熊本地震で地面がずれた場所、35kmの線状に 衛星データで「変位境界」を判読 国土地理院

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2026年08月06日 18:21  ITmedia NEWS

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 令和8年熊本地震の影響で、熊本県上益城郡御船町大字高木付近から同県八代市平山新町付近までの約35kmにわたり、地面がずれ動いた痕跡があることが、国土地理院の解析で分かった。同院が8月5日に発表した。解析には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測衛星「だいち2号」「だいち4号」が観測した合成開口レーダー(SAR)のデータを使った。地表のずれが不連続になるこの境界を「変位境界」と呼び、断層運動に伴って出現したとみられるという。


【画像】SARから判読した変位境界(左)と空中写真から判読した地表変位(右)の比較。右横ずれ約2mの地点が並ぶ


 SAR干渉解析は、異なる時期に衛星から地表へ電波を当て、跳ね返りのわずかな差を比べることで、その間に生じた地面の動きをcm単位で捉える手法。公開画像の虹色の縞模様は、地図の等高線のように「地面がどれだけ動いたか」を表す。ピンクや黄色といった個々の色に意味があるわけではなく、色がピンク、黄、水色と一巡りするごとに、地面が12cmほど動いたことを示す目盛りになっている。縞が多く現れた場所ほど、大きく動いたと読み取れる。


 今回はこの干渉解析に加え、地震前後の画像を重ね、位置のずれから大きな地表の動きを捉える「ピクセルオフセット解析」も併用し、2つの手法で得た地殻変動分布から変位の不連続箇所を判読した。


 画像を見ると、震央(星印)の周りには細かい縞がぎっしり詰まり、扇のように広がっている。地面を動かした源は地下の断層なので、断層に近い場所ほど大きく動き、離れるほど動きは小さくなる。山の頂上を等高線が何重にも取り囲むのと同じで、大きく動いた場所を中心に縞が何周も現れる。


■縞が途切れる場所=地面が裂けた場所


 地面全体がなだらかに変形しただけなら、縞はなめらかにつながる。ところが黒線の場所では、震央側の細かい縞が線を境にぷつりと途切れ、反対側と模様がつながっていない。地面が線の両側で互いに別々の方向へずれ動いた痕跡だ。今回はそのずれが約35kmにわたり線状に連なっており、地下で起きた断層のずれが地表付近まで達したとみられる。


 空中写真から判読した地表変位との比較も公開した。氷川町野津、河原、宮原の各地点では1.9〜2.1mの「右横ずれ」を確認しており、SARから判読した変位境界の位置とほぼ一致するという。7月31日に撮影した現地写真では、変位境界の位置で道路が大きく食い違う様子も確認できる。


 右横ずれは、境界を挟んだ向こう側の地面が右方向に動くずれ方を指す。気象庁によると、この地震は横ずれ断層型とされており、衛星・空中写真・現地写真の3つの手段で読み取った結果が互いに整合している形だ。


 今回判読した変位境界の位置は、既知の活断層帯「日奈久断層帯」とよく一致するという。国土地理院地理地殻活動研究センター宇宙測地研究室の小林知勝室長は、ITmedia NEWSの取材に対し「今回検出した地表変位と既知の日奈久断層帯の位置を精査することなどにより、さらに詳しい地震像が専門家の間で議論されるものと期待される」と話す。


 国土地理院は今回の判読結果を速報と位置付けている。SAR衛星による観測は今後も続く予定で、新しい画像から新たな地表変位を判読した場合などには、内容を更新する可能性があるという。



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