20万人の会員がいても口コミは増えなかった ドモホルンリンクルが変えたこと

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2026年06月04日 08:20  ITmedia ビジネスオンライン

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化粧品ブランドなのにファンフェス?

 2024年に誕生50周年を迎えた、再春館製薬所(熊本県上益城町)の化粧品ブランド「ドモホルンリンクル」。日本で初めてコラーゲンを配合した基礎化粧品で、会員数は約20万人、リピート率は94%(※)に上るという。


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(※)2022年4月実績/3回以上購入者のリピート率/ドモホルンリンクル8点対象。


 そんな同ブランドでは、2024年10月からファンコミュニティー「ドモコミュ」を始動。現在のメンバー数は1400人を超え、専用サイトや交流イベントなどで活発なコミュニケーションが交わされているという。


 再春館製薬所 ドモホルンリンクル事業部 マネージャーの田中真希氏は「安心してドモ活(ドモホルンリンクルの推し活)ができる場として、熱量の高いお客さまがたくさん参加されています」と語る。


 ドモ活では、愛用している商品の感想を投稿し合ったり、イベントで“推し社員”との交流を楽しんだり、ファン同士でおすすめの使い方を語り合ったりする姿も見られるという。その熱量は、さまざまなところで垣間見られている。


 2025年4月に、熊本県にある再春館製薬所の本社で初開催したファンフェスタには、全国や海外から約1000人のファンが集結。また、2025年度のドモホルンリンクル関連のSNS上の口コミは、前年比で約10倍になった。購入意欲にも直結しており、メンバーの年間購入額は、ドモコミュに属していない会員と比較して1.1〜2.6倍(ランクにより変動)になっているという。


 ドモホルンリンクルでは、どのようにファンコミュニティーを運営し、成果につなげているのか。田中氏に「ドモコミュの戦略と反響」を聞いた。


●会員20万人でも「口コミ」が少なかった


 漢方の考え方に基づいた化粧品ブランドとして、1974年に誕生した「ドモホルンリンクル」。今の肌悩みへの対処だけでなく、「そもそも肌悩みを生まない肌」に導くことを目指し、8点のワンライン処方(バラバラに作られた化粧品を組み合わせるのではなく、最初からセットで使うことを前提に設計されたスキンケア)というアプローチを取っている。


 「基本の4点」に加え、それらが届きやすい肌環境へ導く「準備3点」と「日中ケア1点」というシンプルなラインアップだ。化粧品ブランドに多い「毛穴ケア用」「乾燥肌用」といった悩み別の製品は作っていない。


 エイジングケアのアプローチゆえ、主な顧客は40〜50代の女性だ。リピート率は最高で94%となり、現在も高い水準を維持している。


 「ドモホルンリンクルでは、『お客さまを裏切らないモノづくり』を大切にしてきました。3〜4年おきに最新の研究を取り入れたリニューアルを実施していて、価格を維持しながら品質を磨き上げています。また、当社では『お客さまプリーザー』と呼ばれる担当者が、一人一人に合わせたご提案を行います。お客さまプリーザーは一人当たり、年間約4000人の対応をしています」


 顧客との付き合いは深く、田中氏も「田中さんは、私以上に私の肌を分かってくれる」という言葉をもらったことがあるという。しかし、多くの人に愛されているブランドながら、口コミは増えなかった。なぜだろうと顧客にヒアリングすると、こんな答えが返ってきたという。


●「顧客同士が出会う場」を作った


 「ドモホルンリンクル大好きよ。だけどね、いいお値段だから、ドモホルンリンクルを使っていると言うと、マウントを取っていると思われちゃいそうで。あとは、エイジングケアに一生懸命な人だと思われないか心配で……」


 ドモホルンリンクルの化粧品は1点5500円〜となり、基本の4点をそろえると3万6300円と高額だ。40代を超えると、自分なりのこだわりで化粧品を選ぶ人が増えるため、安易に化粧品を勧められないという。さらに「周りにドモホルンリンクルを使っている人も、あんまりいないみたいだし」という言葉も聞かれた。


