ボーダフォン、iPhone、Arm、OpenAI ソフトバンク「最強の相方」が導いた成長戦略

1

2026年07月09日 07:50  ITmedia ビジネスオンライン

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ITmedia ビジネスオンライン

ソフトバンクの最強の相方はどこか?

 先日、株式市場で衝撃的なニュースが発表されました。ソフトバンクグループが、トヨタ自動車を抜いて時価総額で1位になったのです(7月8日時点では4位)。この飛躍の裏にあるのは、ソフトバンクグループを率いる孫正義氏の「これからは○○だ」という一点突破の戦略と、その都度「最強の相方」を探し求めてきた歴史にあります。


【動画】ボーダフォン、iPhone、Arm、OpenAI ソフトバンク「最強の相方」が導いた成長戦略


 本記事では、同社がいかにして日本一に上り詰めたのか、そして次なる野望は何かを読み解いていきます。


本記事は、アイティメディアが運営する動画メディア「TechLIVE」で公開した動画『【SBGの野望】なぜ時価総額でトヨタを超えたのか?奇跡の大化け「Arm」と歴代の相方/純利益5兆円の裏の巨額借金【ITmedia ニュース解説 】#48』を基に作成しています。記事の内容は2026年7月3日公開当時のものです。


●駅前での「モデム配布」から始まったソフトバンク


 大昔のソフトバンクといえば、「Yahoo BB」というブランド名で、駅前でADSL(電話線を利用したインターネット通信方式)のインターネットモデム(PCなどをインターネット回線に接続するための機器)を無料で配っていました。


 今でこそ通信関連のイメージが強い同社ですが、もともとはさまざまなソフトウェアを銀行のように幅広く取りそろえて販売していたことから、「ソフトバンク」という社名が付けられたという背景があります。


 そこから単なるソフトウェア販売にとどまらず、現在のような巨大企業へと成長を遂げた同社の成長の源泉は、孫氏が毎回「これからは○○だ」と言い出し、そこに資金などを全振りすることにあります。そして、その時代ごとに最強の相方を求め、昔は企業を買収し、今は投資を繰り返すことで成長してきました


 モデム配布の次は「これからはモバイルだ」と宣言し、ボーダフォンを買収してソフトバンクテレコムを設立し、モバイル通信の世界へ参入。さらに「これからはiPhoneだ」と、米Appleと強力なタッグを組んだことで、現在のソフトバンクの根幹であるモバイル通信事業のイメージを確固たるものにしました。


●チップ企業の「Arm」に全振りしたが……


 次なる狙いは「IoT(モノのインターネット)市場」でした。孫氏はモノがインターネットにつながるためにはバッテリー持ちの良いデバイスが不可欠であると考えます。そこで、消費電力の少ないチップ設計に長けた、英国企業「Arm(アーム)」に狙いを定めます。Armは、作成した設計図をAppleやAndroidのスマートフォンメーカーなどに売るビジネスモデルを持っており、同氏はこの会社に資金などのリソースを全振りしました。


 しかし、ソフトバンクは投資の失敗も少なくありません。WeWorkなどへの投資が大失敗し、深刻な資金難に陥ったこともありました。キャッシュが底を突き、「Armを売って資金を調達するか」というギリギリの決断を迫られるところまで追い詰められたのです。


 実際、ArmをNVIDIAへ約4.3兆円で売却する話を進め、手を結ぶ直前まで行きました。しかし、米国政府や英国政府、さらには中国政府からも「待った」がかかりました。独占禁止法上の懸念から他のITビッグベンダーも反対したため、泣く泣く売却を断念します。


 そこからソフトバンクは、なんとか資金を調達して窮地をしのいだ後に、Armを米国市場に再上場させました。現在、ArmはAIの波に乗り大成功を収めています。


●現在の最強の相方「OpenAI」と、巨額のAIインフラ投資


 では、現在ソフトバンクはどの領域に目を向けて、どんな最強の相方とタッグを組んでいるのでしょうか。もちろん、それはAI市場であり、相方はChatGPTを運営する「OpenAI」です。


 ソフトバンクは将来を見据え、けた違いのAIインフラ投資も進めています。同社はフランスに約14兆円をかけてAIデータセンターを作ると発表したほか、日本国内でも北海道の苫小牧や大阪の堺に大規模なデータセンター投資を行っています。


 AIを動かすには、膨大な電力が必要です。フランスに建設予定のデータセンターは「5GW級」と言われており、これは「日本の1000世帯が1年間で消費する電力」に相当する規模です。


 また、堺のデータセンターの横には、次世代のバッテリー工場を作る計画も進んでいます。そこでは「亜鉛ハロゲン電池」(亜鉛とハロゲンの化学反応を利用して充放電を行う電池)の製造を目指しています。


 現在主流の「リチウムイオンバッテリー」は発火リスクがあることに加え、リチウムに使用されているレアメタルやレアアースは中国がシェアの大部分を占めているという課題があります。そこで孫氏は、発火のリスクが低い「亜鉛ハロゲン電池」の製造に目を向けました。亜鉛もハロゲン化合物も日本国内で調達できるため、素材から発電・蓄電まで全てを含めた安全な「AIインフラ」を構築することが、現在の同氏の考えです。


●純利益5兆円、しかし借金12兆円


 これだけ最強の相方に恵まれていれば株価は安泰に思えますが、ソフトバンクの財務状況は非常にいびつです。直近では純利益が5兆円を超えている一方で、約12兆円もの借金を抱えています。実は、純利益5兆円のうちの約8〜9割は、OpenAIへの投資による含み益(約4兆〜5兆円)のおかげと言えます。


 また、過去には犬型ロボットで有名な「ボストン・ダイナミクス」を買収したものの、韓国の自動車メーカー「現代自動車(ヒョンデ)」に売却してしまったこともあります。現在、ヒョンデはボストン・ダイナミクスの技術を活用したフィジカルAIやロボティクスの分野で猛烈な成長を遂げています。「孫氏の読みは合っていたがタイミングが悪く売ってしまった」というケースの一つです。


 当たれば大きいが、外れると莫大な金額の損失を出す。ソフトバンクは、ある意味で「ロマン株」あるいは「博打株」と言える側面を持っており、そのボラティリティ(値動きの大きさ)を乗り越えられる人だけが投資すべき会社なのかもしれません。


●全方位で目指す「人工超知能(ASI)」の世界


 孫氏は、現在「これからは人工超知能だ」というビジョンを掲げています。AIとしての「頭脳」、ロボティクスのような「手足(フィジカルAI)」、そして「チップ」というモノに至るまで、全方位で投資をさらに加速していくことは間違いありません。 ソフトバンクの手法や、次にどこへ向かうのか、ワクワクと不安が入り交じる同社のビジネス展開から今後も目が離せません



このニュースに関するつぶやき

  • >ボーダフォンを買収・・ガラケーの頃は、ソフトバンクの前が、ボーダフォンで、その前がJフォンだったよなー。i-modeに対抗して、j-skyという名称もあった。
    • イイネ!0
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(1件)

ランキングIT・インターネット

前日のランキングへ

ニュース設定