
2026年8月15日、新宿ピカデリーにて『機動警察パトレイバー EZY File 2』公開記念舞台挨拶が開催された。
当日は、出渕裕監督、久我十和役の上坂すみれさん、天鳥桔平役の戸谷菊之介さん、斯波繁夫役の千葉繁さん、寺田くるみ役の伊瀬茉莉也さんが登壇!
『File 2』に収録されたEPISODE;04『ワインと銃弾』、EPISODE;05『あさき夢みし』、EPISODE;06『恋のサバイバル』の話題を中心に、おかっぱ頭に眼鏡が特徴的な整備班員・寺田くるみ誕生の裏話や、『恋のサバイバル』に登場するイノシシの作画、千葉繁さんの声をそのまま効果音に使った驚きのアフレコ秘話など、上映後の舞台挨拶だからこそ聞くことのできる貴重なトークが次々と飛び出した。
さらに「十和と桔平の関係は恋愛に発展するのか!?」といった気になる話題や、出渕監督が自ら脚本を手がけた『あさき夢みし』にレイバーのアクションシーンを入れた理由など、ファンならだれもが気になる話題の数々も!
今回もファン歴38年の担当ライターが、シリーズのファン目線でイベントの内容を詳しくお届けする。
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※以下、『機動警察パトレイバー EZY File 2』のネタバレを含みます。
■「大事なのは興行収入!」公開2日目から出渕監督がアクセル全開
イベントが始まり、出演者が登壇すると、出渕監督が冒頭から会場を沸かせてくれた。
公開翌日の舞台挨拶ということで、出渕監督が客席に向かって「『File 2』を2回観た人は?」と尋ねると、早くも手を挙げるファンが。
さらに「まさか3回目はいないよね?」と呼びかけると、なんとすでに3回鑑賞しているファンまでいることが判明した。これには出渕監督も「すごいなぁ。本当にありがとうございます」と驚きながら感謝を述べた。
そして話題は、最近の『パトレイバー EZY』関連イベントではすっかりお約束になりつつある興行収入の話題に。出渕監督が、今後の『パトレイバー』について、「大事なのは興行収入です」と堂々と言い切ると、会場から大きな歓声が沸き起こった。
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出渕監督の言葉を受けて千葉さんも客席を見渡しながら、「今日も満席ですからね、えっと、満席だから4200人でしたっけ?」と突然とんでもない人数を口にする。
もちろん、新宿ピカデリーの一つのスクリーンに4200人が入っているわけではない。周囲から驚きの声が上がると、千葉さんは「僕にはそういうふうに見えますけどね」とさらり。千葉さんらしいリップサービスに会場は笑いに包まれた。すると上坂さんも負けじと「興行収入1兆円ですからね」と、さらにとんでもない数字を口にし、会場の笑いを誘った。
続いて上坂さんは『File 1』公開時の熱気をそのままに『File 2』を迎えることができたことについて「あらためて『パトレイバー』ファンの皆さんの気持ちの熱さを実感しています」とファンへの感謝を伝えた。
■戸谷菊之介が語る天鳥桔平の「真面目だけどちょっとポンコツ」な魅力
『File 2』では、戸谷さん演じる天鳥桔平の出番も増え、キャラクターの新たな一面が描かれている。戸谷さん自身も、「桔平の真面目だけどちょっとポンコツな部分もみなさんに見ていただけたのかな」と、『File 2』で描かれた桔平についてコメント。
戸谷さんは、桔平のポンコツな部分についてEPISODE;05『あさき夢みし』で、桔平が事故にあった少女のスマホを持ち帰ってしまう展開を挙げつつ、アフレコをしつつも『いや、スマホ持って帰ってくんなよっ!』と心の中でツッコミを入れていたエピソードを披露。戸谷さんの言葉に脚本を担当した出渕監督からも笑いがこぼれた。
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『あさき夢みし』の話題から、劇中でのレイバーの活躍についてのトークも展開された。出渕監督は、「いやいや、あの話だけですからね。レイバーがちゃんと動いているのは」と、『File 2』でレイバーによるアクションシーンが少ないことに言及。「せめて自分が脚本を担当した回だけでも、なんかこう、アクションを見せとかないと」と話し、会場を笑わせた。
『あさき夢みし』のストーリーについて、出渕監督は、自身が脚本を担当される際には「必ず1本はこういうお話を入れるようにしている」と語ってくれた。往年のファンなら、誰しも思い浮かぶのは、出渕監督が「いづぶちゆたか」名義で脚本を担当したNEW OVAシリーズ第14話『雪のロンド』だろう。
