北澤は、2009年にドレスドアンドレスドを設立。「服を着る、服を脱ぐ」という二項対立に潜む緊張関係を探求し、マスキュリニティとフェミニティ、内と外、存在と不在といった対極の概念を共存させるテーラードスタイルを追求している。
同展は、ブランド創設18年を迎える北澤が、10年ぶりに故郷の青森で発表した初の大規模空間インスタレーション。今年8月の青森県立美術館での開催時には、「衣服、身体、建築、言語」の境界を脱構築し、「不在」そのものを空間に提示する試みを披露した。
展示の根底にあるのは、「着る(DRESSED)」と「脱ぐ(UNDRESSED)」という二項対立の間に潜む緊張関係。作品にはマネキンや人を一切用いず、作家自身の手で解体し、擦り切れ、無数の穴を施したテーラードスーツなどを展示した。衣服から「身体を覆う」という本来の役割を剥奪することで、それらを世界と対話するための「窓」や「遺構」として表現した。
青森での個展は、3つの空間で構成。第1室「内なる部屋と鏡」では、鏡を用いた作品「Mirror Book」を通して鑑賞者の視線を内面へと向けさせ、第2室「白いヴェールと肖像」では鑑賞者が自らの手で白いヴェールをめくり、隠された肖像を覗き込む参加型の展示を実施。最終室となる第3室「時間の彫刻」では、極細のワイヤーによって重力と張力のみで宙に浮遊する4体の黒い衣服「Sculpture of Time I–IV」や、薄紙や繊維、墨を幾重にも重ねた平面作品「Specimen of Memory I–IV(記憶の標本)」を配置した。