
ASUSTeK Computer(ASUS)はもともと、革新的製品を投入するのに積極的なメーカーだが、同社のゲーミングPC「ROG」(Republic of Gamers)シリーズとなれば、その勢いはさらに加速する。本稿で取り上げる2画面ゲーミングノートPC「ROG Zephyrus Duo(2026)」(GX651)もそのうちの1つだ。
一般的なゲーマー、それもソロプレイヤーなら、ゲーミングノートPCの画面は1つで構わないという方が多い……というか、2画面を想像することすらしないだろう。
しかし、ゲームプレイ時にDiscordのようなコミュニケーションツールを操作するオンラインゲーマーや、ストリーマー(配信者)など、もう1つの画面を有効活用したいというニーズはある。
横に置いたタブレットやスマートフォンに表示させておく方法もあるが、「PCの中でシームレスに操作を完結させたい」という要望をゲーミングノートPC単体で実現するのが、今回のROG Zephyrus Duo(2026)というわけだ。
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非常にユニークな機構を備えており、またROG Zephyrusは極めて高価なシリーズだが、至高の1台としてゲーマーなら夢見る製品だろう。
●2画面ゲーミングノートPC、あなたはどう使う?
ASUSのゲーミングノートPCにはいくつかブランドがあるが、ROGは高性能ゲーミングノートPCブランドに位置付けられ、その中でもZephyrusシリーズは最上位、Duoは2画面モデルであることを示している。
ROG Zephyrus Duo(2026)は、2画面のディスプレイ部とキーボード部に分割されている。2画面ディスプレイは、ヒンジを中心に展開する仕組みだ。
最近見かけることが多い2画面モバイルディスプレイの形状にも似ている。手前の画面の裏にはキックスタンドがあり、それを引き出せば縦2画面として、画面を開いた状態で本体を90度倒せば、横2画面としても自立する。
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横2画面はWebブラウジングやプログラミング、テキスト入力などで便利なこともあると思われるが、ゲームプレイにおいて活躍するシーンは、特殊なタイトルを除いてあまりないかもしれない。
ディスプレイは270度を少し超えたところまで展開できる。2in1ノートPCのように360度とまではいかない。片側がキーボードではなく画面であることを考えれば、360度まで回転したとしても用途がないのは、容易に想像できるだろう。
いわゆるテントモードに近い状態までは展開できるが、筆者としてはゲーミングシーンでこの形状がどれほど有効なのかはイメージできなかった。新しいスタイルの製品なので、ユーザーが活用方法を模索していくといったところもあるかもしれない。
キーボードは厚さが約5.1mmとスリムだ。Bluetooth接続なのでワイヤレスキーボードとしてどこに置いても利用できる。あるいは手前側の画面上に置いてクラムシェルスタイルのゲーミングノートPCのようにも使える。この状態では本当に普通のゲーミングノートPCのように見える。
そして画面にキーボードを載せた状態でも画面を閉じられる。その点で、キーボードの収納に困ることはない。一方、キーボードを載せた状態でも画面を閉じられるということは、ヒンジ側にキーボード分のスペースがあることを意味している。
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つまり、キーボードなしで画面を閉じると、ヒンジ部分にスペースが生まれる。高価な製品なので雑に扱う方はいないと思うが、形状的に少し心もとなく感じるところだ。なお、キーボード裏にはマグネットがあり、手前の画面上に置けば正しい位置にカチっと固定される。入力中にズレるということは、よほどのことがないかぎりないだろう。
本体裏にはキックスタンドがあるが、必ずしも立てて使う必要はない。手前の画面を机の上にフラットに置いて、奥の画面のみ立ち上げて2画面とすることも可能だ。
机の上には奥行きが必要となるが、手前の画面でタッチ操作をするような場合は、このスタイルだと安定感が増して操作しやすかった。キックスタンドとは別に、緩やかな傾斜を作れる組み立て式スタンドも付属する。
普通の高さの机の場合、キックスタンドを使うとメイン画面が高い位置になるので、筆者としてはこちらの組み立て式スタンドが一番しっくりくる印象だった。
●ディスプレイパネルはOLED キーボードは見た目以上にしっかり