『File 2』を未見の方は、出渕監督が描く、どこか懐かしさを感じさせつつも、心を震わせる『あさき夢みし』のストーリーをぜひ堪能してほしい。
ちなみに『あさき夢みし』の舞台は、出渕監督も土地勘があるという三軒茶屋。制作時には出渕監督が実際に三軒茶屋の町を歩いて写真を撮り、レイアウトの参考にしたとのこと。そんな出渕監督にとって思い入れの深い三軒茶屋。
現在開催中の『名代富士そば×機動警察パトレイバーEZYコラボ』の対象店舗に、当初は三軒茶屋店が入っていなかったことから、出渕監督が「三軒茶屋が出るんだから、三軒茶屋の富士そばとコラボしなきゃ」と提案。その結果、急遽、三軒茶屋店もコラボに加わったとのこと。『あさき夢みし』を鑑賞した後は、舞台となった三軒茶屋を巡りつつ、名代富士そば三軒茶屋店でコラボタペストリーやコラボポスターをチェックしよう。コラボ期間は8月24日(月)まで。
■“女性版シゲさん”寺田くるみに千葉繁も太鼓判! 「女性班長になるんじゃないかな」
おかっぱ頭に眼鏡という出で立ちと、クリスマスを楽しむカップルに「愚民どもが」と言い放つなど、『File 1』の公開からファンの間で話題になっていたキャラクターといえば、整備班員の寺田くるみ。
今回が『パトレイバー』関連イベント初登壇となった、くるみ役の伊瀬さんは、出演情報が解禁された際、ファンから「おめでとうございます」という声がSNSに数多く寄せられたことを明かした。そのすさまじい反響から、「長年『パトレイバー』を応援していらっしゃるファンの方々が本当に根強くいらっしゃるんだな」と、あらためて『パトレイバー』の人気を実感したとのこと。
そんな伊瀬さんは、くるみを演じる上で、キャラクターの見た目から受ける印象も大切にしたという。特徴的なおかっぱ頭に、オレンジ色の眼鏡、さらに整備班の一員ということで、第二小隊のメンバーとは少し違った立ち位置にいるキャラクターでもある。伊瀬さんは、そうしたビジュアルと「オタク気質で、好きなものには貪欲」という部分を意識して演じられたとのこと。
くるみについて出渕監督は、シリーズの構想当初から存在していたキャラクターではなかったことを明かしてくれた。出渕監督によると、脚本制作の過程で誕生したキャラクターで、旧シリーズから千葉さんが演じてきた“シゲさん”(斯波繁夫)のようなポジションを担う存在として、新たに登場することになったとのこと。監督の中では「女性版のシゲさん」と位置付けられているという。
くるみが「女性版のシゲさん」と位置付けられていたことを今回初めて知った伊瀬さんは、長年にわたって千葉さんが演じてきた斯波繁夫の後継者というポジションに「身が引き締まる思いです」と驚きを見せていた。伊瀬さんは、自身が1988年生まれであることに触れ、『機動警察パトレイバー』がスタートした年とご自身の生まれ年が同じであることから、約38年の時を経た新シリーズでも千葉さんが斯波繁夫を演じていることに「大きな意味を感じている」と語った。
38年もの長きにわたって斯波繁夫を演じ、今回の舞台挨拶でも「斯波繁夫の双子の兄の千葉繁です」と挨拶するほどシゲさんに思い入れが強い千葉さんも、伊瀬さんが演じるくるみを絶賛。「まっすぐだしね、知識も豊富だし」とくるみのキャラクター性を評価し、「特車二課整備班始まって以来の女性班長になるんじゃないかな」と、くるみの将来に期待を寄せた。
上坂さんも、普段はかなり気の強い十和が、くるみに何かを言われると全く逆らえなくなる点に注目。くるみのしゃべり方などから「シゲさんイズムをめちゃくちゃ感じる」と語り、「くるみの勢いに押されて、十和が思わず『はい!』としか言えないぐらい押し切られるパワーがある」と、くるみの魅力を説明した。
戸谷さんも、「くるみは恐れを知らないですよね」とコメント。相手の立場に関係なくフラットに接する一方、整備班員としての技術や能力は非常に高いという、単なる“濃いキャラクター”ではない部分にも触れていた。
■千葉繁の声がそのまま効果音に!? 「ごみーんに」収録の意外な裏話も
くるみの話題から、トークはリボルバーカノンの実弾が紛失し、整備班が窮地に陥るEPISODE;04『ワインと銃弾』の話題へ。劇中で、シゲさんが口にする「ごみーんに」は、収録時に何度もやり直してもらったという裏話が出渕監督から明かされた。
