元博報堂が明かす「刺さるコンセプト」の作り方 ヒットを生む“たった3つの法則”

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2026年05月28日 07:10  ITmedia ビジネスオンライン

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写真はイメージ(提供:ゲッティイメージズ)

 「カフェインレスコーヒー」「雲のようなスニーカー」「老いを美しさに」――これらは“コンセプトが勝利”した例だ。売れるモノには秀逸なコンセプトがある。例えば、人気サービスの民泊プラットフォーム「Airbnb」(エアビーアンドビー)は「暮らすように旅をする」というコンセプトを掲げて成功した。


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 こうした、多くの人の目を引き付けるキャッチーなコンセプトには「つくり型」がある。元博報堂のクリエイティブディレクター・篠崎友徳氏(※「崎」は「たつさき」)は「強いひとことコンセプトは、価値がスピーディーに伝わり、相手に要点を理解させる」と言う。同氏が執筆した書籍『世界はコンセプトでできている』から、ひとことコンセプトのつくり型を3つ紹介する。


●世界はコンセプトでできている


 「好評だったプレゼン」「売れている商品」「成功したビジネス」――こうした成果の裏側にあるのが「優れたコンセプト」だ。篠崎氏による書籍『世界はコンセプトでできている』(かんき出版)は、5年間で売り上げ100億円を超えた商品の開発に携わった著者が、コンセプトの役割や作り方を解説している。


 本記事は、同書に掲載された内容に、かんき出版による加筆と、ITmedia ビジネスオンラインによる編集を加えて転載している(無断転載禁止)。


●「刺さるコンセプト」の作り方 ヒットを生む“たった3つの法則”


 ひとことコンセプトのつくり型、1つ目は「新基準型」のコンセプト。新しい評価基準、物差しを作ることで常識を変える言葉のつくり型です。


 基本形は「従来の基準」より「別の評価基準」。


 作り方は、従来の基準の部分に「一般的な評価基準」を入れ、「別の評価基準」の部分に一般的な評価基準と対比構造になるような別の評価基準を入れるだけ。物事の価値を測る「物差し」を変えるイメージです。


 これにより「AよりもB」という対比構造を浮かび上がらせ、従来の価値観との差を明確にすることで、インパクトを生み出します。


 例えば「『買う満足』よりも『借りる楽しさ』」というコンセプトは、この新基準型のコンセプトです。


 一般的な評価基準として「普通はものを買う。満足感につながるし、残しておける」というものがあります。


 それに対して「ものを借りることは、手軽にいろいろと体験できるから、買うより楽しい」という視点を、このコンセプトは提示しています。


 このような「今あるAよりも、これからはBがいいよ」という提案を通じて、買うよりもレンタルの方が手軽に体験できるという新基準が生まれています。言わずもがな、これは現在「レンタルサブスク」として、広く普及していますね。


 新基準型のコンセプトには、他にも以下のようなものがあります。


○美容クリニックのコンセプト


完璧なスタイルよりも、その人らしさを尊重する方が良いという新基準。→「完璧」よりも「個性」がうつくしい


○家具のコンセプト


富裕層向けの高級なものよりも、大衆のブランドを目指すという明確な価値基準の転換。→「いいもの」より「ちょうどいいもの」がいい


○自動車のコンセプト


性能よりも理念を強調。自社の技術が持つ意味を社会的価値に結び付けた新基準。→「機能」よりも「愛」から生まれる技術力


○ハンドメイド商品のコンセプト


効率よりもぬくもりを伝えることを新基準に。→「機械でつくる」よりも「手でつくる」方が伝わる


 このように「AよりもB」と対比構造で見せることは、強力なコンセプトの代表的なパターンになります。


●相手を思う「奉仕型」のコンセプトとは?


