▲合田直弘が海外競馬の「今」を詳しく解説!(c)netkeiba【合田直弘(海外競馬評論家)=コラム『世界の競馬』】
◆世界の良血がニューマーケットに集結
10月6日から8日まで、英国のニューマーケットで開催される、「タタソールズ・オクトーバー1歳セール・ブック1」の上場馬が発表された。欧州最高の品揃えを誇るこのセールの、今年のカタログ記載馬は469頭。
このうち1割近い44頭が、G1もしくはクラシック勝ち馬の弟か妹という、超豪華なラインナップとなっている。相変わらず、このセールで購買された馬たちの活躍は顕著だ。
今年ここまでに誕生したG1勝ち馬では、6月6日にエプソムダウンズ競馬場で行われたG1英ダービー(芝12F6y)を制したクリスマスデー(牡3、父キャメロット、購買価格45万ギニー)、ロイヤルアスコット初日の6月16日に行われたG1キングチャールズ3世S(芝5F)を制したミッションセントラル(セ3、父ノーネイネバー、購買価格62万5千ギニー)、ロイヤルアスコット4日目の6月19日に行われたG1コモンウェルスC(芝6F)を制したヴェネシアンサン(牝3、父スターマン、購買価格24万ギニー)、6月27日にカラ競馬場で行われたG1愛プリティポリーS(芝10F)を制したエストレンジ(牝5、父ナイトオブサンダー、購買価格42万5千ギニー)、7月14日にパリロンシャン競馬場で行われたG1パリ大賞(芝2400m)を制したモルティーズクロス(牡3、父シーザスターズ、購買価格35万ギニー)らが、当セールにおける購買馬だ。さらに大西洋を越え、6月5日にサラトガ競馬場で行われたG1ニューヨークS(芝9.5F)を制したポートフォリオデュレーション(牝4、父ナイトオブサンダー)も、23年の当セールにて15万ギニー(当時のレートで約2918万円)というお手頃価格で購買されている。
5F、6Fの短距離戦から、王道の12F路線まで、さらには牡牝の性別を問わず、様々なタイプを活躍馬が生まれていることが、お分かりいただけよう。
上場馬を種牡馬別に見ると、昨年に続き今年も英愛リーディングサイアーランキングの首位に立つナイトオブサンダーの産駒が27頭スタンバイしているのをはじめ、フランケル(21頭)、スタースパングルドバナー(9頭)、ウートンバセット(35頭)、ドバウィ(5頭)、ダークエンジェル(7頭)、ロペデベガ(29頭)、ニューベイ(16頭)、ノーネイネバー(23頭)、メーマス(17頭)、キングマン(17頭)、シユーニ(9頭)といったトップサイアーらの産駒たちが上場を予定している。
7月8日付けのこのコラムで、アルカナ・ドーヴィル8月セールの展望を行った際にも記したが、ヨーロッパは今年の1歳世代が初年度産駒となるフレッシュマンサイアーの顔ぶれが、実に豪華だ。
現役時代の実績で言えば、その筆頭格となるのは、G1仏ダービー(芝2100m)、G1凱旋門賞(芝2400m)を含めて、6戦6勝の戦績で引退したエースインパクトになろう。同馬の産駒は5頭がスタンバイ。中でも、G1パリ大賞(芝2400m)勝ち馬オネストの半妹となる上場番号152番の牝馬は、購買者垂涎の的となりそうだ。
この他、G1英2000ギニー(芝8F)など2つのG1を制したシャルディーンの初年度産駒が13頭、G1デューハーストS(芝7F)など3つのG1を制したネイティヴトレイルの初年度産駒が8頭、G1BCマイルを含め5つのマイルG1を制したモダンゲームズの初年度産駒が4頭、G1エクリプスS(芝9F209y)、G1サセックスS(芝8F)など8F〜10F路線のG1を4勝したパディントンの初年度産駒が1頭、上場を予定している。
活躍馬の産駒や妹弟という括りで注目馬をあげると、上場番号1番の父シユーニの牝馬は、G1ゴールドC(芝19F210y)など4つのG1を制している現役馬スカンジナビアの半妹にあたる。上場番号13番の父ハバナグレーの牝馬は、G1・15勝という香港の英雄ロマンチックウォリアーの半妹。上場番号120番の父セントマークスバシリカの牝馬は、G1サンクルー大賞(芝2400m)など4つのG1を制しているドバイオナーの半妹。上場番号289番の父ウートンバセットの牝馬は、母がG1プリンスオヴウェールズS(芝9F212y)など4つのG1を制したザフューグ。上場番号322番の父ウートンバセットの牝馬は、G1コロネーションS(芝7F213y)など4つのG1を制している現役馬プリサイスの半妹。上場番号328番の父ジャスティファイの牝馬は、母がG1英千ギニー(芝8F)など4つのG1を制したウインター。上場番号346番の父フランケルの牝馬は、母がG1コロネーションS(芝7F213y)など4つのG1を制したアルコールフリー。上場番号361番の父ブルーポイントの牡馬は、G1ナンソープS(芝5F)など4つのG1を制したバターシュの半弟。上場番号373番の父トゥーダーンホットの牡馬は、母がG1英千ギニー(芝8F)など5つのG1を制したアトラクションである。
まさに、目移りするような品揃えと言えよう。
今年のタタソールズ・オクトーバー1歳セール・ブック1を巡るもう1つの大きな話題が、英国産のイクイノックス産駒が上場されることだ。上場番号318番として登場するのが、父イクイノックス、母ヴァルトリートの牝馬である。母は、凱旋門賞(芝2400m)を含めて4つのG1を制したヴァルドガイストの半妹という良血馬だ。兄同様に仏国で現役生活を送り、G2マルレ賞(芝2400m)を含む2勝を挙げた後、21年のタタソールズ12月牝馬セールにて英国のニューセルスパークスタッドに220万ギニー(当時のレートで約3億5934万円)で購買されている。ニューセルスパークがヴァルトリートを日本に送り、イクイノックスを交配。受胎したヴァルトリートが帰国し、25年2月23日に英国で産んだのが、今回の上場馬である。
イクイノックスの血脈が、欧州のマーケットでどのように評価されるか、セールが今からおおいに楽しみである。
(文=合田直弘)