すると千葉さんは、「『ごみーんに』だけ10回ぐらいやりましたよね」と振り返る。そんな千葉さんに、出渕監督は「だって、昔の『ごみーんに』を忘れているんだもん」とツッコミを入れるが、千葉さんは、「昨日食った飯も覚えてないのに、そんな昔のこと覚えてるわけない」と返し、会場の笑いを誘った。
さらに、話題が効果音として入れるはずだった爆発音の話に変わると、出渕監督が、千葉さんがアフレコで「ドカーン!」と言ってしまったことに言及。普通ならば、アフレコ後に爆発音を入れるところを千葉さんの「ドカーン!」があまりにも良かったため、その声をそのまま本編で使用することに。千葉さん自身も「まさかそのまま使われるとは思わなかった」と驚いていたが、ダビング時には千葉さんの声をどうやって立たせるのか、何度も調整されたそうだ。まさに、千葉さんだからこそ成立したシーンと言えるのではないだろうか。
■上坂すみれ「そんなエピソードがあるの?」 『恋のサバイバル』はEZY版『二人の軽井沢』
上映後の舞台挨拶ということで、トーク後半では登壇者それぞれが『File 2』のお気に入りのシーンを紹介。出渕監督が真っ先に挙げたのは、イングラムのアクション……ではなかった。「やっぱりあのイノシシの作画を見てほしいですよね」とEPISODE;06『恋のサバイバル』に登場する、巨大なイノシシについて語ってくれた。監督によると、イノシシが登場する一連のシーンは、『機動警察パトレイバー the Movie』や『機動警察パトレイバー 2 the Movie』で作画監督を務めた黄瀬和哉さんが担当したとのこと。動物はアニメーションで動かすのが難しく、CGではなく作画で表現することになった際、出渕監督が黄瀬さんに声をかけたとのことだが、黄瀬さんは気軽な返事で引き受けてくれたそうだ。完成したイノシシの映像について出渕監督は「本当に素晴らしい」と絶賛。「あらためて鑑賞される際には、イノシシに注目してほしい」とファンに呼びかけた。
出渕監督は、『恋のサバイバル』について、「意外なほどキャラクターがよく動いている」とも説明。山道を歩く十和と桔平、走るシーン、イノシシに追われる場面など、派手なレイバーアクションとはまた違う部分に多くの労力が割かれているという。
そして、そんな『恋のサバイバル』について、出渕監督から『パトレイバー』ファンには気になる表現も飛び出した。
出渕監督によると、『恋のサバイバル』は「EZY版『二人の軽井沢』みたいな話」とのこと。NEW OVA第12話『二人の軽井沢』は、台風の中、ホテルで一夜を過ごすことになった後藤隊長と南雲隊長の絶妙な距離感を描いたファンの間で傑作と名高いエピソード。十和が足をくじいたり、雨に降られて動けなくなったりと、確かに『二人の軽井沢』と共通する部分も多い『恋のサバイバル』。
EZY版『二人の軽井沢』と聞くと、十和と桔平の関係がどう描かれているのか、気になるところだが、上坂さんは『恋のサバイバル』というタイトルを最初に見た時は「え? そんなエピソードがあるの?」と驚いたとのこと。タイトルだけを見れば、十和と桔平の間に何か恋愛っぽい展開があるのでは……と期待してしまうところだが、上坂さんは、「と思ったら、そんなことはなかった」と振り返った。
実際に“恋のサバイバル”を繰り広げていたのは、十和と桔平ではなく、ふたりが助けに向かった要救助者。上坂さんは、このオチについて「まさに『パトレイバー』っぽい展開ですよね」と語り、笑顔を見せた。すると戸谷さんも、「やってらんないっすよね」とポツリ。上坂さんも、「『やってらんねー』ってセリフで終わるのが良かったですよね」と振り返った。
とはいえ、十和と桔平にまったくそんな雰囲気がなかったわけではない。足をくじいた十和を桔平がおんぶする場面では、出渕監督も「ちょっとしっとりしたよね」とコメント。恋愛っぽい雰囲気になりそうでならない。そして最後には「やってらんねー」で終わってしまう。確かに非常に『パトレイバー』らしいエピソードだったのではないだろうか。
■上坂すみれ「『パトレイバー』を知らない人生ってめちゃもったいない」
イベント終盤、伊瀬さんは、寺田くるみ役として『パトレイバー』に参加できたことについて「本当に光栄」とコメント。「長年作品を愛してきたファンにも、くるみを受け入れてもらえていることに安心した」と話し、「これからさらに面白くなっていく『EZY』を引き続き応援してほしい」と呼びかけた。
千葉さんは「作品の感想をバツなどでどんどん発信してほしい」とコメント。あえてSNSの「X」を「バツ」と読む千葉さんのボケに上坂さんの笑いが止まらなくなるハプニングも!?
