限定公開( 2 )

2026年は、多くの老舗デジタルカメラが30周年を迎えてるのだけど、実はリコーの「GR」も今年10月でちょうど30周年なのである。
おめでとうございます。
秋にはGR IVの30周年記念モデルも登場予定だ。シャッターボタンや背面ボタンの色を初代「GR1」をイメージした色に変更し(分かりづらいけど)、特別仕様のリングキャップや歴代GRをかたどったスペシャルピンバッヂセットなど、30周年記念アイテムも同梱される。
初代GRはいまさらいうまでもなくデジタルカメラじゃなくてフィルムカメラ。1996年10月に初代GRといえるGR1が誕生して30年なのだ。当時はまだデジタルカメラは黎明期で写真としてのクオリティはまだ低く、フィルムカメラの全盛期だったのだ。
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GR1が登場したとき、瞬く間に写真家やカメラ好きの間で評判になったのを記憶している。自分では使ってなかったけど、まわりから絶賛する声が聞こえてきたのだ。特にボディとレンズ。
あの頃、単焦点コンパクトといえば35〜40mmというちょっと広角めの標準レンズが中心だった。レンズをコンパクトに作れて、汎用性が高い焦点距離だったからだ。有名どころでは「コンタックスT2」が38mm、コニカの「HEXAR」やニコンの「35Ti」が35mmだ。
そこに28mm F2.8という広角単焦点レンズを採用し、しかも写りがシャープで良かった。28mm単焦点F2.8のレンズが一番のキモだったかと思う。
そして絞り優先AEや露出補正ダイヤルを持ち、その上薄型軽量で常時携帯できる実用性重視のボディも含めて絶賛されたのである。
フィルム時代のGRシリーズはその後、01年にモデルチェンジした「GR1v」や21mmという超広角レンズを搭載した「GR21」を最後に終了。デジタルカメラが主流になり始めた時期だ。
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●デジカメの初代機は95年に登場
リコーはデジタルカメラにもいち早く取り込んでおり、初代機は1995年(つまり、昨年が30周年だった)の「DC-1」とすごく早かった。ただこのカメラはデジカメ黎明期のさらに初期の登場で、後にデファクトスタンダードとなる規格が確立される前であり、画像はJPEGではなくJ6I形式(画像部分はJPEGと同じだが、ヘッダ情報が独自規格)だったり、メモリカードがAIMS仕様のPCカードという結局普及しなかったものであったりしたのだけど、初期の初期だからしょうがない。
手元に1台あるのだけど、バッテリー(ガム型のニッカドバッテリー)も対応するメモリーカードもないので単なる記念品と化しております。
リコーのデジタルカメラはチルト式モニター搭載のフラットスタイルやレンズ回転式などを経て、「Caplio」というブランドを付けるに至るが、デジカメのブランドとしてはいささかマイナーだったことは否めなかった……そんな時にアレが登場したのである。
初代「GR Digital」だ。05年9月に大々的な発表会が開催されたのをよく覚えている。
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フィルム時代のGRのデザインコンセプトをそのまま受け継ぎ、28mm相当F2.8のレンズを搭載した高級コンパクトとしてデジタル化されたのである。イメージセンサーは当時としては大きめの1/1.8型CCDで813万画素。誰が見てもGRシリーズと分かるデザインや操作性、単焦点ならではの速写性は魅力的で、ハイコントラストでシャープな写りは風景を撮るとすごくシャキッとして印象的な画質だったのを覚えている。
GR DIGITALシリーズは11年の「GR DIGITAL IV」でいったん終了。そして13年には見た目はあまり変わらないのに中身がフルモデルチェンジし、GR DIGITALから「DIGITAL」が取れた「GR」が登場したのである。
