楽天市場ではすでに、多くの場面でAIが活用されている。「Rakuten AI Optimism」に先立って、7月に開催した「『楽天市場』におけるAI活用に関する説明会」で詳細を明らかにした。ユーザー向けの機能として現在稼働しているのが「AIコンシェルジュ」。店舗の店員と会話するような感覚で商品選びができるのが特徴だ。楽天グループ市場編成部ジェネラルマネージャーの高間真里 執行役員によれば「検索から購入までの時間を約41パーセント短縮し、平均注文金額を約17パーセント向上させた」という。商品の比較機能や要約機能も追加されており、今後は店舗の接客データを取り入れ、品質をさらに高めていく予定だ。
出店店舗向けには、AI活用の店舗運営システム「Rakuten AI for RMS(Rakuten Merchant Server)」を提供。さまざまな業務を効率化する。商品説明文の作成支援、商品画像の背景加工、ユーザーからの問い合わせ対応支援などで構成。すでに約半数の店舗が活用しているという。楽天グループコマース&マーケティングテクノロジー統括部の山川祐介 ジェネラルマネージャーは、「問い合わせ対応の時間が大幅に削減されたり、商品登録の効率が飛躍的に向上して取扱アイテム数が10倍に拡大した例もある。店舗の業務負担軽減と売上増加に直結する成果が上がっている」、としている。4月には、会話形式で店舗の販売データを深掘りできる「データ分析エージェント」の提供も開始。バックヤードの支援にもAIの活用が進む。
「Rakuten AI Optimism」を通じ、楽天のAIに対するスタンスが明らかになった。一言でいえば、極めてオーソドックス。楽天経済圏の堅持と拡大のためのツールとしてのAIだ。ビジネスだから、それはそれでいい。しかし、あまりにもスケールが小さい。これから数年の間にAIがもたらすインパクトは、そんなレベルではとても収まり切れない。三木谷会長自身が一番よくわかっているはずだ。きっと、何か大きな「隠し玉」があるに違いない。インターネットよりも深く、蒸気機関よりも革命的。GoogleとAlphabetのサンダー・ピチャイCEOは、昨今のAIの進化を「火の発見」になぞらえた。日本のAI開発で孤軍奮闘する楽天。だからこそ、自らの経済圏をも打ち破って宇宙にまで飛び出すような発想でAIを駆使し、社会を変える先兵になってほしい。(BCN・道越一郎)