
19日に起きた小学校での火災。炎や煙がせまる中、子どもたちが教室の外の「ひさし」に避難しました。避難の状況から見えてきた、今後の「教訓」と安全な避難のポイントを専門家に詳しく聞いていきます。
【写真で見る】避難訓練で使ったことはある?「“斜降式”救助袋」の仕組み
火災 「黒い煙を吸った」児童が語る当時の状況高柳光希キャスター:
19日に東京・北区の小学校で起きた火災。けが人は出ましたが、幸いにも全員が避難できました。
ここからは元東京消防庁・麻布消防署長の坂口隆夫さんに、今回の火事を教訓として、さらなる安全な避難のポイントを伺っていきます。
まず、火元の近くにいた児童たちは、窓の外の「ひさし」に出て避難しました。その決断に至るまでの経緯を振り返ります。
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当時、4階の音楽室にいたのは女性教員と小学5年の児童24人。その隣が、火元となった音楽準備室です。
教員が焦げ臭さに気づいて廊下に出ましたが、この時点では具体的な火元や状況の特定に至らなかったためか、音楽室に戻りました。
その後、火災報知器のベルを聞いて駆けつけた男性教員が消火器を使いましたが、火を消すことはできませんでした。
煙が廊下に充満していたことから、校舎内の移動を断念。児童を1人ずつ、窓からひさしへ避難させたということです。
音楽室にいた児童
「廊下も煙でダメだから、窓から出ようということになって。先生の声やみんなの動く音を聞いて、僕はそっちへ行きました」
ひさしに避難した児童
「みんな口にタオルをあてながら、後ろのところでダンゴムシのポーズをして自分の命を守っていた」
音楽室にいた児童
「このタオルで(煙を)吸わないようにしていたんですけど、1回はずして黒い煙を吸ってしまって。(タオルは)水色と白だったけど、黒くなってしまった」
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自力で窓からひさしへ降りようとした男子児童が、2階の屋根に転落し左腕を骨折。女性教員も、骨盤を骨折するけがをしています。
「ひさし」へ避難するまでに何が起きた?高柳キャスター:
改めて、避難までの流れを整理します。音楽室があったのは4階の廊下を進んだ先、一番奥の部分です。火災が起きたときは音楽の授業中でした。
【「ひさし」へ避難するまでに何が起きた?】
※東京・北区の会見や捜査関係者への取材をもとに
▼授業を行っていた教員が焦げ臭さに気付き廊下に出るも、火災に気付かなかったか
▼非常ベルで駆け付けた別の教員が「音楽準備室」の火の手を確認
▼消火器で消火を試みるも“激しく燃えていた”ということで断念
▼「救助袋」を使おうとしたが上手く使用できず
▼廊下は煙が充満していたため、階段移動を断念
→窓から外に出て「ひさし」へ避難・救助を待つ
今回は安全に避難をするという点で、どういったところに注目をしていけばよかったのでしょうか。
元東京消防庁・麻布消防署長 坂口隆夫さん:
まず、教員が焦げ臭いと感じた時から、消火・避難まである程度の時間があったと思います。なので、初動の対応をもう少し早くできたのではないかと思います。
そうなると、正規の階段から避難誘導することも、場合によっては可能だったのではないかと思います。
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山形純菜キャスター:
火の手を確認できなくても、“焦げ臭い”という段階で避難してよかったということですか。
元東京消防庁・麻布消防署長 坂口隆夫さん:
今回の場合は男性教員と女性教員の2名いたので、分担してできると思います。男性教員が初期消火にあたっている時点で、すでに火の手が上がっていたと考えられます。
その際、もう一人の教員に避難誘導の指示をすれば、避難できたのではないかと思います。教員間の連携に問題があったのか、今後しっかりと検証していく必要があると考えます。
井上貴博キャスター:
教員としても少し焦げ臭い、でもすぐ行かずという点は難しいところがあったのかなと思います。
ただ、それにしても、あそこまで速く燃え、勢いが強かったことには本当に驚きました。何か、燃えやすいものが現場にあったのではないかと思ってしまうほどの速さと大きさでした。これはどのような要因が考えられますか。
元東京消防庁・麻布消防署長 坂口隆夫さん:
私は、準備室には燃えやすいものが多量に保管されていたのではないかと推測します。