本機の特殊なスタイルを大まかに紹介できたところで、各部のスペックに移りたい。
まずはディスプレイだ。2画面ともに有機EL(OLED)パネルを採用しており、サイズは16型、解像度は2880×1800ピクセルとなっている。タッチ操作に対応しているが、アンチグレア処理が施されている点は珍しい。色域はDCI-P3 100%で、Pantone認証済みとなっている。ゲーミング向けの仕様としては、リフレッシュレート120Hz、応答速度0.2ms、G-Sync対応といったところが挙げられる。
キーボードはこのサイズであってもテンキーレスだ。なお、今回試した実機は英語配列だった。ゲーミングでは、日本語変換用の一部キーが不要なことも多く、英語キーボードをお使いの方もいるだろう。
そうした方ならすぐに慣れるものと思われる。非常に薄型のキーボードだが、安価なタブレットに付属するカバー兼用キーボードのようなペコペコ感はない。キーストロークは約1.7mmを確保しているので、キータッチも良好だ。見た目から想像するよりもしっかりとしたキーボードという印象で、巨大なタッチパッドも搭載している。
インタフェースは、ノートPCとして見れば十分だが、大型ゲーミングノートPCとして見るとやや少ないかもしれない。
というのも、このサイズ感のゲーミングノートPCでは有線LANポートを備えていることが多いためだ。本体の厚みはそれなりにあるが、2画面という構造上、有線LANポートのような高さのある端子を配置するスペースがない。
一方で、Thunderbolt 4を2基備えているので速度面に不満はない。USB 3.2 Gen 2も2基あるので、一般的なUSBデバイスも変換アダプターなしで接続可能だ。SDメモリーカードスロットも備えている。
電源には専用ACアダプターを利用する。高性能CPU/高性能GPUを搭載するため、このACアダプターは定格300Wが確保されている。サイズもいわゆるゲーミングノートPC用に付属する大型のものだ。
なお、あまり持ち運ぶ方はいないと思われるが、ROG Zephyrus Duo(2026)の重量は約2.82kgとなっている。手にすると重くは感じるが、見た目ほどではない。ただし、ACアダプターが実測711gなので、合わせれば約3.5kgを超える。必要があれば持ち運べるが、日常的に持ち運ぶのはつらいだろう。
●CPUもGPUも最上位グレード! メモリも潤沢ならストレージも高速/大容量
スペックを見ていこう。CPUはPanther Lake世代のCore Ultra 9 386H(16コア16スレッド)だ。同世代ではCore Ultra 9の他にCore Ultra X9がある。Xが付くモデルは統合GPUが強化版の「Arc B390」となるが、本製品のCore Ultra 9 386Hは通常版「Intel Graphics」にとどまる。
独立したディスクリートGPUを搭載しているため、統合GPUの性能はそこまで重視されないからだ。他にCore Ultra 9とCore Ultra X9で違いを見ていくと、Pコアの最大ブースト周波数は、Core Ultra X9が5GHzを超えるのに対し、Core Ultra 9 386Hは4.9GHzにとどまる。また、最大メモリサイズはCore Ultra X9が96GBであるのに対し、Core Ultra 9 386Hは128GBまで対応するといった違いがある。
ディスクリートGPUは今回の「GX651AX-U9R5090」の構成だとNVIDIA GeForce RTX 5090 Laptop GPUを搭載している。現時点でのGeForce RTX 50 Laptop GPUシリーズの最上位だ。
メモリはLPDDR5X-8533で、容量は64GBを搭載している。高速なLPDDR5Xを採用しており、ゲーミング用途では十分なメモリ容量だ。ただし拡張は不可とされている。クリエイティブ用途などで96GB、128GBを求めるようなニーズには対応できない。
ストレージはPCI Express 5.0 x4接続のNVMe対応M.2 SSDで、容量2TBを搭載している。実測でもシーケンシャルリードが毎秒13.9GB、同ライト毎秒10.33GB、ランダム4K Q1T1リードが毎秒82.93MB、同ライト毎秒166.21MBと高速だった。
●最新ゲームも最高画質で快適プレイできる
さて、ROG Zephyrus Duo(2026)のパフォーマンスをベンチマークで明らかにしていこう。まずはCPU性能から、CINEBENCH 2026のスコアを見よう。マルチスレッドのスコアは5004pts、シングルスレッドのスコアは515ptsで、いずれも高い数値だ。