 「お客さまが知らないだけで、実はドモホルンリンクルを使っている方は多くいます。それなら、お客さま同士が出会う場を作ろうと考えました」


 まずは、以前から取り組んでいる、スキンケアの方法を実践で紹介する「お手当講習会」を「交流会」に変えて、顧客同士が交流するきっかけを作った。すると、狙い通り「お肌キレイね。何年使ってるの?」「〇〇がおすすめよ」といった会話が生まれた。


 そのつながりをリアルの場だけでなく、オンラインでも作る狙いでファンコミュニティーに着手。まずは、トライアルとして2023年秋からLINEのオープンチャットを開始した。同サービスは、LINEの友だちになっていなくても、トークや情報のキャッチができる。


 そこで、「イベントではありがとう」といったやり取りが行われている様子を見て、2024年10月に本格的なファンコミュニティーの運営に踏み切った。ツールは、コミューン(東京都品川区)が提供するファンコミュニティー専用ツール「Commune(コミューン)」を選んだ。


 実は、ドモホルンリンクルでは、過去にもファンコミュニティーの運営をした歴史がある。1度目は、ドモ愛が深いメンバー同士で、「私が正しい」「いや、私のほうが正しい」とオンライン上で言い合いが始まり、介入が難しくなってクローズした。


 2度目は、キャンペーンをフックにして多くのメンバーが集まったが、顧客同士の交流が起こらなかった。社員からイベントやキャンペーンなどの発信がないと交流が生まれず、コミュニティーとしての機能を果たさない場になってしまったという。


●過去2回の失敗を得て、変えたこと


 過去2回の失敗の経緯を聞いていた田中氏は、コミュニティー運営にあたり「一緒に推し活を楽しむ」という方針を掲げた。そして、まずは共に盛り上げてくれる立ち上げメンバーを探すために、顧客に会いに行くことにした。これは、コミューンからの助言だったという。


 「交流会などに参加されていたロイヤルカスタマーの中から、他のお客さまの話をしっかり聞きつつ、ご自身の意見も述べられる方をピックアップして、全国に会いに行きました。対面でお話しする中で、『ぜひ一緒にやりたい』と言ってくださり、こちらとしても『ぜひお願いしたい』という方が8名見つかり、その方々をファーストクルー(初期メンバー)としてコミュニティーを開始しました」


 さらに「運営体制」も変えた。以前、顧客同士の言い合いが生まれた際は、社員の立場での介入が難しくクローズしてしまった。そこで、コミュニティーを健全に運営するための管理者の役割をコミューンに依頼し、商品や企業の思いを伝える役割を社員が担うようにすみ分けた。


 それからは、交流会やSNSなどでコミュニティーの参加を促すなどして、徐々にメンバーを増やしていった。交流会では「ドモコミュおもしろいから、ぜひ入って」と自ら参加を勧めてくれるメンバーもいる。さらに、共にブランドを成長させるアンバサダーも募集し、第1期の7人が活動中だ。


 ドモコミュの様子を見ると、毎日活発に投稿がされており、投稿に対するリアクションも盛り上がっていた。絵文字が相当数あり、これはメンバーのリクエストによって誕生したものだという。


 「ドモコミュは、ドモホルンリンクルや再春館製薬所の理念や商品が好きな方が交流する場なので、あくまで趣旨に沿った活動をお願いしています。また、他人への攻撃や誹謗中傷をしないこともルールにしています。現在、本格開始から1年半ほど経過したところですが、『安心して推し活ができる』という感想が多く聞かれています」


 2025年4月には、熊本県の本社で大規模なリアルイベント「ドモホルンリンクル ファンフェスタ」を初開催した。熊本という立地柄、不安はあったというが、ドモコミュのメンバーをはじめ、全国各地や海外から約1000人が集まった。


●熊本に1000人が集結、ファンが喜んだことは?


