ひろゆき―[ひろゆきの兵法〜われら氷河期は[人生後半]をどう生きるか?〜]―
就職氷河期世代はこれまでの人生においてさまざまな困難を乗り越えてきたわけだが、40〜50代になって改めて向き合う難問が「新しいもの」だ。将来不安から必要以上に貯蓄を追い求めてしまう彼らに、同世代のひろゆき氏がシンプルな指針を示す。
◆若者のマネはしなくても、「便利だから使う」というノリは、パクったほうがいい
氷河期世代を含むおじさん世代には「若者のマネは恥ずかしい」と思う人も多いでしょう。若者とまったく同じことをする必要はないですが、「若者はなぜそれをやっているのか?」という合理性の部分はパクったほうが、得をするケースが多いです。
もちろん、若者と同じ流行を必死に追いかけたり、外見やノリを寄せたり……という話ではありません。重要なのは、若者と同じことをやるのではなく、「なぜその行動をしているのか」をしっかりと見ていくことです。
というのも、若者の行動の中には合理的な生存戦略になっているものが多いからです。世の中には「知らないと損をする」という仕組みがあります。わかりやすいところでいえば、格安スマホ。若い人の多くは格安スマホに乗り換えてコスパよく携帯を使っていますが、その一方で「面倒くさい」「今のままでいい」と割高なキャリアを使い続けるおじさんは意外と多いです。
その他にも「複雑だけど組み合わせるとお得になる」みたいな仕組みは世の中にはゴマンとあって、若い人はお金がないので、そういうテクニックに敏感だったりします。補助金やポイント還元とかも、よくわからず敬遠して取り逃がすパターンがありますが、こういう小さな判断の積み重ねが、結果として数万〜数十万円単位の差になります。
ここまでは小手先の実利の話でしたが、そもそもおじさん世代が若者から見習うべきは、「便利だから使う」という忌避感のなさだと思います。
例えばAI。AIの進化のスピードはものすごいので、現時点でAIの使い方に詳しくなっても、1年後にはその知識の多くが陳腐化しかねません。一時期流行った「プロンプトエンジニアリング」も、今ではそこまで意識しなくても、会話を繰り返すことでアウトプットの精度が上がるようになっています。
◆「とりあえず試す」が、経験の格差になる
つまり、AIで細かいテクニックを覚えること自体の価値はどんどん下がっています。それでも若者は、とりあえず触りますし、便利そうなら使ってみる。ダメならやめる。その試行回数の多さが、そのまま経験や情報の格差に繋がっているのですね。
新しいサービスでも、AIでも、若者は「意味があるかどうか」よりも「とりあえず便利そうか」で判断して触ります。そのフットワークの軽さが結果的に機会損失を減らし、得を拾える確率を上げているわけです。
来年になれば、「AIに質問して仕事を進める」のはネット検索と同じくらい当たり前になっている可能性もあります。それを勉強としてではなく、日常の延長として使えるかどうかが差になるわけです。
おじさん世代に必要なのは、若返ることではなく、「便利なら使う」という合理性だけ。もちろん、新しいツールやサービスは性能が微妙だったり、AIは平気で嘘をつくので信じ切ると騙されるリスクもあり、そこはおじさんならではの「裏を取る」「疑ってかかる」というスキルを使っていくといいと思うのですよ。
構成・撮影/杉原光徳(ミドルマン)
―[ひろゆきの兵法〜われら氷河期は[人生後半]をどう生きるか?〜]―
【ひろゆき】
西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』