限定公開( 1 )

ポータブルなデジタルオーディオプレーヤーが登場してから、片時も音楽を手放せなくなったという人は多いだろう。これまでさまざまな小型プレーヤーが登場してきたが、現代ではスマートフォンで音楽を聞くスタイルがすっかり定着している。
しかし、そうした日常の中でひそかなストレスを抱えていないだろうか。例えば、ストリーミング再生によるバッテリー消費を抑えるために音楽を止めざるを得ないことや、SNSなどの通知音にリスニング体験を邪魔されることなどが挙げられる。かといって、重厚なハイレゾプレーヤーやポータブルDACをスマートフォンと重ねて持ち歩くのは身軽な移動には大げさであり、おいそれと手を出せる価格でもない場合が多い。
FIIOの「Snowsky ECHO NANO」(以下、ECHO NANO)は、まさにそうした日常の「ちょっとしたモヤモヤ」を手頃な価格でスマートに解決してくれるアイテムかもしれない。価格は1万3200円だ。
胸ポケットにもすっぽり収まる極小サイズでありながら、音楽再生の役割をスマートフォンから完全に切り離し、通知に邪魔されない「純粋な音楽時間」を提供してくれる。
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かさばる機材を避けつつ身軽に高音質サウンドを持ち歩きたい人や、スマートフォンのバッテリー消費を抑えながらサブ機で音楽を楽しみたい人にとって、まさにうってつけの存在だ。今回、本機を借りる機会を得たので、実際の使い勝手を紹介していこう。
●レトロデザインと最新オーディオ技術の融合
FIIOのSnowskyシリーズといえば、ポータブルカセットプレーヤーをほうふつさせる「ECHO MINI」や、ポータブルCDプレーヤー風の「Snowsky DISC」など、レトロなガジェット感と高品位なオーディオ性能を融合させた魅力的なラインアップで注目を集めている。
今回登場したECHO NANOは、そのコンセプトをさらに推し進め、手のひらにすっぽり隠れるほどの超小型/軽量設計を実現したデジタルオーディオプレーヤーである。実測サイズは約84(幅)×23.5(奥行き)×13(高さ)mm、質量はわずか33.8gと非常にコンパクトだ。ちょっとした隙間さえあれば、どこにでも収めておける。
このコンパクトなボディーには、操作性を高める工夫もしっかり施されている。ダイヤルと物理ボタンを搭載しているため、ポケットに入れたままでも片手で電源のオン/オフ、音量調整、再生/一時停止、曲送り/曲戻しといった基本操作を行える。
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本体を取り出せば、0.91型のOLEDディスプレイが役立つ。ここには再生中の曲名やアーティスト名、フォルダー階層など操作に必要な情報が表示される。コントラストが高く視認性に優れている一方で、低消費電力のディスプレイを採用しているため、バッテリー駆動時間を大きく削る心配もない。
再生対応フォーマットは、DSD/WAV/FLAC/APE/MP3/OGGと幅広い。ただし、内蔵ストレージは256MB程度と控えめだ。ハイレゾ音源は1曲で100MBを優に超えることも多いため、実質的には最大256GB対応のmicroSDメモリカードスロットを利用することが前提となる。
とはいえ、往年の小型MP3プレーヤーを思わせるノスタルジックな雰囲気や、CNC削り出しによるアルミマグネシウム合金ボディーの質感は、ガジェットとしての所有欲を十分に満たしてくれる。
内部には、シーラス・ロジック製のDACチップ「CS43131」を搭載するなど、ハイレゾ音源の再生にも対応し得る高品位なオーディオ技術が投入されている。また、スマートフォンやPCとUSB接続することで、本機をUSB DACとして活用することも可能だ。
では、早速使っていこう。
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●実際に触って確かめた操作感と高音質なサウンド再生環境
レビューにあたって実機を手に取ると、その想像以上の小ささと軽さに驚かされた。ポケットやバッグのわずかなスペースにスッと収まり、身に着けていることすら忘れてしまいそうだ。物を落としがちな筆者としては、万が一なくしても気付かないのではないかと不安になるほどのサイズ感である。
電源を投入すると、コンパクトなディスプレイに視認性の高いレトロ調のUIが表示される。ボタン類による操作体系もシンプルかつ直感的だ。再生/一時停止や曲送り、音量調整、イコライザー設定などの基本操作を初見でも迷うことなく行え、FIIOらしいこなれたUIに仕上がっていると感じた。
