている」
「まず、前文には、目指すべき国家像を書き込む。『国家はどうあるべきか』『国民はどうあるべきか』を冒頭に示すのだ」
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そして9条に該当する部分として…
高市氏の論文(2004年)
「日本国は自衛の為の戦力(国防軍)を持てる」
「日本国民は、国防の義務を負う。有事の際(中略)私権の一部制限に協力する」
憲法学者の木村草太氏はこう見る。
東京都立大学 木村草太教授
「国防の義務という非常に抽象的な義務を設定してしまうと、国防という名目を立てればあらゆる権利・自由を制限してよいのだという意味合いになるわけですね。それこそ徴兵の義務とかそういうことも言えるかと思います」
また、高市氏の改憲論文では、大規模テロや自然災害など「非常事態」に対応するための条文を新設し、「『内閣総理大臣への権力集中』や『国民の自由や権利の制限』を書くべきだろう」としている。
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東京都立大学 木村草太 教授
「国家権力は非常に強い力で支えられている。放置すると国民の権利や自由がどんどん奪われていくので、国民の権利・自由を奪ってはならないと規範を設定し、権力を制限するのが憲法」
「高市さんの文章の中で、自分の憲法では国民の権利をもっと制限しやすくするのだということが書かれていますので、国民の権利を政府が制限しやすいのが理想な国家だとおっしゃっている」
高市氏はこの憲法改正論文を含め、様々なテーマについての考えなどを自身のホームページのコラムで綴ってきた。
2025年11月には、こう強調していた。
高市総理(2025年11月 参院・予算委員会)
「私はあえて、自分の政治家としての歩み、私の進歩も含めて見ていただこうと思って、過去のコラムも、そして撤回したようなものも含めて全て掲載を続けております」
しかし2026年2月、選挙前の消費税減税を「悲願」だとする発言を過去のコラムから検証する記事が配信されると、“コラムが削除されている”とSNSで話題になった。
なぜ削除したのか、国会でも追及された。
中道改革連合 小川淳也 代表(2026年2月 衆院・本会議)
「過去の言動は、政治家としての一貫性や責任を検証する素材として重要な資料です。(コラム削除の)事実関係と理由の説明を求めます」
これに対し高市総理は…
高市総理(2026年2月)
「総理になってからコラムを書く時間もなく、ずっと更新できていなかったこともあり、コラム欄は削除しました」
コラム欄ごと削除されたあの「憲法改正のススメ」を今、読み解く意義について木村教授は…
東京都立大学 木村草太 教授
「憲法というのは長期的に考えていくべき問題ですから、むしろ昔のことであっても、一度提案したものについては、今もそのように考えていると思われるのは当然のこと。もしも撤回したのであれば、それは何でなのかとか、問われ続ける文章ではないか」
高市氏に現在の考えについて問い合わせると、次のような回答が届いた。
高市事務所の回答
「内閣総理大臣としては、憲法審査会や各党各会派における御議論を尊重する立場から、改正内容について具体的に考えを述べることは差し控えますが、憲法審査会における党派を超えた建設的な議論が加速するとともに、国民の皆様の間での積極的な議論が深まっていくことを期待しています。また、自由民主党総裁としては、国民投票による憲法改正の早期実現に向け、党の総力を挙げて着実に議論を前進させていく考えです」
