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近年の物価高騰を背景に、VAIOのリファービッシュPC「Reborn VAIO」が企業の注目を集めている。同社は2025年に約5000台を法人・個人向けに販売し、ほぼ完売。今年も10月ごろに販売を始める予定だが、すでに多くの問い合わせを受けているという。
リファービッシュPCは、いわゆるメーカー再生品のこと。リース満了などで回収された中古PCをメーカーの工場でクリーニングや部品交換を行い、再度出荷する。一般的な中古PC(リユースPC)と違い、新品と同じメーカー保証が提供される。
とはいえ、法人向けのPCは価格やスペックの他にセキュリティやサポート体制、安定した調達など、いくつもの要件が求められ、単に安いというだけでは選ばれないはずだ。Reborn VAIOは中古でありながら、なぜ企業の調達担当者に受け入れられたのか。
●中途半端はしない
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VAIOのリファービッシュPCを見て、すぐに「中古だ」と見抜ける人は稀だろう。なにしろノートPCの天板からベゼル(ディスプレイを囲うパーツ)、キーボードとパームレスト、タッチパッドまで、外装の多くを新品に交換する。
VAIO法人営業本部Reborn VAIO事業室の花村英樹室長は「中途半端なことはしません。目で見えるところはほぼ新品に変えています」と話す。外装で新品にならないのは底面と液晶パネルのみ。ラベルや底面のビスまで新しくなる。
これらのPCは、VAIO安曇野本社工場の専用ラインで技術者が1台ずつ分解し、内部に入り込んだホコリを除去したり、各所に使われるビスを新品に交換したりしながら再度組み立てている。バッテリーも新品に交換。最終工程では新品製造時と同じ設備を使って動作確認を行う。
OSは一度削除して、MAR(Microsoft Authorized Refurbisher)と呼ばれる中古PC専用のライセンスでOSをインストールする。MARは再生PCに正規のセカンダリーラインセンスを提供する米Microsoftのプログラム。導入企業にとっては偽造品や不正利用を心配する必要がなくなる。
もう一つ見逃せないのは、Reborn VAIOはシリアルナンバーも取り直す点だ。花村室長は「中古PCのシリアルナンバーは、以前使われていた企業でシステムにひも付けられていることがあります。それがリセットされることで、シリアルナンバーに由来する不具合が起きないというのも大きな安心材料だと考えています」と話す。例えば24年1月にはXで「中古PCを買ったら、NTT Comの社内用設定画面が出て使えない」という内容の投稿が話題になった。原因は社用PC利用終了時に、サーバ上の“ハードウェアID”情報を削除し忘れていたことで、その後、NTT comはPCの購入者に事情を説明して謝罪している。
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出荷時には新品と同じ1年間のメーカー保証が付く他、サポート体制も新品と同様に整えている。企業が中古に対して懸念する多くのことを解消したといえそうなReborn VAIO。同社が一連の工程を「改修」や「整備」ではなく、「再製造」と呼ぶ理由も理解できそうだ。
●CPUは第11世代以降、メモリ16GB以上で線引き
25年に販売したのは、法人向け14型ノートPC「VAIO Pro PK」の4〜5年ほど前にハイエンドに位置していたモデルだ。米Intelの第11世代CPUを搭載し、16GBメモリ、256GBのSSD、14.1型のフルHD液晶という仕様で、一般的な業務なら十分に対応できる。
「われわれはどのPCでもReborn VAIOにするわけではありません。現在でも使えるスペックとして、CPUはインテルの第11世代以降、メモリは16GB以上で線を引いています」と花村室長。比較的新しい製品のため、セキュリティ機能であるTPM(Trusted Platform Module)はほとんどに付いている他、指紋認証や顔認証を搭載しているものも多い。
価格は「新品当時30万円代後半だった製品を、4年落ちで10万円を切る価格で販売したイメージ」。ただし、去年は新規参入第1弾のため戦略的な値付けを行っていた他、部材の高騰もあり、今年はもう少し高くなる見通しだという。
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●顧客のすそ野を広げた
リファービッシュPCを展開する時、一番の課題になるのは中古PCの調達だ。とくに法人向けではまとまった数が必要になる。
現在、VAIOはリースで戻ってきたPCを中心に調達している。25年は用意できる台数が約5000台と限られていたこともあり、販売先は従業員100人未満の中小企業が中心。一度に納品できる数も200〜300台を上限とせざるを得なかった。
実は中小企業はVAIOがリファービッシュPCの事業開始当初からターゲットとして見ていた顧客層でもあった。というのも、VAIOの事業規模ではラインアップを上から下までそろえることが難しく、これまでの製品は高付加価値モデルが中心。例えば消耗品費として一括経費計上できるため人気の“10万円未満の法人向けPC”など存在しなかった。
「VAIOの製品は、使ってもらえると価値を感じてもらえるのですが、そこに届いていませんでした。だから新品だけではカバーできない顧客層へのVAIOの価値提供を目指しました」と花村室長。Reborn VAIOは、リファービッシュPCであると同時に、VAIOのエントリーモデルとして顧客の裾野を広げる役割も担っていたわけだ。
案の定、10万円を切るReborn VAIOは人気となった。「4月に売り切れてしまったんですけど、DRAM高騰の影響を受けて新品のPCが高くなってますので、企業から『次はいつ販売するのか』など、さまざまな引き合いをいただいてます」。
一方で大企業からも「ただ安いだけではなく、品質やサポートまで含めて安心できるということで問い合わせいただいているケースが多い」。さらには環境への配慮や資源循環へ関心の高い企業がサステナビリティの観点から中古PCを求めるケースもあり、そうした需要に対応することが今後の課題になっている。
●次の一手は「買取予約」
VAIOは、この課題に2つのアプローチで取り組もうとしている。まずは顧客企業に対して「部署ごとの使い分け」を提案すること。「すべての部署に高性能なPCが必要なわけではありません。例えば生成AIを使う部署には新品のハイスペックPCを、一般の事務用途にはReborn VAIOを導入するなど、使い分けができます」。
また顧客が「予算がこれしかない」と言った場面で、「では新品を7割、Reborn VAIOを3割」といった提案もできる。新品とリファービッシュPCの両方を扱い、企業に直接営業を掛けられるメーカーならではの戦略だ。本業の新品PCを売るための「調整役」になることを期待している。
もう1つのアプローチは、中古PCの調達手段に関わる部分だ。「将来的には、新品を販売する時に『買取予約』することを考えています。3年から4年使ったVAIOを返してくれれば、いくらで引き取りますと約束することで、数年後の調達できる数が見えてきます」。現在、リース会社などと協力して仕組みづくりに取組んでいるという。
買取予約は、顧客企業とVAIOの双方にメリットがある。企業は価格が上がっている新品PCの調達コストを下げられるうえ、例えば3年使ったPCを下取りに出してVAIO側でリファービッシュ品として再生し、同じ企業に再び購入してもらうことで、6〜8年という長いスパンでPC調達・運用コストの圧縮を検討できる。一方のVAIOは安定的な中古PCの調達手段を得て、価格高騰で売りにくくなった新品PCの販促にも役立てられる。
「こういう仕組みができれば、数年先を見据えた良い循環ができると思います」と話す花村室長。現在の目標は、29年3月期に年間6万台のReborn VAIOを販売することだという。
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