県境を越えて支え合う12市町村 大塚商会の寄付が入り口に 愛媛・高知、シャワーも共有する新しい体制

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2026年09月16日 10:10  OVO [オーヴォ]

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県境を越えて支え合う12市町村 大塚商会の寄付が入り口に 愛媛・高知、シャワーも共有する新しい体制

【ポイント】愛媛県宇和島市など愛媛・高知の12市町村は、株式会社大塚商会(東京都千代田区)と災害時の相互応援協定を締結した。同社は企業版ふるさと納税による寄付を累計4億1000万円行っており、避難所で使う可搬型シャワーなどを12市町村が共同利用できるよう支援している。

 激甚化する自然災害を前に、一つの自治体だけで住民の命と暮らしを守り切ることは難しくなっている。近隣自治体との協力は不可欠だが、それだけでは物資や資金の面で限界がある。企業が持つ資金力や支援のネットワークを、自治体の課題解決にどう重ねるか。今回の事例は、企業からの寄付の申し出を入口に、県境を越えた自治体間の広域連携ネットワークを構築した、地域防災の新しい形だ。

▽県境を越えて手を結ぶ

 近年、豪雨災害が相次いで激甚化し、将来は南海トラフ巨大地震の発生も懸念されるなど、自然災害の脅威は増している。少子高齢化と財政難が進む中、大規模な災害が起きたときに、一つの自治体だけで十分な応急対応を取ることは極めて難しい。
 愛媛県の宇和島市、西予市、松野町、鬼北町、愛南町と、高知県の宿毛市、土佐清水市、四万十市、四万十町、大月町、三原村、黒潮町の計12市町村も、こうした課題を抱えていた。広域的な災害対応を見据えた体制の構築が共通の課題になっていた。
 こうした中、12市町村は2023年8月、大塚商会と「災害時における相互応援及び支援協力に関する連携協定」を締結した。被災自治体が単独で対応できない場合に、互いに応援し合う仕組みだ。

▽資金だけではない企業の役割

 この協定の起点になったのは、大塚商会からの申し出だった。同社が12市町村に、企業版ふるさと納税制度を利用した災害対策の資機材などを寄付したいと持ちかけたことが、連携の始まりとなった。同社の累計寄付実績は4億1000万円に上る。
 同社が担うのは、平時の寄付だけではない。南海トラフ地震のような大規模災害が実際に起きたときには、被災地へ生活必需品などの資機材を届ける役割も負う。
 さらに、避難所に設置する可搬型水循環式シャワーキットなどの装備品についても、災害時に各自治体が共同利用できるよう支援する。こうした一連の仕組みの構築が評価され、同社は2024年に内閣府の「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)に係る大臣表彰」の企業部門を受賞した。

▽協定を動かし続ける

 県境を越えた12市町村と企業という13者の枠組みを機能させるには、普段からの情報共有が欠かせない。いざというときに迅速かつ円滑に動けるよう、13者は災害防止の方策に関する資料などを共有し、相互連携を進めている。
 協定は結んで終わりではない。2023年8月の締結式後には、関係者が一堂に会しての座談会を開催。その後も、大塚商会主催の「災害対策DXシンポジウム」と、オンラインで開く「災害対策DX実践会議」を毎年開いている。企業と複数の自治体が対面とオンラインの双方で顔を合わせ、各団体の連携を強め、防災対策を学び合う場になっている。
 この枠組みは他の地域にも広がっている。23年11月には兵庫県の洲本市、南あわじ市、淡路市の淡路島内3市とも同様の災害対策支援協定が締結された。企業の支援を起点として、行政の枠を超えた新しい地域防災の網の目が広がり始めている。

【宇和島市コメント】
 近年の自然災害の激甚化により、自治体単独での対応には限界があり、自治体間や民間企業との協力が不可欠となっている。今回の協定締結により民間企業と連携して県境を越えた広域的な災害対応が可能となり、地域の防災力が向上することが期待されます。また、国には、この制度の継続に加え、事業者の負担軽減や上限額の拡大、寄贈品の維持費用への活用などの改善をお願いしたい。

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