次に試したのは3DMarkのCPU Profileだ。最大16スレッド対応のCPUなので、Max threadsと16 threadsはほぼ同じで、以降はスレッド数が小さいほどブーストが効きやすい(1スレッドあたりのスコアが高い)傾向にあるが、おおむね比例している。1スレッド時も1182ポイントとなかなかの高スコアだ。
アプリケーション性能を見るベンチマークのPCMark 10では、Extendedの総合スコア(Overall)が1万2669ポイントと、1万を超える高スコアだ。
内訳としてはホーム用途想定のEssentialsシナリオが9564ポイント、ビジネス用途想定のProductivityが1万9846ポイント、クリエイティブ用途想定のDigital Content Creationが1万3551ポイント、ゲーミングが2万7069ポイントといった具合だ。
比較的スコアが低めに出るEssentialsでもほぼ1万ポイントと、十分に高い。強力なdGPUが効くシナリオについてはより高くなる。ProductivityはGen 5世代の高速SSDも効いているのかもしれない。全方位で高い性能を誇るノートPCといえる。
3DMarkも高いスコアを記録した。ノートPC向けGPUという点で、デスクトップGPUと差はあるが、Speed WayやSteel Nomadといった高負荷のテストでも5000ポイント近くのスコアが得られている。
本製品のパネル解像度は4Kよりも低い2880×1800ピクセルということを考えれば、重めのタイトルが、ネイティブ解像度かつ高画質設定でも十分に実用的なフレームレートで動作すると予想できる。
ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー ベンチマークでは、ネイティブ解像度、最高品質でも98.12fpsと、十分に余裕のあるフレームレートだった。
サイバーパンク2077は、ネイティブ解像度の「レイトレーシング:ウルトラ」設定では60fpsを超えられなかったが、「レイトレーシング:中+フレーム生成2x」に設定することで89.17fpsを記録できた。
2560×1440ピクセル設定では、レイトレーシング:ウルトラでもギリギリ60fpsを超えている。
モンスターハンターワイルズ ベンチマークでは、ネイティブ解像度の指定ができなかったため、2560×1440ピクセル、ウルトラで計測したが、フレーム生成オン(2x)で107.8fpsを記録した。
プラグマタは、パストレーシングオンで計測した。フレーム生成も2xとした設定では、ネイティブ解像度で71.8fpsと、こちらも十分にプレイ可能なフレームレートが得られている。
最後にバイオハザード レクイエムだ。「高」設定でフレーム生成2xとしたところ、ネイティブ解像度で128.4fpsを記録しており、これも高画質設定で余裕のプレイが可能だ。
これらの結果から、本機はROG、それもZephyrusの名にふさわしい優れたゲーミング性能を示しているといえる。画質面で妥協を強いられることはめったにないだろう。CPUやGPUの性能は非常に高く、ノートPC向けの中ではグラフィックスメモリも豊富で、メインメモリも潤沢、ストレージも高速で至れり尽くせりだ。
●ROG Zephyrusだから実現した高い性能と妥協のない作り込み
ROG Zephyrus Duo(2026)は、ユニークなスタイルがまず目を引く。ゲーミングノートPCも十分に市民権を得ていると思われるが、その中でもより快適なゲーミングスタイルを模索している方への、1つの回答となるだろう。
本体のみでマルチディスプレイ環境を完結させつつ、ROG Zephyrusの名の通り、最上級のゲーミングスペックを体感できる。しかもいざとなったら持ち運べる。こうしたコンセプトはどこかにしわ寄せが出そうなものだが、本製品はキーボードを含め妥協がない。PCゲーマーなら、これを理想と夢見てよいと思う。
夢と書いたが、現実としてROG Zephyrus Duo(2026)は非常に高価だ。そのスペックから予想される価格ではあるが、昨今のメモリやストレージの高騰なども影響しており、今回試したGX651AX-U9R5090の直販価格は149万8800円となっている。
筆者がレビューした中には100万円を超えるPCもいくつかあったが、ここまで高価なコンシューマー向けPCは初めてだ。この金額をゲーミングPCに費やせる方は真のゲーマーといえる。
本機はオーソドックスなゲーミングノートPCではなく、新しいコンセプトのゲーミングノートPCだ。予算が許すのであれば、体験する価値は十分にあるだろう。
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