相次ぐ「道路冠水」が予測しづらい理由 ナビタイムに聞く、豪雨からクルマを救う「道路標高マップ」試作のきっかけ

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2026年09月08日 11:41  ITmedia NEWS

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「道路標高マップ(プロトタイプ)」

 最近、増えている局地的な豪雨による道路の冠水被害。ナビタイムジャパン(東京都港区)が9月3日に公開した「道路標高マップ(プロトタイプ)」は、そうした被害からクルマを守るために参考にしたい地図だ。Webで無料で閲覧できる。


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 JAF(日本自動車連盟)が2010年に実施した「冠水路走行テスト」では、水深が30cmの場合、セダン、SUV共に時速10kmなら走行できるものの、時速30kmに上げるとセダンはエンジンルームに多量の水が入ってしまった(走行はできた)。また水深が60cmになるとセダンは時速10kmでも走行できず、SUVは時速10kmなら走行できたものの、時速30kmになると走れなくなった。冠水した道はリスクが大きい。


 ナビタイムは、これまでもハザードマップ上で冠水注意地点を確認する機能やアンダーパス(立体交差のために下側を周囲より掘り下げた道路)などを避けて迂回するナビゲーション機能を提供してきた。例えばカーナビアプリ「カーナビタイム」では、2023年に「冠水注意地点回避ルート」を追加。1時間に30mm以上の雨が予想される時、全国に約3600カ所ある冠水注意地点を回避するルートをドライバーに提案する。


 これらの機能は、単に既知の注意地点を避けるための機能だ。しかし最近の局地的な大雨では、アンダーパスのみならず市街地や交差点、駐車場なども冠水する被害が相次いだ。


 冠水した場所は、一見平たんに見えても実は“すり鉢状の地形”になっており、水がたまりやすい場所だったといわれている。時間あたりの雨量が多く、道路の排水機能が追いつかなくなった結果、そうした場所が冠水するようになった。ただし、それらは冠水注意地点のリストやハザードマップにはまだ載っていない。


●地表の凹凸を可視化した「道路標高マップ」


 こうした状況を見たナビタイムは、自社の地図データ処理技術を用いて何らかの参考情報を提供できないかと考えた。そして地図会社から提供される道路標高データを基に、生成AIなどを使って作成したのが道路標高マップだ。


 道路標高マップを見ると、道を示す黄色い線がワイヤーフレーム(3Dモデリングの立体の表現方法。線と頂点で描く)のような役割をして、地表の凹凸が分かりやすい地図になっている。右上の検索窓で地名や駅名、交差点名を入力すれば場所を指定できる他、高低差が分かりやすいように地図の標高を強調する機能もある。


 地図の所々にある小さな青い円は、水がたまりやすい場所だ。そして右下の操作パネルで雨の強さを選び、「降雨 開始」ボタンを押すと、雨水を示す水色の玉が道路上を流れていく様子がアニメーションで表示される。時間経過と共に、黄色だった線(道路)が水色に変わる所も出てくる。


●標高データと生成AIの組み合わせ


 開発担当者は「今回のプロトタイプでは、道路標高データを入力データとし、地形の解析から降雨時の雨水の流れ込み・滞留傾向のシミュレーションまでを、生成AIを活用して一括で処理・生成させています。既存の標高データと生成AIを組み合わせることで、直感的な水流シミュレーションを迅速に可視化する技術アプローチの検証を行っています」と話す。


 ただし、下水道など道路の排水施設の能力やリアルタイムの雨量は考慮していない。だから青くなった道は“冠水が予想される場所”ではなく、あくまでも“周囲から多くの雨水が流れ込むと予想される場所”だ。


 ナビタイムによると、道路の冠水を予測するには、道路の排水施設の能力の他に土壌の吸水性、周囲にある河川の状況、リアルタイムの降雨量なども考慮する必要があり、今のところそうしたデータはないという。「そもそも道路の排水能力などのデータが存在するのかも分かりません」。


 このため、道路標高マップは現状、参考用の技術検証ツールという位置付けで、同社のカーナビアプリに取り入れる予定もない。それでも大雨の予報が出た時、どこの道を避けるべきか、クルマをどこに駐車するべきかと心配しているドライバーにとっては貴重な情報になるはずだ。


 「平時の防災・通行の参考情報として、自宅や職場周辺、よく通るルート上に存在する“周囲より低い地形”を把握し、大雨時の危険予測の参考情報として活用いただければ」(ナビタイム)。



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