2026年F1第13戦イタリアGP予選 ポールポジションを獲得したピエール・ガスリー(アルピーヌ)。史上109人目のポールシッターとなった 今回のF1第13戦イタリアGPを大いに盛り上げたのは、予選でピエール・ガスリーがポールポジションを獲得したアルピーヌだろう。
予選が予想外の結果になることはこれまでもあった。だが、そのほとんどは雨絡みの混乱によるもの。今回のイタリアGPように、完全ドライ路面で行われ、かつクラッシュやコースアウトなどによってセッションが中断することがない予選で、実力で優勝が狙えるトップチーム以外のドライバーがポールポジションを獲得したのは、2009年のベルギーGPのジャンカルロ・フィジケラ(フォースインディア)以来の大番狂せだった(2012年のパストール・マルドナド/ウイリアムズもそれに近いが、そのレースでマルドナドは優勝しており、ポールポジションは番狂せとまではいえない)。
では、なぜガスリーはイタリアGPでポールポジションを獲得することができたのか。考えられる要因は3つある。
ひとつは、アルピーヌのマシンがストレートスピードを重視した空力設定になっていたことだ。予選で最高速をマークしたのは時速338.1kmのジョージ・ラッセル(メルセデス)だったが、2番手には時速335.2kmでフランコ・コラピント(アルピーヌ)がつけ、ガスリーも時速334.6kmで3番手だった。
ストレート区間が長いとはいえ、モンツァにはコーナーもある。そのため、レースを見据えて、トップチーム勢は同じトップチーム勢と同じレベルのダウンフォースに合わせる傾向にあり、アルピーヌを警戒していなかった。それがアルピーヌ勢の大駆けを許した要因のひとつとなった。
ふたつ目の要因は、ポールポジション候補のひとりになるはずのアントネッリがパワーユニット交換によって後方からのスタートが決まっていたため、Q3ではチームメイトのラッセルのための風除け役に回ったこと。ラッセルの最高速もおそらくアントネッリのスリップストリームが効いていたからだと考えられる。もし、Q2でトップタイムとなった1分21秒882をマークしたアントネッリがQ3も真剣にアタックし、自己ベストを更新していたら、ガスリーが記録したポールポジションタイムである1分21秒786を上回っていた可能性は十分考えられる。
3つ目の要因は、Q3の最後のアタックでトップチームのドライバーたちが完璧なラップを刻めなかったことだ。最後のアタックはマクラーレン勢がオスカー・ピアストリ、ランド・ノリスの順で先頭でコースイン。マクラーレンとしてはピアストリのスリップストリームをノリスに使わせる予定だったが、ピアストリが1コーナーで飛び出し、目論見は消えた。
マクラーレン勢に続いていたのはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)だが、チームメイトのリアム・ローソンがQ2で敗退していたため、スリップストリームを使うことができなかった。それでも、チームはマクラーレン勢のスリップストリームを使う作戦に出たが、アウトラップの1コーナーをショートカットしたため、マクラーレン勢について行くことができなかった。
フェルスタッペンはアタックに入る前、マクラーレン勢との距離を空けるためにペース落とした。そのため、その直後を走行していたアントネッリとラッセルのギャップが縮まってしまう。そのためアントネッリは機転を効かせて1コーナー手前でラッセルに進路を譲るが、予定が狂ったラッセルは少し混乱。これがセクター1で区間自己ベストをコンマ2秒以上ロスする原因となった。もし、セクター1のロスがなければ、ラッセルがポールポジションを獲得していただろう。
これらの幸運を味方につけたとはいえ、Q1ではトップタイム、Q2でも4番手、そしてQ3の1回目も3番手についていたガスリーとアルピーヌがモンツァで速かったことは間違いない。
モンツァはガスリーにとって、2020年にアルファタウリで初優勝を果たした思い出の地。その特別なサーキットで今度は初めてポールポジションを獲得した。このふたつの記録は奇妙な縁でつながっていた。じつは2020年のガスリーの優勝は、F1史上109人目のウィナーだった。その6年後、今回のポールポジションも、F1史上109人目のポールシッターだった。
[オートスポーツweb 2026年09月09日]