ハイレゾ対応の有線イヤフォン(Galaxy S8+付属の「AKG EO-IG955」)を接続して聞いてみると、そのコンパクトさからは想像できないほど音の解像感が高く、ボーカルの吐息まで生々しく伝わってきた。思わず「ハイレゾ楽曲を買っておいて良かった!」と頬が緩むクオリティーだ。
イコライザーには、レトロ/バス/ヘヴィ/ポップ/ジャズ/ユニークという6種類のプリセットが用意されている。チューニング自体は控えめで、例えばヘヴィからポップへ切り替えた際にも、高音域がわずかに強調される程度の大げさすぎない変化だった。
せっかくなので、USB DAC機能も試してみた。接続先はミドルスペックのタブレット「Lenovo TAB8」と、モバイルノートPCの「GPD MicroPC 2」だ。どちらも3.5mmヘッドフォンジャックを搭載しているため、USB DACを通した場合との音質の違いを検証しやすい。
Lenovo TAB8での検証には、ハイレゾ再生対応アプリ「Onkyo HF Player - ハイレゾ音楽プレイヤー」を利用した(USB DAC出力機能は課金解放済み)。
タブレット単体のジャック経由では悪くないものの、平たんだったサウンドがECHO NANOを通すことで全体的に粒立ちの良い音へと変化した。Lenovo TAB8自体もハイレゾやDolby Atmosに対応するなど音響面に力を入れた端末だが、それでもはっきりと違いが分かるほどの向上に驚かされた。
ECHO NANOの効果をより強く実感できたのは、GPD MicroPC2での検証だ。同機はハイレゾ再生に対応しておらず、標準のイヤフォンジャックにAKG EO-IG955を直接挿しても、全体的にくぐもった音が流れてくる。
しかし、ECHO NANOをUSB DACとして利用すると、驚くほど音質がクリアになった。この音質改善効果はPC内のハイレゾ楽曲に限らず、YouTube MusicやAmazon Music Primeといったストリーミング音源でもしっかりと確認できた。
最近のスマートフォンやタブレットはハイレゾ再生に対応するモデルが増えているが、PC(特にビジネス向け)のオーディオ回路は“音が鳴れば良い”程度にとどまることも少なくない。そうしたデバイスの音質を手軽に底上げする目的でも、1万3200円のECHO NANOは十分に役立ってくれるはずだ。
●USB DACとして使いやすいものの楽曲保存操作には一癖あり
ECHO NANOは、スマートフォンやPCとUSB接続するだけで、特別な設定は不要ですぐにUSB DACとして機能する。
ただし、楽曲転送のために外付けドライブとして認識させるには、少し素早い操作が求められる。USB接続直後、ディスプレイに「USB DATA」と「USB DAC」の選択画面が表示されている間に、ボタンかダイヤルを操作して「USB DATA」を決定しなければならないからだ。
無事に「USB DATA」として認識されれば、あとは一般的な外付けドライブと同じように楽曲データをコピーできる。なお、一度データ転送モードで利用すると、次回接続時もデフォルトで「USB DATA」が選択されやすくなるため、USB DACとして使いたい場合は素早い切り替えが必要だ。このモード切り替えについては、本体の「設定」メニューから固定できるようにしてほしかったところだ。
●日常に「音楽専用機」を取り入れる
スマートフォンは、いってみれば万能なマルチデバイスだ。しかし、何でもこなせるからこそ、複数のタスクを同時に処理しようとすると、動作がもたついたり機能が制限されたりと、どこかしらにひずみが生じてしまう。
そこで音楽再生に特化した超小型デバイスを取り入れれば、こうした課題はあっさりと解決する。ECHO NANOは、バッテリー消費への懸念や通知音に邪魔されるストレスからユーザーを解放してくれる上に、極小サイズで携帯性も抜群だ。レトロでかわいらしいデザインと精巧なアルミボディーは、ファッションアイテムとしても映え、確かな所有欲を満たしてくれる。
また、普段使っているPCの音質を手軽に向上させたい人にとっても、ECHO NANOは有力な選択肢になる。ローカルの音楽ファイル再生だけでなく、YouTubeやストリーミング配信動画など、あらゆる音源のクオリティーをランクアップできるからだ。
手軽に本格的なオーディオ体験を始めたい人や、スマートフォンのサブ機として音楽プレーヤーを探している人、コストを抑えつつPCの音質をアップさせたい人にとって、間違いなく検討の余地がある魅力的なガジェットだ。
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