戸谷さんは、会場にご自身と同年代の若いファンが多く集まってくれていたことに触れ、「ぜひ僕と同年代の方にも『パトレイバー』の面白さを伝えていただいてほしい」とコメント。「SNSや口コミで『パトレイバー』の魅力を広めてほしい」と呼びかけた。
上坂さんは「ファンのみなさんがそれぞれ違う部分に『パトレイバー』の魅力を感じ、それを求めてこうして集まってくれていることが、作品を支える熱気になっている」とコメントし、「『パトレイバー』を知らない人生ってめちゃもったいない」と締めくくった。
出渕監督は「『EZY』は、セリフですべてを説明しすぎない作品作りを意識している。何度か観ることで、新たに気づく部分もあるはず」とコメントし、会場に向かって「みなさん、もう一度観てくれるかな?」と呼びかけた。
会場から大きな歓声が上がると、監督は「1回と言わず、2回、3回と観ていただいても大丈夫ですよ」と笑顔を浮かべつつ、アピールした。
EPISODE;04『ワインと銃弾』、EPISODE;05『あさき夢みし』、EPISODE;06『恋のサバイバル』と、それぞれ全く異なるテイストの3作品が楽しめる『機動警察パトレイバー EZY File 2』。
『File 1』とはまた違った『パトレイバー』の懐の深さを楽しみつつ、今後の『File 3』、そしてその先へと続いていく『機動警察パトレイバー EZY』の展開に注目したい。
『機動警察パトレイバー EZY(イズィー)』
【INTRODUCTION】
1990年代末、テクノロジーの急速な発展とともに、あらゆる分野に進出した汎用人間型作業機械〈レイバー〉。
しかしそれは、レイバー犯罪と呼ばれる新たな社会的脅威をも生み出すことになった。 続発するレイバー犯罪に、警視庁は本庁警備部内に特殊車両二課を創設してこれに対抗した。通称、特車二課パトロールレイバー中隊「パトレイバー」の誕生である。
そして、時は流れ──。
労働人口減少の一途を辿る2030年代の日本は、AI技術による自動化が進んでいた。
かつて最先端技術だった〈レイバー〉は、社会基盤を支える一部として定着。
人が搭乗するスタンドアローン型の〈レイバー〉は、自立型ロボットへの代替が進み、もはや時代遅れとなりつつあった。
だが時代が変わろうとも、特車二課の仕事は変わらない。人と街を守ること。
第二小隊は旧式98式AVイングラムをチューンナップした”AV-98Plus イングラム“とともに、知恵と勇気で新たなテクノロジー犯罪に立ち向かう。【STAFF】
HEADGEAR PRESENTS
監督:出渕 裕/脚本・シリーズ構成:伊藤和典/キャラクター原案:ゆうきまさみ/キャラクターデザイン・総作画監督:佐藤嵩光/メカニカルデザイン:海老川兼武・渭原敏明/モビリティデザイン:河森正治/ディスプレイデザイン:佐山善則/演出:海宝興蔵/美術:菊地正典・秋山優太/色彩設計:伊藤由紀子/撮影監督:大河内喜夫/編集:仙土真希(REAL-T)/CG監督:森泉仁智/CG制作:GAZEN・J.C.STAFF CG部/音響監督:若林和弘/音響効果:山田香織/音響制作:マジックカプセル/音楽:川井憲次/プロデューサー:真木太郎/共同プロデューサー:町田有也/アニメーションプロデューサー:松倉友二(J.C.STAFF)/アニメーション制作:J.C.STAFF/プロデュース:GENCO/配給:松竹ODS事業室・バンダイナムコフィルムワークス/製作:機動警察パトレイバー EZY製作委員会【CAST】
久我十和:上坂すみれ/天鳥桔平:戸谷菊之介
平田紗季:小清水亜美/間 昭彦:小林親弘/柳井雄太:佐藤せつじ/柚木八久万:松村柚芽/佐伯貴美香:林原めぐみFile 1(2026年5月15日公開):「トレンドは#第二小隊」「閑中妄あり」「ホンモノが一番」
File 2(2026年8月14日公開): 「ワインと銃弾」「あさき夢みし」「恋のサバイバル」
File 3(2027年3月公開):「おもちゃの国・前編」「おもちゃの国・後編」
© HEADGEAR / 機動警察パトレイバー EZY製作委員会
(執筆者:斎藤ゆうすけ/90年代のアニメとゲームを愛するライター。放送作家&シナリオライターとしても活動。ゲームやアニメ、小説や漫画原作などシナリオの企画・制作も多数担当。専門学校でメディア論やシナリオ講座の講義も。)

