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三菱地所レジデンスは6月、仙台市で億ション「ザ・パークハウス グラン 仙台広瀬町」の販売を開始した。仙台駅から西へ約2キロ離れた広瀬川沿いにある地下1階・地上6階建てのマンションだ。総戸数は47戸で、全戸が1億円を超え、販売価格の中心帯は2億円だという。
一戸が1億円以上で売買される高級マンションのことを指す「億ション」。東京や大阪、福岡などの大都市圏では、パワーカップルや経営者など高所得者層の根強い需要を背景に、億ションは珍しくなくなった。
だが近年、中規模の都市でも億ションが増えている。こうした物件は一部で「ローカル億ション」と呼ばれている。不動産価格が安いはずの地方都市で、なぜ億ションが売れているのか。
●「仙台の億ション」はどんなマンションなのか
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「ザ・パークハウス グラン 仙台広瀬町」は、いわゆる駅前のタワーマンションではなく、低層マンションだ。最寄りの地下鉄南北線「勾当台公園」駅までの所要時間は徒歩約10分。現在建設中で、引き渡しは2027年12月中旬を予定している。
間取りは2LDKまたは3LDKで、専有面積は90.26〜182.09平方メートル。平均的なファミリー向け物件の約1.3〜2.5倍の広さだ。奥行き2メートル以上のバルコニーなども特徴だ。
現在、仙台市では新築マンションの3LDK物件がおおむね5000万〜7000万円台で売りに出ている。周辺の相場と比べると、全戸が億ションの「ザ・パークハウス グラン 仙台広瀬町」は異例の存在だ。報道によると、エントリー数は400件を超え、経営者や医療関係者からの申し込みが多いという。
●人口減少地域にも建つ「ローカル億ション」
仙台のような地方中核都市を中心に「ローカル億ション」は近年、各地で誕生している。一方、東京駅から約1時間を超えるエリアでは、新築マンションの3LDKの価格が5000万円未満の物件もみられる。
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だが、東京駅まで特急で70分以上かかる水戸市でも、億ションが売れている。JR水戸駅から徒歩2分の「デュオヒルズ水戸三の丸タワー」は地上20階建て・184戸の規模で、2026年11月の竣工予定だ。デベロッパーは第1期販売として2024年に同マンションのプレミアム住戸6戸(100〜130平方メートル台)を1億2000万〜2億円台で販売し、いずれも完売した。
岡山市では4月に「プラウドタワー岡山」が竣工した。地下2階・地上31階建てのタワマンで、総戸数は422戸(うち55戸が地権者向け)。岡山駅から徒歩3分の好立地にある。2024年の第1期販売では164戸を売り出し、うち34戸が1億円以上だったが、全戸が売れたという。最高価格は最上階の3億6998万円だ。
人口が減少している地域でも、億ションの供給が広がっている。人口約30万人の北海道旭川市では、大和ハウス工業が同市初のタワマン「プレミスト旭川ザ・タワー」を建設した。JR旭川駅から徒歩4分に位置する地下1階・地上25階建て、総戸数151戸の物件だ。2022年12月に販売を開始し、2025年2月に完成した。完成時点で約8割が成約済みだ。
最上階の最も広い部屋(約156平方メートル)は、2億5000万円で販売された。現在は3LDKと4LDKの計5戸(109.86〜156.45平方メートル)が、1億2800万円〜1億9800万円で売りに出ている。
●なぜ地方で「億ション」が増えているのか
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地方都市における億ションの誕生はバブル期以来の現象だ。不動産専門のデータ会社である東京カンテイ(東京都品川区)の資料(出所:全国 新築億ション住戸の供給戸数 2025)によると、バブル崩壊以降、億ションはほぼ首都圏や近畿圏に集中し、地方都市の物件数はわずかだった。
だが、2010年代後半から地方都市でも徐々に増え始め、2020年代に入るとさらに増加した。宮城県ではバブル期の5年間に27戸だった供給戸数が、2021〜2025年の5年間では48戸に増えた。茨城県もバブル期の11戸に対し、直近5年間は16戸。岡山県ではバブル期の1戸から、直近5年間は51戸へと大きく増えた。
億ションの市場の中心は、2025年に5947戸が供給された東京であることに変わりはない。石川県(バブル期26戸、直近5年間8戸)のような例外も多いが、一部の地方都市では近年、億ションが増えたことが分かる。
ローカル億ションが増えた背景には、高齢化がある。地方の高所得者は従来、マンションではなく土地の広い家を選ぶケースが多かった。だが、老後を見据え、地方都市の中でも利便性の高い中心地のマンションを選ぶ人が増えている。「車に乗らずに店に行ける」「病院が近い」といった点が、駅近マンションのメリットだ。
駅前百貨店の衰退が示すように、地方都市では大型商業施設の郊外化が進んだ。一方、コンビニや飲食店など日常的に利用する小規模な店舗は、ターミナル駅付近に集中している。北海道の不動産業者によると、中間層、富裕層を問わず、除雪を避ける目的で郊外の戸建てからマンションへ住み替える高齢者も増えているという。
また、タワマンのような高層階の物件に関しては、都心と同様に景色やステータス性など、必ずしも合理的ではない理由で求める人も一定数存在する。
●都心の億ションとの違いは?
ローカル億ションは面積と価格が各地の相場とかけ離れており、東京の億ションとは性質が異なる。東京の億ション購入者は世帯年収が1500万〜2000万円を超えるパワーカップルが主で、実需による購入者が多い。相場全体が1億円を突破しており、専有面積は70平方メートル台と一般的なサイズだ。
一方のローカル億ションは、地方の経営者や富裕層、地元の名士などが購入している。東京でいえば、3億円以上の高額物件を購入するような層だ。物件のサイズは100平方メートルを超え、価格帯は周辺の一般的な物件と比較して倍以上である。
地方都市で、東京のように億ションが当たり前の存在になるとは考えにくい。だが、販売時の倍率は高く、今後もローカル億ションは一定の供給が続くとみられる。
●著者プロフィール
山口伸:経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。
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