
ARグラスに対して「重くて疲れる」「長時間つけるのは厳しい」という先入観を持っている人は少なくないと思います。実際、私自身もその重さが最大のネックで、「5分程度使うならいいけど……」と敬遠しがちでした。
しかし、XREALから新たに登場した「xbx a01+」は、そんな先入観をあっさりと覆してくれました。その重さ、わずか62g。Mサイズの鶏卵1個分とほぼ同じ重さです。
この「軽さ」が、ARグラスの体験をどう変えるのか。実際に使い倒してみると、そこにはスペックからは分かりにくい使い勝手の良さがありました。
●XREALの若年層向け新ブランド「xbx」、その1台目
|
|
|
|
「xbx」は、XREALが若年層向けに立ち上げた新ブランド。難しい設定や大げさな機材に縛られることなく、日常のさまざまなシーンで自分だけの大画面を楽しめることを目指して生まれたブランドです。その第1弾製品が、この「xbx a01+」です。
価格は4万3980円と、ARグラスとしてはかなり手頃な設定になっています。しかし、これは単なる廉価版ではありません。カメラや3DoFセンサー(頭の動きを検知するセンサー)といった一部の機能をそぎ落とす代わり、軽さと映像視聴の手軽さに全振りした、ある意味で非常に尖ったモデルなのです。
パッケージを開けると、xbxのブランドコンセプトがよく分かります。ロケットのような形状をした白い内箱が現れ、さらにその中にはxbxのロゴがあしらわれた黒いハードケースが収まっています。
次ページへ
ファッションアイテムのようなポップさ
|
|
|
|
これらのデザインには、ガジェット特有の無骨さよりも、ファッションアイテムのようなポップな印象を受けます。また、ノーズパッドがS・M・Lの3サイズ付属していて、鼻に合わせて調整できます。
●割り切りつつもツボを押さえたスペック
スペックも見ていきましょう。ディスプレイには中国SeeYaが開発したデュアルレイヤーのMicro OLEDを搭載し、解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)。最大120Hzのリフレッシュレートに対応し、HDR10もサポートしています。さらに、HDR非対応のコンテンツをリアルタイムで変換する「AI SDR-HDR変換」機能も備えており、既存のコンテンツもに楽しめます。
視野角は50度と、上位モデルに比べるとやや狭めですが、実際に映像視聴やゲームを気軽に楽しむ用途であれば、これで十分すぎるほど実用的な範囲です。仮想スクリーンサイズは「4m先に147インチ相当」ということで、迫力は申し分ありません。
目への配慮も徹底しており、TUV Rheinland(ドイツに本社を置く第三者検査機関)の「Eye Comfort」5つ星認証を取得。ブルーライト低減(Low Blue Light)とフリッカーフリーにも対応しています。
|
|
|
|
オーディオ面では、指向性スピーカーを内蔵しており、イヤフォンなしでもサウンドを楽しめます。サラウンド・シネマ・音漏れ低減・標準の4つのサウンドモードをワンタッチで切り替えられるのも便利です。音質は今時のワイヤレスイヤフォンの高級機レベルとは言えませんが、映像視聴には十分。音質にこだわるなら、それこそ普段使っている自分のワイヤレスイヤフォンを使えばいいだけです。
そして何より素晴らしいのが、メガネのツルの出来栄えです。外側にも開く構造になっており、頭への圧をうまく逃がしてくれます。予想通り軽さは正義でしたが、このツルの設計がなければ、あの快適さは生まれなかったと思います。
次ページへ
着脱式フロントフレームと遮光カバー
●着脱式フロントフレームと遮光カバー
デザイン面でのユニークな試みとして、着脱式フロントフレームが採用されています。本体購入時から装着済みで、ブルーのレンズが映える近未来的な外観を作り出しています。このフレームを外すと、重量はさらに軽い56gになります。
さらに面白いのが、このフロントフレームの公式3Dデータ(.obj)が提供されるという点です。3Dプリンタを持っていれば、好きなデザインのフレームを自作してカスタマイズできるわけです。
付属品には遮光カバーも含まれています。装着すると周囲の光が気になる環境でも、没入感が高まります。ただ、実際には標準の状態でも十分な没入感があり、遮光カバーなしで使うことがほとんどでした。
もちろん、普段からメガネをかけている人向けに、度付きのインナーレンズを作ることも可能です。日本ではJUN GINZAが対応しています。
●GalaxyのDeXモードとベストマッチ
実際にスマートフォン(Galaxy Z Fold 7)に接続して使ってみました。結論を先に言うと、スマホを使ったNetflixやYouTubeの視聴環境として、これは最高ランクです。特にGalaxyのDeXモード(外部ディスプレイ出力機能)との相性が抜群。スマホ本体をマウスパッド代わりにできるので、操作も含めて、非常に快適でした。
驚いたのは、インナーレンズを作る時間がなかったため、強引に普段自分がかけているメガネの上から「メガネオンメガネ」でかぶせて使ってみたのですが、あっさりと使えてしまったことです。これもツルの出来栄えのよさが理由で、フィッティングできる範囲に余裕があるのです。そして何より、62gという軽さのおかげで、メガネの上に重ねても重く感じません。もちろん、普段メガネをかけている人は、ちゃんとインナーレンズを作った方がより快適になることは言うまでもありません。
●移動中や寝る前の「自分だけの映画館」
この軽さによる心理的な安心感は絶大です。これなら、飛行機や新幹線など、座ったままの長時間移動でも間違いなく持っていきたいと思えます。
実際に停めたクルマの中で使ってみましたが、実に快適でした。シートを軽くリクライニングして、頭を少し上にした状態で、スマートフォンのバッテリーが許す限り大画面を楽しめます。車中泊や入院時のパートナーとしても優秀でしょう。寝る前にアニメを1本消化する、という使い方もぴったりです。
PCへの接続も、USB Type-Cの映像出力(DisplayPort Alt Mode)に対応しているPCであれば、設定不要でケーブル1本でつながります。ただし、Nintendo SwitchやSwitch 2はアダプターが必須になります。
電車での移動中は、少し上を向いた姿勢で使うと画面が安定して見やすくなります。移動中の映像ブレが気になる場合は、手ブレ補正機能をオンにすることで視聴画面の揺れを抑えられます。
次ページへ
少し上を向くと使いやすい
携帯性についても申し分ありません。専用ケースに入れても500mlのペットボトル以下のサイズ感で、重さはもちろんペットボトルよりずっと軽いです。カバンの中にペットボトル1本分のスペースの余裕があれば、いつでもどこでも147インチの画面を持ち歩けます。
●入門機でありながら「これがいい」
xbx a01+は、ARグラスの入門機という位置づけで登場しました。しかし、実際に使ってみると「まずは気軽に試したい」といったレベルを超えて、「持ち歩く動画視聴の快適環境」として、むしろこれがベストだと言いたくなる体験でした。
その核心にあるのは、やはり62gという軽さです。この軽さがあるから、メガネの上に重ねても苦にならない。この軽さがあるから、シートをリクライニングして頭を少し上にしたまま長時間使い続けられる。この軽さがあるから、カバンに入れることへの心理的なハードルがない。重さというネックがなくなると、ARグラスはここまで日常に溶け込むのかと、正直驚きました。
お盆の帰省で新幹線や飛行機などで長時間移動する人、夜のキャンプで映画を楽しみたい人、寝る前の時間を有意義なコンテンツ時間にしたい人など、日常のすき間時間を「自分だけのエンタメ時間」に変えるのにおすすめできる1台です。
|
|
|
|
|
|
|
|
Copyright(C) 2026 ITmedia Inc. All rights reserved. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。