大谷翔平「悪夢の12分間」で防御率が大幅悪化…防御率1点台でもサイ・ヤング賞が厳しいワケ

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2026年06月19日 16:20  日刊SPA!

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「Los Angeles Dodgers」公式Xポストより引用
 大谷翔平が開幕から2か月以上にわたって維持していた防御率0点台。今月11日(日本時間)の登板で自責点3を献上したことで、今季初めて1点台に突入していた。
◆防御率はわずか12分で0.5近くも悪化…

 そして迎えた18日のレイズ戦。大谷はいつも通り、中6日で先発マウンドに上がると、4回までは無失点の好投を見せた。ところが5回にレイズ打線につかまり、一挙4失点。それでも崩れず、6回は無失点で締めると、味方打線の援護と救援陣の奮闘もあって、今季7勝目を手にした。

 試合開始時は1.06だった防御率は、4回を終えた時点で1.00に下がっていた。5回はあとアウト2つ取れば再び0点台に突入していたが、大谷は連打を浴び、あっという間に4失点(自責点4)。この時点で防御率は1.49まで大きく跳ね上がった。

 試合開始から1時間以上かけて1.06を1.00とした防御率は、わずか12分ほどの間に0.5近くも悪化。今季の大谷としては最も苦しいマウンドとなったものの、勝ち星が転がり込んできたのは今後に向けても収穫になっただろう。

◆サイ・ヤング賞争いで評価されるために必要なこと

 結局、試合終了時点の防御率は1.47で着地。再び防御率0点台に戻すには長期間の無失点投球が必要となる。現実的には、防御率1点台前半を維持しながら勝ち星と投球回数を積み上げていく戦いになりそうだ。

 サイ・ヤング賞争いで有力候補として評価されるためには、まず規定投球回数到達が一つの大きな目標となる。それを実現するためには、シーズン最後までローテーションを守り、毎試合6〜7イニング、時には8イニングを投げ切ることも必要になるだろう。

 オールスター休みを挟んで、ドジャースはローテーションを再編する可能性が高く、そこで大谷は数イニング上積みできる見込みはあるが、やはりハードルは低くない。

◆投球回数だけでは足りない「サイ・ヤング賞の壁」

 ただ、仮に大谷が最終的に規定投球回数に達して、防御率1.50前後の数字を残したとしても、サイ・ヤング賞の受賞はかなり厳しいのが現実だ。

 その最大の理由が、今季のナ・リーグは好投手がそろっているからである。15勝&防御率0点台なら大谷にも可能性がありそうだが、逆にいえば、それくらいインパクトのある成績を残さない限り、栄えある賞はライバルの手中に収まりそうだ。

 その筆頭格が、ブルワーズのジェーコブ・ミジオロウスキーである。

 2年目のミジオロウスキーは、現在のサイ・ヤング賞争いで最も存在感を放っている。ここまで14試合に投げ、8勝2敗、防御率1.34、被打率.140、131奪三振という圧倒的な数字を残しており、ブルワーズのエース候補だった右腕は、今や球界最高峰の投手へと駆け上がろうとしている。

 特に圧巻だったのは前回のフィリーズ戦。強力打線を相手に序盤から三振の山を築き、与えた走者は4回にカイル・シュワーバーが放った単打1本のみ。しかもその回は併殺を打たせて3人で切り抜けたため、いわゆる準完全試合を達成した。

 このままケガなくシーズンを完走すれば、間違いなくサイ・ヤング賞争いの大本命となるだろう。

◆大谷に必要なのは「エースとしてのボリューム」

 そして投手・大谷にとってのライバルはミジオロウスキーだけではない。クリストファー・サンチェス(フィリーズ)は8勝3敗、防御率1.93をマーク。6月に入ってからやや勢いを失っているが、もし現時点で投票が行われれば、幾つかの1位票が入ってもおかしくない。

 他には、今季防御率が2.85と本来の実力からすればやや物足りない数字にとどまっているポール・スキーンズ(パイレーツ)も、今後巻き返してくることは必至。さらにチームメートの山本由伸も、ライバル勢に負けず劣らずの投球を披露している。まさに、今季のナ・リーグは好投手が目白押しという状況だ。

 近年のサイ・ヤング賞投票は、防御率や勝利数、投球回数、奪三振、さらにはWARなど総合的な貢献度が評価される。そのため、防御率1点台前半という数字だけでは決定打になりにくい。

 仮に大谷が今後も好投を続け、防御率1.50前後でシーズンを終えたとしても、規定投球回数ぎりぎりの到達では投票者の評価が割れる可能性がある。一方で160〜170イニングを投げ、15勝前後を積み上げることができれば少し話は変わってくるだろう。

 つまり大谷に必要なのは、防御率を守ることではなく、エースとしての「ボリューム」を証明することである。

◆二刀流でどこまでサイ・ヤング賞に迫れるか

 直近2試合だけで防御率が0.74から1.47へ大きく悪化した大谷。防御率0点台という快進撃は止まったが、それで物語が終わるわけではない。むしろ二刀流の真価が問われるのはここからだ。

 投手専念の他のエースたちとは違い、大谷は打者としてもフル稼働を続けながら数字を積み上げなければならない。二刀流という前例のない挑戦の中で、どこまでライバル投手たちに迫れるのか。サイ・ヤング賞への挑戦は、むしろここからが本番である。

文/八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。

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