あのころの夏、今の夏/島田明宏

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2026年08月06日 21:00  netkeiba

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▲作家の島田明宏さん
【島田明宏(作家)=コラム『熱視点』】

 今週月曜日、8月3日の東京は、最高気温が30度を下回った。

 窓を開けると涼しい風が入ってきたので、久しぶりにエアコンを使わずに過ごした。

 しかし、同じ日、熊本では最高気温が40度を超える「酷暑日」となった。

 7月28日に発生した熊本地震のため、8月4日午後2時の時点で、146カ所の避難所に7646人もの人が避難している。ほかの場所に避難している人も、車中泊をつづけている人もいる。

 エアコンは使えているのだろうか。夜は眠れているのだろうか。

 そう考えると、今日は涼しい、と喜んでいたことが申し訳ないような気持ちになった。

 8月5日、夏の甲子園が開幕した。と、過去形にしたが、この稿を書いているのはまさにその日で、まだ試合は始まっていない。

 開会式は午後4時から。第1試合の開始予定時刻は午後5時30分である。

 猛暑対策として、昨年から、開幕日の試合は夕方から行われるようになった。2024年から、試合を朝と夕方に分け、最も暑い時間帯を避ける2部制も導入されている。

 熊本代表の有明高校は、8月7日の第3試合で初戦を迎える。同校は春夏を通じて初めての甲子園出場だ。

 避難所にいる人たちは、テレビやラジオで応援できるだろうか。少しでも多くの人が、声援を送ることができればと思う。

 競馬界でも猛暑対策が行われている。

 馬は、寒さには強いが、暑さには弱い。

 JRAは2024年、新潟競馬で、気温が特に高くなる昼間の競走を休止し、夕方に再開する暑熱対策を初めて導入した。

 昨年は新潟と中京で4週間。今年は6週間に延長された。最終レースの発走は午後6時台だ。

 夕方まで競馬をする、ということで思い出されるのが、以前、札幌や函館で行われていた「はくぼ競馬」である。第1レースから最終レースまで、全体を通常より遅い時間にずらしていた。最終レースは午後5時10分ごろだった。白夜ではないが、高緯度の北海道は暮れるのが遅い。今のように暑い時間に休むためではなく、夕暮れまで競馬を楽しんでもらうためのものだった。2004年に始まり、2010年を最後に行われなくなった。

 2004年は、キングカメハメハがNHKマイルCと日本ダービーの「変則二冠」を勝った年だ。確かに、あのころは今ほど猛暑対策だとか熱中症対策などに躍起になる空気はなかった。が、2009年の今ごろ、スマイルジャックが走る関屋記念を見に行ったときの新潟の蒸し暑さは凄まじかった。

「地球温暖化」が問題視されるようになったのは1980年代の後半からで、私が子供のころは、暑さで具合が悪くなることを「日射病」とか「熱射病」と呼んでいた。「熱中症」という言葉が定着したのは2000年代になってからだ。

 いずれにしても、実感として極端に暑くなったのはここ10年かそこらである。かと思えば、中国ではこの数年で電気自動車が急速に普及し、少なくとも自動車からは、温暖化につながる二酸化炭素の排出量が減る方向にある。何が言いたいかというと、この暑さは恒久的な傾向ではなく、また酷暑日などがほとんどない気候に戻る可能性もあるのではないか、ということだ。そうなったらなったで、またレースの時間などを見直せばいいわけか。

 だから何なんだ、という話になってしまった。

 さて、甲子園の話に戻るが、今年はひとつ、新しい話題がある。

 大会史上初めて、女性審判員が試合を担当するのだ。神奈川、埼玉、栃木、佐賀の各県高野連に所属する5人が起用されるという。「ストライク、ボール」や「アウト、セーフ」のコールは女性の声のほうが響くだろうから、楽しみだ。ビデオ検証の導入も相まって、伝統の甲子園も、少しずつ新時代の形になってきた。

 競馬場で、ラジオNIKKEIの藤原菜々花アナウンサーが女性として初めて実況を担当したのは、2024年3月、中山でのことだった。

 最初はニュースになったが、今では藤原アナウンサーの実況を聞くことも特別なことではなくなっている。

 前にも書いたように、女性騎手の重賞勝利も珍しくなくなった。昨年、JRA初の女性調教師が厩舎を開業し、今年3月にはJRA初の女性理事が誕生した。

 次は、女性のどんな「初」が登場するのだろうか。

 発売中の『週刊競馬ブック』の「サマー重賞メモリーズ」に、2014年のレパードSを勝ったアジアエクスプレスについて書いた。それを読んだ高橋力さんから「ありがとうございます」とメールが来た。どうしてかと思ったら、フロリダのセリでアジアエクスプレスを見立てたのは高橋さんなのだという。日本に到着してすぐ、ひとめ見た吉田勝己さんが「この馬は将来種牡馬になるよ」と言ったというエピソードも教えてくれた。プロ中のプロの「選馬眼」というのは本当にすごいものだな、とあらためて思った。

 先週の本稿で、注目数に関する不安をこぼしたら、驚くほどたくさんの人が「このコラムに注目する」をクリックしてくれた。私は恵まれている。

 今週の金曜日、8月7日は立秋で、それ以降の暑さは辞書のうえでは「残暑」なのだが、特に西日本では、まだ厳しい暑さがつづきそうだ。引きつづきご自愛ください。

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