【F1第9戦ベスト5ドライバー】挫折の後の驚異的な立ち直り/王者の資質/来季シートに値する見事な走り

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2026年07月09日 08:00  AUTOSPORT web

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2026年F1第9戦イギリスGP F1ドライバーたちによるレゴカートレース
 長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、各グランプリウイークエンドのドライバーたちの戦いを詳細にチェックし、独自の評価によりベスト5のドライバーを選出する。今回は2026年第9戦イギリスGPの戦いを振り返った。

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■不屈のルクレールが復活の勝利

シャルル・ルクレール(フェラーリ):スプリント予選4番手/スプリント5位/予選2番手/決勝1位

 シャルル・ルクレールは、どれほどの苦境に立たされても、決して屈することがないドライバーである。どんな挫折からも驚くほど素早く立ち直る力を持っているが、ここ最近ほどその精神力が試されたことはなかった。

 マイアミGP以降、フェラーリのチーム内対決でルイス・ハミルトンが優位に立つなか、ルクレールはいつもどおりのやり方で応えた。すなわち、毎週末を最初から全開アタックで戦うという姿勢であり、シルバーストンでもそれは変わらなかった。

 スプリントレースから予選までの間にSF-26をより速く走らせる方法を見つけたルクレールは、予選ではアントネッリに敗れたものの、決勝では見事なスタートを決め、25周目のピットストップまで余裕を持って首位を快走した。この早めのピットインによってルクレールはアントネッリのアンダーカットを封じたが、一方で長く引っ張る戦略を採ったメルセデス側にも勝機はあったかもしれない。

 ライバルのマシントラブルという幸運にも恵まれたとはいえ、ルクレールは素晴らしいレースを展開した。ペースでもタイヤマネジメントでもハミルトンを上回り、チームメイトが犯したような細かなミスも避けた。この勝利はルクレールにとって自信を大きく回復させるものとなったはずだ。次戦ベルギーは彼が得意とするサーキットのひとつだけに、復調したハミルトンであってもルクレールを止めるのは容易ではないだろう。


■不運のなかで王者の資質を見せたアントネッリ

アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス):スプリント予選2番手/スプリント1位/予選1番手/決勝15位

 アンドレア・キミ・アントネッリは、ジョージ・ラッセルの母国レースで選手権リードをさらに広げるかに見えた。しかし、W17の左フロントのブレーキダクトが外れかけたことで、その挑戦は事実上終わってしまった。

 アントネッリはフェラーリ勢と互角に戦える唯一の存在であり、スプリントではハミルトンをコース上でオーバーテイクして勝利をつかんだ。決勝ではハミルトンを抜くまでに11周を要したが、チームがミディアムタイヤを35周目まで引っ張るという大胆な戦略を採ったことで優勝を狙える位置につけていた。

 圧倒的なペースを見せながらトラブルに見舞われたアントネッリは、レース後、不運を嘆くのではなく、闘志を前面に押し出していた。彼はバルセロナでリタイアした後にも全く同じ姿勢を見せており、イタリア人らしい情熱を持つこの若者が、真のチャンピオンにふさわしい集中力と精神力を備えていることを証明している。

 今回もラッセルより速く、週末中、ハミルトンをコース上で2度もオーバーテイクした──1度目はスプリント優勝を決めるため、2度目は決勝で2位へ浮上するためだ。ハミルトンのホームサーキットで彼を追い抜くことは容易ではない。


■マシンのペース以上の結果を出したノリス

ランド・ノリス(マクラーレン):スプリント予選6番手/スプリント3位/予選6番手/決勝4位

 マクラーレンはシルバーストンで優勝争いに加わることはできなかった。チームは、すでにアルピーヌとウイリアムズには供給されているメルセデスの改良型パワーユニットを搭載しておらず、高出力が求められるシルバーストンでは、その差が確実に影響した。

 ランド・ノリスはスプリントで好スタートを決め、序盤数周の力強い走りによって予想外の3位を獲得した。しかし、予選前にMCL40のバランス改善を狙って行ったセットアップ変更は裏目に出た。

 ノリスもオスカー・ピアストリもレッドブル勢についていくことができず、ノリスはフェラーリ勢、メルセデス勢、さらにマックス・フェルスタッペンにも離され、単独走行のレースとなった。それでもアイザック・ハジャーに対してはオーバーカットを成功させ、その後アントネッリとフェルスタッペンのトラブルにも助けられて4位へ浮上した。

 4位は日曜日に見せた実際のペース以上の結果だった。ノリスは与えられた条件を最大限に生かし、自分より速いマシンに乗るハジャーを打ち破ったのである。


■キャリア最高のパフォーマンスを見せ続けるローソン

リアム・ローソン(レーシングブルズ):スプリント予選9番手/スプリント8位/予選10番手/決勝6位

 1週間前のオーストリアと同様に、レーシングブルズはシルバーストンでも週末の最初から中団グループをリードした。そしてレッドブルリンクと同じく、2人の若手ドライバーの差はわずかではあったが、速かったのはリアム・ローソンの方だった。

 チームにとって幸いだったのは、前戦で見られたような騒動が起こらなかったことだ。オーストリアでは、リンドブラッドがチームオーダーを無視してチームメイトをオーバーテイクしてしまった。

 ローソンは今年初めて、プレシーズンテストから通して同じチームで走り、今の彼はF1参戦以来最高のパフォーマンスを見せ続けている。2027年もチームに残る資格があることを証明しているローソンだが、自身のパフォーマンスはコントロールできても、レッドブル育成ニコラ・ツォロフのFIA F2での快進撃をとめる術はないことが問題だ。

 ツォロフも2027年のF1昇格に値する実力を示しているが、ローソンはレッドブル首脳陣に非常に悩ましい問題を突きつけている。ローソンがシルバーストンで見せたような走りを今後も続けたにもかかわらず、シーズン末にシートを失うようなことがあれば、それは残念というほかない。


■アウディのベストリザルトを達成したボルトレート

ガブリエル・ボルトレート(アウディ):スプリント予選12番手/スプリント13位/予選11番手/決勝8位

 アウディは中団争いにおいてアルピーヌとハースを上回る存在となっている。そしてガブリエル・ボルトレートは、パワーサーキットであるシルバーストンでレーシングブルズ勢に挑む走りを見せた。

 ボルトレートは、両方の予選でニコ・ヒュルケンベルグを上回り、グランプリ予選では実に0.6秒もの大差をつけた。トップ10進出までわずか0.032秒差まで迫り、自らの小さなミスについてチームに謝罪する場面もあったが、それでもヒュルケンベルグとの差は歴然としていた。

 決勝では、ヒュルケンベルグとは対照的にまずまずのスタートを決め、ポイント争いに踏みとどまった。前方を走るリンドブラッドやローソンとの差も決して大きくはなかった。最終的には、アントネッリ、フェルスタッペン、ピアストリのトラブルにも助けられ、ボルトレートは8位でフィニッシュ。自身にとってシーズン最高成績を記録するとともに、アウディには、今年始まったばかりの短いF1参戦の歴史におけるベストの結果をもたらした。チームにも、この若きドライバーにも、さらなる飛躍が期待できそうだ。

[オートスポーツweb 2026年07月09日]

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