王者キスが初日連勝発進も、逆襲のハーン親子が1-2達成で応戦「たった1回の機会を仕留められた」/ETRC開幕戦

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2026年06月04日 15:00  AUTOSPORT web

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最高出力1200PS、最大トルクは6000Nmを誇る、総重量5tのトレーラーヘッドたちが覇権を争うETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップの2026年シーズンが開幕
 最高出力1200PS、最大トルクは6000Nmを誇る、総重量5tのトレーラーヘッドたちが覇権を争うETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップの2026年シーズンが開幕。イタリア・ミサノで5月30〜31日に開催された今季最初の週末4ヒートは、シリーズ“7冠”王者ノルベルト・キス(レヴェス・レーシング/MAN)が初日連勝からの3勝を挙げることに。しかし日曜レース3では“帝王”ヨッヘン・ハーン(チーム・ハーン・レーシング/IVECO)が一矢報いる勝利を挙げ、息子のルーカス・ハーン(チーム・ハーン・レーシング/IVECO)とともに1-2フィニッシュを飾っている。

 今季も全7戦に16名のドライバーが参戦するETRCは、この2026年よりFIA国際自動車連盟がシリーズ運営を完全に掌握。持続可能素材の採用率を60%まで高め、市販のリプレイスタイヤに再生/リトレッドが可能なワンメイクタイヤをグッドイヤーが供給し、同じくフランスのトタルエナジーズは100%バイオ燃料を投入。さらに公式ペーストラックとして電動『S-eWay』を導入するイタリアのIVECO(イヴェコ)などが引き続きシリーズパートナーを務める。

 欧州を襲う記録的熱波の影響を受け、灼熱のコンディションで始まったレースウイークは、予選から王座防衛と前人未到8度目の戴冠を目座すチャンピオンが、幸先よく“指定席”を確保した。

「フィーリングはとても良いし、順位にも満足しているが、セッション自体は少し奇妙だった」と、経験年数の少ない若手対象の“クローム”登録ドライバーであるルーカス・ハーンに対し、大差をつける0.749秒速いタイムでポールポジションを奪ったキス。

「最後のセクションで路面が非常に滑りやすくなり、ラップタイムがかなり遅くなった。ポールタイムはプラクティスよりも1周あたり1秒ほど遅かったからね。どのコーナーも滑りやすく、無理にプッシュしようとするとグリップが全く得られなかったから、少しペースを落とさざるを得なかったよ」

 迎えた土曜の初戦ではペナルティマーカー違反で複数のドライバーが処分を受け、シリーズの紅一点として奮闘するシュティフィ・ハルム(チーム・シュヴァーベン・トラック/IVECO)も3位でチェッカーを受けながら14位に降格。ルーカス・ハーンとサシャ・レンツ(SLトラックスポーツ30/MAN)を抑えたポールシッターが快勝し、続くトップ8リバースのレース2でも、怒涛のチャージを見せた王者が8番手発進から駆け上がり、アントニオ・アルバセテ(Tスポーツ・ベルナウ/MAN)とホセ・エドゥアルド・ロドリゲス(ロボコノート・レーシング・トラックチーム/MAN)を従えチェッカーフラッグを受けた。

「レース1は良いスタートを切ることができ、後方のマシン同士がバトルを始めたことでお互いのペースが落ち、すぐに差が開いた」と連勝のキス。「レース2では前方で激しいバトルが繰り広げられていたから、非常にエキサイティングだったね。すぐに4番手に浮上し、少しずつアタックを仕掛けてミスを誘ったら、ポジションを上げて追い抜くのに充分なチャンスが得られた。チームの素晴らしい仕事ぶりに感謝し、今日のレース結果にとても満足している」

 明けた日曜も予選でキスが最速タイムを刻むと、その背後にはシリーズ6度のタイトル獲得経験を誇る“帝王”ヨッヘンが肉薄。レース3に向けフロントロウ直接対決の構図を整える。

「昨日のフリー走行では本当に大きなトラブルに見舞われたが、今日は変更を加えて、一歩前進できたと感じている」と手応えを口にしたヨッヘン・ハーン。「キスの後ろについていける自信は充分あるし、そのスピードも可能性もあると思っている。今日の“ヨッヘン”がまさに本来の姿で、皆のためにレースを盛り上げていきたいね」

 その闘志溢れる言葉どおり、スタートからコース幅を一杯まで使った横並びの攻防を繰り広げた2台は、ターン5でわずかに接触。この序盤の接触で右リアタイヤを損傷したキスはペースが鈍ると、アルバセテが2番手に浮上。しかし3周目のターン9でブレーキトラブルとみられる挙動でコースオフし、ポジションを引き継いだルーカス・ハーンを従え、ハーン親子が約3年ぶりの1-2フィニッシュを飾った。

「ノルベルト(・キス)がたった1回ミスをした瞬間『今がチャンスだ』と思って仕掛けたんだ。完璧な走りだった。何よりもまず、ルーカスと一緒に表彰台に立てたことを誇りに思う。彼に勝つには最初のコーナーでしか勝てない。彼がミスをしたから、オーバーテイクできた。それだけだ。その後は完全にコントロールできていたよ」

 同じく息子のルーカスも「父と一緒に表彰台に立てて、父が1位、僕が2位というのは最高だ」と開幕戦表彰台を喜ぶ。「僕自身の次のレースはニュルブルクリンクになるだろうが、父の7度目のタイトル獲得を願っているので、この結果に満足している」

 一方で、このパンクにより星を落とした格好のキスは、続く最終レース4で圧巻のリベンジを披露。6位フィニッシュにより2列目3番手発進から、オープニングラップで早くも首位浮上に成功し、そのままレンツとレネ・ラインアート(ラインアート・レーシング/IVECO)を破り、週末4戦3勝を挙げてみせた。

「レース3はパンクで多くのポイントを失ってしまったので残念だったが、それ以外はすべて勝利できたので、全体的には良い週末だった。新型トラックは速く、シーズンの好スタートを切れたことを本当にうれしく思っている」とキス。

 この最終ヒート中にInstagram(インスタグラム)を通じたファン投票で54%の票を獲得したキスは、選手権で初めて授与されるグッドイヤー・ウィングフット・アワードも受賞した。

「投票してくださったファンの皆様に感謝したい。ファンの皆や、グッドイヤーからこの賞をいただけて本当に光栄だし、非常に名誉ある賞だ。この賞は非常に権威のあるシリーズで授与されているものだし、トラックレースにも導入されたことが本当にうれしい。こうしてトラックレース史上初の受賞者になれたことを、本当に光栄に思っている」

 これでキスとヨッヘンが4ポイント差で終えたミサノを経て、FIA ETRCの第2戦は6月6〜7日にスロバキア・リンクで争われる。

[オートスポーツweb 2026年06月04日]

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