フィルム時代は「GR1」と「1」が付いてたけど、この時は「GR」のみ。大きさがほとんど変わらないまま(GR DIGITAL IVに比べて幅、高さ、奥行きとも数mm増えただけ)、センサーサイズが一気にAPS-Cサイズに増えたにもかかわらず、である。これでGRの名にふさわしい画質を得るに至ったのだ。
GR DIGITALのウリの1つだった1cmマクロこそなくなったが、カメラとしてのクオリティは格段にアップ。このサイズでAPS-Cサイズセンサーを搭載したスナップ向けカメラとして唯一無二の存在になったといっていい。大型センサーのコンパクト機は他にもあるけれども、このサイズ感、薄さを実現したのはGRだけだ。
そして面白いのが21年。19年に登場した「GR III」のバリエーションとして「GR IIIx」が登場したのだ。GRは伝統的に28mm相当のレンズを搭載してきたのだが、GR IIIxは40mm相当。標準域のレンズだ。
GR1が登場した90年代、単焦点コンパクト機の主流が35〜40mmだった時代に28mmという広角レンズを採用して写真家に好評を博したGRが、22年になって40mm相当というバリエーションを出してきたのである。面白いよね。
ちなみに、他社の広角単焦点レンズの高級コンパクトは富士フイルムの「X100」シリーズが35mm相当、ソニーの「RX1」シリーズが35mmなので、それよりちょっとだけ焦点距離が長いことになる。
さらにクロップズームを使えば(有効画素数は少なくなるものの)、71mm相当も使え、ちょっとしたポートレートにも対応するようになった。
そして25年に「GR IV」が誕生。新開発のレンズを搭載し、イメージセンサーも新しくなり、高感度にも強くなり、手ブレ補正も強力になり、操作系が初代GR DIGITALに近くなり、ADJレバーがダイヤルになり、操作性はぐっと上がったというのは個人的な感想だが、賛同してくれる人は多いかと思う。
そうなると、GR IVの40mm相当版(つまり、GR IVx)はいつ出るのか、気になるよね。
HDF(ハイライト/ディフュージョンフィルター)を搭載した「GR IV HDF」(26年1月)、モノクロ専用機の「GR IV Monochrome」(26年2月)は発売されているのだが、GR IVxについてはなかなかアナウンスがなかったのだ。
●GR IVxの開発発表はなぜ今だったのか?
そんな折、GR誕生30周年の直前となる8月27日に、リコーからGR IVxの開発発表があったのである。今のところ、レンズが新開発であることと、新機能の搭載も予定しているというだけで詳細は分からないが、標準レンズのGRを求めていた人には朗報だ。
発売は「26年冬以降(予定)」なので、いささか開発発表が早い気はする。
プレスリリースを見ると「現行製品の『RICOH GR IIIx/IIIx HDF/IIIx Urban Edition』につきましては、調達部品の終了に伴い、26年10月中の出荷分をもって製造完了となる見込みです」という一言が目に付く。
昨今のGRシリーズは品薄で入手が難しく、リコー公式ストアでは抽選販売となっているほど。しかも7月には価格改定で値上がりしている。
そんな状態で現行機種のGR IIIxが製造完了になってしまうということで、冬以降になるけれども、その後にGR IVxが予定されているよ、と公式に表明しておく必要があったのだろう。これがないと、GR IIIxが終了してしまった、GR IVxは発売されてない、もうこのラインはなくなるのか? と思われたらまずいということで公式に表明しておく必要があったのだろう。
詳細は正式発表を待たねばならないが(現段階ではまだ開発発表にすぎないのだ)、SNSでは「GR IVxの登場はうれしいが、価格がどうなるのか」「発売されたからといって入手は可能なのか」という不安の声も散見される。昨今の情勢を見ると入手困難な状況はなかなか脱却できなさそうではあるが、無事に予定通り手が届きそうな価格で発売され、必要とする人にきちんと届けられるよう祈りたい。
なにしろ、大人気のシリーズであり、APS-Cサイズセンサー搭載でありながら小型軽量で携帯性が高く、ふらふら持ち歩いていつでもスナップを撮れるという他にはないカメラなのだ。
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