
手のひらで転がすとは、まさにこのこと。そう思わずにはいられなかった。
9月6日に行なわれたバレーボール男子アジア選手権の予選ラウンド第2戦、日本代表のエース�盒桐�(ボグダンカ・LUK・ルブリン/ポーランド)はバーレーンのレシーブを翻弄した。
象徴的だったのは、第2セットだ。
12-8の場面から�盒兇�エンドラインに立つと、まずはショートサーブで相手アウトサイドヒッターの手前にボールを打ち込む。すると、レシーブされたボールはネットを越えて自陣へ。それを石川祐希(ジラート・バンク・アンカラ/トルコ)がダイレクトで叩き込み、まずは1度目のブレイクを演出する。
その次は、プレー開始のホイッスルが吹かれると同時に、間髪入れずサーブを打ち込む。通常、サーブを打つ時はアタックと同様にジャンプし、高い打点からボールを放つものだが、この時はスタンディングの状態から。それは「クイックスタート」と呼べる、奇襲的なサーブだった。
|
|
|
|
「相手が準備できておらず、それでいて自分のサーブに苦しんでいる状況だったので、不意にサーブを打ちこむことによって、相手に悪い状況でコンビを組ませる狙いがありました」と�盒供7覯姪�に日本がブロックで仕留め、またしても追加点を挙げた。
日本のターンは、まだまだ終わらない。続くプレーでも�盒兇蓮∈討咼轡隋璽肇機璽屬覗蠎螢螢戰蹐離譽掘璽屬鰺陲掘�日本のブロックシャットをお膳立てする。
そこからバーレーンはメンバーチェンジを繰り出した。だが、�盒兇麓,離廛譟爾發靴辰�りと前衛のミドルブロッカーに捕球させる戦術的なサーブを打ち込み、トランジションアタックを石川が締めて、さらに加点する。
そうしてバーレーンのタイムアウト明けにもブレイクに成功(ここでは�盒兇離機璽屬�ネットにかかりながらも相手コートに。レシーブもやや乱れ、バーレーンのセッターがアンダーハンドで2本目のパスを上げる形となった)。
17-8から、最後はサーブがネットに刺さり、そこで一旦区切りがついた。だが、�盒兇離機璽屬砲茲辰�5度のブレイクを重ね、このセットを決定づけたのである。
|
|
|
|
【相手の足がまるで動いていなかった】
緩急をつけることで、相手レシーブを揺さぶる。�盒兇離轡隋璽肇機璽屬蓮⊆造妨�果的だ。
そもそも本人は、「ショートサーブのバリエーションについて、それほど意識したことがなかった」と言っていた。だが、自身の備える武器へと磨き上げたのは、海外でプレーした経験が大きかったという。2023-24シーズンのイタリア・セリエAで所属先のモンツァをリーグ準優勝に導き、日本代表に合流した際、このように語っていた。
「特に海外の選手は、ショートサーブへの対応が苦手な印象を受けました。また、自分自身も強いサーブが入らない時はショートサーブを混ぜるなど、サーブのコンディションを整えるための方法が必要と感じていました。
やはり、まずはミスをしないことがサーブにおいて一番重要ですから。ショートサーブに取り組み、今では同じモーションから短い軌道や強いボールを打ち分ける感覚が身につきました」
さらにこれより以前は、「相手がどのサーブを待っているのかを読みつつ、自分の感覚でサーブの種類を決めています」と話していた。海外でプレーするなかで、より理論的に、かつ技術的にもショートサーブを向上させたというわけだ。
|
|
|
|
もちろんショートサーブだけでなく、時に力強く、時にコースを狙いすまして放つサーブがあってこそ、こうしたバリエーションの多さが相手にとっては何よりの脅威となる。実際に、�盒兇離機璽屬�いかに脅威であるかは数字の上でも明確だ。
2025-26シーズンの大同生命SVリーグでは、サーブ効果率14.0%で全体3位に入り、サーブ得点は57本で西田有志(大阪ブルテオン)と並ぶ2位タイだった。さらに今年のネーションズリーグにおいても、24本のサービスエースを奪い、同部門2位に名前を連ねている。
やはり相手からすれば、�盒兇�エンドラインに立つだけで警戒せざるを得ない。このアジア選手権においても、予選ラウンド初戦のオマーン戦(9月4日)では第1セットでさっそく連続サービスエースを決めている。それも2本ともショートサーブであり、相手のレシーバーたちは足がまるで動いていなかった。
【大会トップのサービスエース決定数】
同様にこの日のバーレーン戦でも、第1セットで連続サービスエースを奪ってみせた。だが、ここでは1本目が相手コートのコーナーをつく鋭い打球で、2本目が相手リベロにうまくレシーブさせないショートサーブ。「1本目が強打だったので、相手もかなり深めに守っているなと感じました。前後に揺さぶりたいと考えた結果、うまくハマりました」と、�盒兇呂靴燭蟯蕕澄�
試合の流れをつかむうえで、サーブポイントは絶大な効果がある。�盒兇慮斥佞�続く。
「やはり第1セットの出だしは、その試合自体のリズムや展開をつくっていくうえで非常に重要ですから。そこは自分自身、とても意識していました。得点することでチームも精神的にラクに試合を運べ、プレーがやりやすくなるからこそ、どんどんいい動きが出てきますよね。それを自分のサーブからつくり出していきたい、その思いで第1セットはサーブを打っていました」
現在、アジア選手権において�盒兇離機璽咼好─璽�8本は、堂々の大会トップの数字だ(9月6日終了時点)。なおかつ「日本はブロックディフェンスがいいですから」と本人も話すように、チームの強みを最大限に発揮するうえで、その効果的かつ戦術的なサーブは、大きな手立てとなっている。
�盒兇�サーブの構えに入る。見ている者の期待値がグッと高まるのは、そのせいだ。
坂口功将●取材・文 text by Kosuke Sakaguchi