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2026年07月09日 15:20 ITmedia PC USER

2026年はスマートグラスというカテゴリーの製品が豊作だ。その多くがメガネのレンズをディスプレイとして情報を映し出せるというもので、AIとの連携機能もある。スマートフォンやスマートウォッチに続く、次なるウェアラブルデバイスとして期待が高まっている。
その中でも、日本でいち早く視界に情報を表示できるHUD(ヘッドアップディスプレイ)を搭載したAIスマートグラスとして本格展開したのが、香港のスマートグラスメーカー、Even Realitiesの「Even G2」だ。同機は4月に一般発売がスタートしている。価格は9万9800円だ。
「Ray-Ban Meta」や「Rokid AIスマートグラス(以下、Rokid)」と並んで、スマートグラス時代の口火を切った製品といえるだろう。
今回はEven G2を実際に使ってみたので、前回に紹介したRokidとの違いも含めてレビューしていこう。
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●カメラを積まないスマートグラス
Even G2は、解像度640×350ピクセル、輝度1200ニト、視野角27.5度のマイクロLEDによる表示機構を搭載するスマートグラスだ。視界上には緑色の文字で情報を表示する仕組みで、パススルー率98%をうたうように外の景色をほぼ遮らずに情報を重ねて見られる。
本体には4つのマイクを搭載しており、「Hey Even」のウェイクワードで各機能を呼び出したり、質問したりといった使い方ができる。カメラだけでなくスピーカーも搭載されていないため、情報は全てディスプレイに表示される仕組みだ。
Even Realitiesは公式ページで「あえてカメラは搭載せず。設計思想として、記録ではなく"その瞬間にいること"を大切に」と明記している通り、RokidやRay-Ban Metaなどの他のスマートグラスとは異なり、目の前の景色やモノを撮影することはできない。
しかし、これにはメリットもある。1つはメガネ本体の薄さと軽さを実現できることだ。約36gという数値はRokid(約49g)と比べて約13g軽い。数値としてはわずかな差に思えるが、装着するとその重量差は数字以上に大きく感じられた。Rokidは「ガジェットを身につけている」という感覚があったが、Even G2にはそれがなかった。
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さらにカメラユニットを搭載しないことでフレームの自由度が高い。Even G2はフレームが丸みのあるクラウンパント(G2 A)とスクエアのレクタンギュラー フレーム(G2 B)の2種類、カラーはグレー/ブラウン/グリーンの3色から選べる。クリップオン式サングラスもオプションとして用意している。
度付きレンズへの対応範囲が広いのもポイントだ。クリップオンタイプではなく、レンズそのものを度入りに交換する仕様で、度数は−12.00Dから+12.00Dまでカバーする。
レンズ素材は三井化学のMRシリーズ(屈折率1.60/1.67/1.74)から選択できる。家電量販店で本体を購入した後、全国の認定眼鏡店で度付きレンズを入れる流れもしっかりと整備されており、既存のメガネからスムーズに移行して日常で利用できる。
バッテリー駆動時間は最大2日間持つため、小まめな充電も不要だ。各種機能を頻繁に使うとやや短くなる印象だが、就寝時や入浴時などに充電ケースに収納すれば問題なさそうだ。
カメラを搭載しないことの最大のメリットはプライバシーへの配慮と、盗撮などを疑われないことだ。Even G2はカメラを搭載していないため、どこで着用していても周囲に盗撮の不安を与えない。また、それと同時に「盗撮している」と思われるリスクもない。
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実際、筆者の周辺にいる50人ほどの男女にスマートグラスに関するアンケートを取ったところ、最も多かったのが、男性からの「盗撮していると思われたくないから使いたくない(普及しない)」という意見だった。
実際にRokidを装着した状態で電車などの公共交通機関に乗った際は、少し不安を覚えた経験もある。カメラを搭載しないEven G2なら、その心配がない。
既に日本やアメリカの一部の州で、カメラ付きスマートグラスの規制の話も出ているという。しかし、Even G2ならそういった場面でも利用できるかもしれない。ただし、海外の高級店ではカメラの有無に関わらず、スマートグラスの持ち込み自体を禁止している店もあるそうだ。
●音声とタッチ操作で多彩な機能が使える
実際にEven G2を装着してみた。事前にスマートフォンにアプリをインストールして、Bluetoothでペアリングしておく。すると目の前にグリーンの文字でダッシュボードが表示される。
操作は音声の他、フレームの端にあるタッチパッドへのタッチやスワイプ、またはスマホアプリから行える。アプリで通知設定やニュースサイトの設定をすると、スマートフォンに届いた通知などが表示されるようになる。
なお、通知などを表示したくないときは、アプリの月のマークをタップするか、左右のタッチパッドを同時に長押しすることでサイレントモードに切り替えられる。