 同イベントでは、工場・オフィス見学やワークショップ、社員との交流企画など、“ドモホルンリンクルの世界観”を体験できるプログラムを実施した。開催にあたっては、招待状の代わりに「おそろいの水色のスカーフ」を送った。


 当日、参加者はスカーフを首に巻いたり、カバンに付けたり、髪飾りにしたりして訪れた。すると、空港に降り立った際、他の人が付けている水色のスカーフが目に入り、「あなたもファンフェスタに行くの?」と思わず話しかける人も。


 「会場に到着するころには、すでにお友だちになっていて、一緒に見学されていた方もいましたね。ドモコミュでは、開催前から『参加します』というコメントがたくさん見られて、台湾からの参加者もいました。友だち同士やご家族での参加も多かったですね」


 同イベントでは「テニスコート16面分ある広い敷地内を歩きたい」「社員食堂のメニューを食べたい」といったドモコミュメンバーの声も反映。さらに、工場やオフィスの見学に加え、アロマディフューザー(香りを部屋に広げる芳香器)を作るワークショップなど、自社を知ってもらい、ファンとの絆をより深められる内容とした。


 さまざまなプログラムを用意したが、参加者の満足度を最も押し上げたのは「社員のホスピタリティ」だったという。


 「アンケートでは、『社員さんのホスピタリティに感動した』という声が最多でした。どこに行っても笑顔で迎えてくれたと。また、総合受付には『社員の〇〇さんに会いたい』という方がひっきりなしに訪れました。当社では、社員がお客さま宛に手書きで手紙を書くことが多く、それを書いた本人に直接会いたいという方がとても多かったんです」


 田中氏自身も「マッキーさん」と愛称で呼ばれるなど、ファンとの交流を重ねているという。今年も10月24日に、熊本本社にて「再春館 ファンフェスタ」を開催予定だ。


●企業がファンコミュニティーを開設する3つの理由


 再春館製薬所では、ドモコミュの運営を着実に成果につなげている。メンバーの年間購入額は、非メンバーと比較して1.1〜2.6倍、SNS上の口コミは約10倍になった。口コミは全てがドモコミュの成果ではないが、公式のお知らせに真っ先に反応するのはドモコミュメンバーであり、熱量が高い投稿の多くはドモコミュメンバーによるものだという。


 「順調に運営できているのは、お互いが顔を合わせる接点を作っていることが一番の要因かもしれません。社員もメンバー同士も会ったことがある、あるいはそのうち会えるかもしれないという間柄で、互いを尊重する姿勢が自然と生まれています。ファーストクルーの方たちが、新メンバーに真っ先にあいさつをしてくださるなど、仲間に入りやすい雰囲気も醸成されています」


 再春館製薬所では、現在のコミュニティーの状態を維持しながら、メンバーを1万人規模に増やしていきたい考えだ。


 近年は、同社に限らずファンコミュニティーに熱を入れる企業が増えている。そこには、どんな狙いがあるのか。コミューンの広報担当者は、こう答えた。


 「企業の狙いは主に3つで、『ファンとつながって、声を拾いながら熱量を広げたい』『顧客と一緒に製品開発などの共創をしたい』『カスタマーサクセスを加速したい』となります。それぞれアプローチが異なり、適切に運営することで成果につながりやすくなります」


 ファンコミュニティーがうまく機能すると、販促費をかけずに商品が売れる、解約率が下がるといった実利も見込めるという。「ファンコミュニティーは心理的安全性が高く、『安心して好きなものを推せる』が大きなモチベーションになっています」(広報担当者)


 野村総合研究所の推計では、推し活をする人は約2600万人に上るという。若年層だけでなく中高年も熱中していて、インテージの調査では、高齢になるほど物価高や円安に影響されずに消費する傾向も見られた。熱量の高いファンがもたらす効果は、着実に表れている。


(小林香織、フリーランスライター)



このニュースに関するつぶやき

  • そういえば小さい頃から知ってるけどシワ対策系の商品だった気がする。長くてすっ飛ばして流し見。スカーフのアイデアは良いね�ؤ�OK ところでこれ書いてる人、高校の同級生じゃないよな。
    • イイネ!1
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