 2つ目は「奉仕型」のコンセプト。相手のために尽くす印象を与える言葉のつくり型です。


 基本形は「相手」のための「相手を思う価値」。


 作り方は、まず相手の部分に「幸せにしたい相手」を入れます。相手とありますが、ヒト・モノ・コトなど、対象はさまざまです。


 次に相手を思う価値の部分に「相手を思いやる価値を持ったもの」を入れます。幸せにしたい対象の「ための(ために)」という言い方で、心に深く刺さる新しい価値を表現します。


 例えば「『都会人』のための『植物レンタル』」というコンセプトは、奉仕型のコンセプトです。


 ここで「幸せにしたい相手」となっているのは「都会人」です。


 ただ「都会人」といってもいろいろな人がいますよね。今回、イメージしているのは「都会は便利だけど、忙しくて疲れる」といった不満を抱えて、都会の騒がしさの中で暮らしている人です。


 そんな人を思って届けたい価値とはどんなものか――。>ここでは「本来、都会にはない植物が手軽に届く仕組みを作って、いやしを提供したい」という視点を提示しています。


 このように幸せにしたい相手を具体的にイメージして生まれた価値の提案は、刺さるコンセプトになっていることが多いのです。


 奉仕型のコンセプトには、他にも以下のようなものがあります。


○クラウドファンディングのコンセプト


誰かの夢のため、資金を誰でも集められるという価値を提供。→「思いのある人」のために「資金調達を身近に」


○育児支援アプリのコンセプト


子育て家庭のため、モノではなく感情を支えるという価値を提供。→「育児で不安なママとパパ」のために「つながる時間を」


○生活用品レンタルサービスのコンセプト


利益ではなく使命のため、世の中のために働く姿勢を強調。→「地球」のために「買わない選択」を


○アロマフレグランスのコンセプト


さまざまな理由で眠れない人のため、心地よさという価値を提供。→「眠れない夜」のために「香りをデザインする」


 このように「幸せにしたい相手と、その相手を思って生まれた価値をセットで見せる」ことは、強力なコンセプトの代表的なパターンになります。


●常識の破壊を価値に変える「再構築型」


 3つ目は「再構築型」のコンセプト。既存の常識を一度破壊してから再度積み上げる言葉のつくり型です。


 基本形は「常識を無視した言葉」×「一般的な価値」。


 作り方は、まず後半の一般的な価値の部分にそのまま「一般的に価値あるもの」を入れます。その後に、その一般的な価値とは無関係な「常識を超えた動詞・名詞」を、常識を無視した言葉の部分に入れます。


 ポイントは「全く無関係」ということ。正反対でもなく、関連性がない方が、斬新さが出ます。意外性が強く、インパクトが大きくなるので、話題になりやすい構造です。


 例えば「飲む日焼け止め」というコンセプトは、再構築型のコンセプトです。


 ここでは、最初に「日焼け止め」という価値を置いています。その後に、この「日焼け止め」という価値と全く関係のない「常識を無視した動詞・名詞」を考えます。


 いろいろなアイデアが考えられますが、ここでは「日焼け止めは、体に塗るもの」という常識を無視して「飲む」という動詞を組み合わせて「飲むだけで効く日焼け止め」という視点が生まれました。


 これは「体に塗る手間をかけずに、サプリメントのように飲むだけで効く」という、全く新しい価値を提案するものになっています。


 このように、再構築型のコンセプトによって、体に塗るはずの日焼け止めを口から飲む、という斬新なコンセプトが生まれます。


 再構築型のコンセプトには、他にも以下のようなものがあります。


○飲食チェーンのコンセプト


フォークで食べるはずのパスタを、箸で食べる店。和の世界観で大人気に。→「箸で食べるパスタ店」


○アートのコンセプト


慎重に扱うはずのアート作品を、オークション中に破壊する。逆に価値が上がる。→「シュレッダーで破壊する絵画」


○イベントのコンセプト


混雑するイメージの花火大会を、静かに味わう大人の時間に。→「静かな花火大会」


 このように、すでにある価値について「こうであるはず」という常識を外した視点を組み合わせると、強力なコンセプトの代表的なパターンになります。



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