基本機能として、「原稿表示(テレプロンプター)」「ライブ翻訳」「ナビ」「会話サポート」「クイックリスト」、そして「Even AI」を搭載している。
個人的に便利だったのが、35言語に対応する「ライブ翻訳」とリアルタイムで日本語の文字起こしができる「会話サポート」だ。どちらも音声を聞き取って画面に文字として表示できる。
実生活で外国語に触れる機会はそれほど多くないものの、SNSなどでは英語や韓国語、中国語の動画を目にすることが少なくない。そんなときにライブ翻訳機能を使うと、かなりの精度で訳してくれる。音声のスピードや音質によってはうまく訳せないこともあったが、ほぼリアルタイムで翻訳を表示できた。
会話サポートは日本語の文字起こしができるだけでなく、AI要約も可能だ。会議中などに起動しておくと役立つ機能だ。個人的には、周囲が騒がしくて会話が聞き取りにくいカフェや居酒屋などで重宝した。両機能の音声入力はグラスのマイクだけでなく、スマートフォンからの入力も可能だ。
この他、質問や検索などのやりとりができる「Even AI」機能も利用できる。独自のEven LLMとPerplexityを使い分けることが可能だ。また、自転車や徒歩のルートを画面内に表示できる「ナビゲート」機能も備えている。初めて行く駅に降り立ったときなど、目的地までのラストワンマイルを表示するのに便利だ。
●サードパーティーアプリが充実する環境も
Even G2が他のスマートグラスより一歩先を行っていると感じるのが、アプリ開発環境が用意されており、ユーザーが作ったサードパーティーアプリが簡単に導入できることだ。
使い方も非常に簡単で、スマホアプリの「Even Hub」タブから選ぶだけでいい。AIやライフスタイル、パフォーマンス、ヘルスケア、エンターテインメントなど、多くのカテゴリーが用意されており、日々増えている。
例えば「Weather」アプリでは画面上に選んだ都市の天候や気温などが表示できる。また、「Pomodoro Timer」は名前の通り、時間管理術であるポモドーロ・テクニックを実践できるアプリで、25分間集中して5分間休むタイマーを設定できた。
グラス内には集中時間がパーセンテージで表示されるので、時間に追われることもなかった。
現在、スマートグラスはまだ登場したばかりで機能がそれほど多くないのが課題だが、Even Hubがあれば、使い方にあった機能が追加できる。
●スマートリングでの操作に可能性を感じる
Even G2だけの機能として面白いのが、別売のスマートリング「Even R1」(4万1800円)で操作できることだ。スマートグラスを使っていて感じたのが、周囲に人がいる場面ではウェイクアップワードを発語するのがやや恥ずかしく、音声で操作はしづらいことがある。また、フレームのタッチパッドによる操作も手を顔まで上げなければならず、「操作している姿」が周囲に分かりやすい点が否めない。
しかし、人差し指に装着したスマートリングなら、周囲に気付かれずスマートに操作ができる。タップ、スクロール、長押しによる多様な操作に対応する。ダッシュボードに表示されるニュースを切り替えたり、メニューから目的の機能を呼び出したりできる。操作に慣れが必要だったが、うまく使えるとEven G2の使い勝手もアップする。
さらにEven R1には、多くのスマートリングが備えているヘルスケアのモニタリング機能を搭載している。心拍変動、SpO2(血中酸素飽和度)、体温、歩数、カロリー、睡眠モニタリングなどが可能で、スマホアプリでまとめて管理できる。
スマートグラスの操作用デバイスと考えると高価だが、ヘルスケア管理ができるスマートリングにグラスの操作機能が追加されていると考えると少し納得できそうだ。
●カメラ・スピーカーの有無が自由を生む
Even G2はカメラを積まないことでプライバシー問題を回避し、約36gという軽さと最大2日間のバッテリーを両立したスマートグラスだ。フレームの形状や色を組み合わせた6種類から選ぶことができ、度付きレンズに対応するなど、普通の眼鏡から移行しやすいのがポイントだ。
ライブ翻訳や会話サポート、ナビ機能など使い勝手はほぼ同じで、これらはHUD搭載スマートグラスの基本機能になりそうだ。搭載するAIが異なるため、精度やスピードには違いがあるが、これはAIの進化によって日々強化されていくと考えられる。
Rokidとの違いとして大きいのは、カメラ機能を搭載していないために映像からの入力ができない点だ。Rokidにある、写真を撮ってAIに質問するといった使い方ができない。ただしこれは、プライバシー問題を回避するためなので仕方がないところだ。
Rokid スマートAIグラスとの比較
実際に使ってみてEven G2の利点は3つあると感じた。1つは普段掛けの眼鏡としてカジュアルに使えること。Rokidはデザインが1種類なのに対して、6種類も用意されている。そして、2つ目はEven Hubで日々機能が増えていること。スマートフォン黎明(れいめい)期と同じようにアプリが登場することで、より生活に欠かせないものになっていくだろう。
3つ目はやはりカメラがないことだ。これには一長一短があるが、普段使いする上でリスクを回避できるメリットは大きい。特に男性にとってカメラ機能を搭載するリスクは非常に高い。Even G2なら、あらぬ疑いをかけられることなく、どこでもAI機能が利用できる。
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