また、音楽の準備室ですから、防音材も使われていて、それが燃えやすい材質であれば、非常に延焼が速くなるという可能性はあると思います。
高柳キャスター:
私も19日の火災当日、現場に行って実際に児童の皆さんに取材させていただきました。
小学1年生の児童は「お兄ちゃんたちが(訓練ではなくて)本当の火事だと教えてくれた」と話していました。また、音楽室にいた小学5年生の児童は「みんな口にタオルをあてながらダンゴムシポーズをして自分の命を守った」と話していました。
小学校でも中学校でも避難訓練は定期的に実施しており、火災があった滝野川第三小学校でも毎月、避難訓練を実施していました。
その中でも▼「お・か・し・も」(おさない/かけない/しゃべらない/もどらない)の約束や、▼口をふさいで避難することなどを確認していたようです。
滝野川第三小学校の高草木校長も「あのような状況でも、担任の指示で子どもたちは速やかに避難・待機できた」と話しています。
こういった訓練の重要性は改めて感じますね。
タレント・子育てインフルエンサー 木下ゆーきさん:
今回は、避難できるようなひさしがあったことが本当に不幸中の幸いでしたよね。日頃から月1回、避難訓練をしていたということも本当に徹底していると思いましたし、避難訓練をしていたからこそ、こういう緊急事態に子どもたちも適切な行動を取れたと思います。
中学生くらいになると、避難訓練を少し適当にやってしまう子も出てくると思いますが、だからこそ日頃の訓練がどれだけ大切かということを、改めて家族で話し合わなければいけないと思いました。
高柳キャスター:
坂口さんは今回の火災を通して、今後の教訓にしていくべき課題も見えてきたといいます。
【小学校火災 “今後の教訓”は】(元東京消防庁・麻布消防署長 坂口隆夫さんによると)
▼火災発生時の状況に近い訓練
→防火扉・防火シャッターが閉まった状態で訓練をしているか
(開いているところしか見たことがないと、閉まったときに出てくる“くぐり戸”の存在を知らないケースがある)
▼避難器具を使う訓練
やはり、実際の火災を想定した訓練を行う必要があるということです。
井上キャスター:
訓練の時も防火扉・防火シャッターを下ろして訓練することや、扉が閉まっていてもそこから抜けることはできるのでしょうか。
元東京消防庁・麻布消防署長 坂口隆夫さん:
できます。シャッターの場合には隣にくぐり戸があり、防火扉の場合には扉の真ん中にくぐり戸があります。
高柳キャスター:
そこに加えて、避難器具を使う訓練も重要です。滝野川第三小学校には“斜降式”というタイプの救助袋がありましたが、どういった使い方をすればいいのでしょうか。
【“斜降式”救助袋の使い方】
※最低2人必要(地上にいる人も含め)
(1)ふたを開けてベルトを引き抜くと、中に大きな筒状の袋が入っている
(2)袋の本体や部品を地上へ下ろす
(3)安全に滑り降りることができるよう、下に固定をする
(4)正しく袋が設置できたか確認し、安全な姿勢をとって下に降りて避難する
井上キャスター:
作業量が結構多い気がしますが、慣れている方で何分ぐらいでできるのでしょうか?
元東京消防庁・麻布消防署長 坂口隆夫さん:
斜降式の救助袋は、最低でも上に1人・下に1人で2人必要なため、5分はかかると思います。
井上キャスター:
このような器具は基本的に、学校内に複数設置されているものと考えてよいのでしょうか。
元東京消防庁・麻布消防署長 坂口隆夫さん:
学校には生徒さんが大勢いるので、避難はしごなどではなく、救助袋が設置されています。救助袋なら、設置が終われば連続的に避難できます。
井上キャスター:
それも訓練でやっておかないとできないということですね。
元東京消防庁・麻布消防署長 坂口隆夫さん:
そういうことです。特に、消防法で定められている年2回の設備点検については、特定の教員だけが立ち会うのでは不十分だと思います。なるべく多くの教員が広く参加し、いざという時に全員が確実に器具を扱える体制を整えておく必要があると感じます。
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<プロフィール>
坂口隆夫さん
市民防災研究所 理事
元東京消防庁麻布消防署長
2016年の「新潟糸魚川大規模火災」などを調査
木下ゆーきさん
タレント・子育てインフルエンサー 3児の父
子育てモノマネ動画が人気 絵本「はぶらしロケット」出版
