サンティゴ・ウルティア(ジーリー・シアン・レーシング/ジーリー・プリフェイスTCR)が歴史的“週末スイープ”で3連勝を飾ってみせた スペインのヴァレンシアにて、TCRスペインとの併催ラウンドとして実施された2026年のFIA TCRワールドツアー第2戦は、今季より新型『プリフェイスTCR』を投入するGeely Cyan Racing(ジーリー・シアン・レーシング)が席巻する展開に。
王者ヤン・エルラシェール(ジーリー・シアン・レーシング/ジーリー・プリフェイスTCR)が予選ポールポジションを射止めると、決勝では同僚のサンティゴ・ウルティアが文字どおり無敵の強さを披露。歴史的“週末スイープ”で3連勝を飾ってみせた。
本来なら両シリーズ総計で30台近いプレエントリーを集めていた6月13〜14日の週末だが、レースウイークを目前にしてホンダ陣営から欠場のアナウンスがあり、エステバン・グエリエリ(GOATレーシング/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)とビクター・フェルナンデス(RC2レーシング/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)が出場を見合わせることに。
とくに、長く世界戦を舞台に戦ってきたグエリエリは今季開幕戦のミサノで7位を2回獲得していたものの、所属チームがヴァレンシアへの遠征を取りやめたために、残念ながらドライブの機会を逸することとなった。
これで総勢26台の勝負となった週末は、金曜のテストからそのホンダ陣営が先行。マイク・ハルダー(ALMモータースポーツ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)の最速を皮切りに、ヴィクトル・アンダーソン(モンラウ・モータースポーツ/クプラ・レオンVZ TCR)を挟んで、今季は兄弟スポットのプログラムで参戦するジミー・クレーレ(ALMモータースポーツ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)がFP2で最速タイムを刻んでみせた。
しかし予選に入るとその勢力図は一変。本来の実力を温存していたかのように新型ジーリー・プリフェイスが躍進し、ディフェンディングチャンピオンが陣営内1-2-3を牽引する完璧なアタックで、同ブランド初のポールポジションを射止めた。
「僕らの側では良いパッケージができていたと思うし、チームは本当に素晴らしい仕事をしてくれた」と、僚友テッド・ビョークとウルティアを僅差で抑え、満足げな表情を浮かべたエルラシェール。「開幕戦の後、新型モデルの状態が万全であることを確認するべく、彼らは連日に及んで長時間の作業をこなしてきた。信頼性を確認すべく、すべてを分解して再構築する必要があったが、それは予選のセッションでも同じ。クルマがどれだけ反応するか、温度の変化にどう対応できるかなど、一歩ずつ確認していくしかないんだ」
そのまま土曜に迎えたレース1では、ポールシッターに受難の展開が待ち受け、スタートからのターン1でビョークからの激しいプレッシャーを受けたエルラシェールが、タイヤスタックに接触寸前でコースアウト。なんとか復帰したものの、ここでミケル・アズコナ(BRCレーシング/ヒョンデ・エラントラN EV TCR)に首位を奪われてしまう。
そのまま追走する吉利汽車(ジーリー)軍団をジリジリと引き離したアズコナに対し、さらなる悲運がシアン・レーシングを襲い、11周目には開幕戦で最初の勝利を挙げていたマ・キンファがリタイア。その5周後には、なんとチャンピオンの車両にもトラブルが発生し、追走集団はウルティアとビョークの2台のみとなる。
すると今度はアズコナにまさかの不運が訪れ、20周目の終わりに右フロントタイヤのパンクでピットへ。生き残った2台がオーレリアン・コンテ(SPコンペティション/クプラ・レオンVZ TCR)を従え、週末最初の1-2を手にした。
「チームにも、そして自分自身にも、とてもうれしい勝利だ。最後に勝ってからずいぶんと時間が経ったからね」と勝者ウルティア。「レースでは運も必要だが、同時にそこにいることも重要だ。メカニックとエンジニアにも感謝している。僕にとっては良い1日だった。まだ選手権は始まったばかり、明日以降もこの調子で頑張り続けたいね」
これで2023年以来続いていた勝利の空白期間にも終止符を打ったウルティアは、明けた日曜も勢いを維持。この日もアズコナや、TCRヨーロッパ王者のジェンソン・ブリックリー(ALMモータースポーツ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)が終盤にマシントラブルでリタイアを余儀なくされたことで、レース2はコンテやノルベルト・ミケリス(BRCレーシング/ヒョンデ・エラントラN EV TCR)とポディウムをシェア。最終ヒートでは、ふたたびビョークとの1-2フィニッシュを決めてみせた。
「終盤のためにタイヤを温存していたが、ブリックリーにトラブルが発生し、チャンスが巡ってきた」とレース2のチェッカー後に語っていたウルティア。「良いクルマだと分かっていたから、良い結果を期待していた。スタートでレースを制したと思うし、その後もペースをコントロールできた。レース3では良いスタートを切る必要があったし、とてもプレッシャーを感じていた。レースウイークエンドに故郷(ウルグアイ)から遠く離れてひとりでいると、なかなか良い結果が出ないこともあるけれど、今回は父が来てくれて3レースすべてで優勝できたから、本当に素晴らしく誇らしい気分だ」
同じくTCRスペインの権利を持っていたヴィクトル・アンダーソン(モンラウ・モータースポーツ/クプラ・レオンVZ TCR)は、その対象ヒートとなるレース1とレース2に続き、シリーズ賞典外のレース3でも好成績を収め、週末のETSゲストスター・トロフィーを完全制覇。続くFIA TCRワールドツアー第3戦は、7月3〜5日にフランスのポールリカールで争われる。
[オートスポーツweb 2026年06月15日]