コスモキュランダ(撮影:下野雄規) 【文・構成:伊吹雅也(競馬評論家)=コラム『究極のAI予想!』】
netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)
◆好走を果たした馬の大半は単勝6番人気以内だった
AIマスターM(以下、M) 先週はセントライト記念が行われ、単勝オッズ50.6倍(12番人気)のジャスティンシカゴが優勝を果たしました。
伊吹 着差以上の完勝と言って良いのではないでしょうか。五分のスタートからポジションを取りに行き、逃げたウェイクフィールド(14着)のすぐ後ろ、単独2番手の位置で1コーナーへ。その後、2コーナーの前でアスクエジンバラ(4着)が、向正面でラージアンサンブル(7着)が外からかわしていき、リッツパーティー(10着)やサヴォアフェール(2着)も迫ってきましたが、先団の内ラチ沿いを確保したまま4コーナーに入っています。残り200m地点のあたりで一旦はアスクエジンバラが抜け出しかけたものの、直後にいたジャスティンシカゴが決勝線の手前で難なく捕らえ、そのまま単独先頭に。外から伸びてきたアウダーシア(3着)、サヴォアフェールに対してもセーフティリードを保ったまま入線しました。鞍上の原優介騎手はデビュー7年目で、昨年まではJRA重賞を勝てていませんでしたが、今年に入ってからフラワーCをスマートプリエールで、ニュージーランドTをレザベーションで勝利。中山の重賞とは相性が良いみたいなので、今後も注目しておきたいですね。
M ジャスティンシカゴは重賞初制覇。2走前のプリンシパルSで2着に食い込んだ実績があるものの、8頭立ての前走で通算2勝目をマークしたばかりでしたし、高く評価するのは難しかったかもしれません。
伊吹 私としても悔いの残る結果。枠順を含め、前回の当コラムで紹介した好走馬の条件をすべてクリアしていたのですが、最終的には実績馬を重視してしまい、この馬には重いシルシを打てませんでした。もちろん買い目には入れていましたし、◎としたアウダーシアもしっかり馬券に絡んでくれたので、この組み合わせに手が届かなかったのは痛恨の極み。大きな不安要素が見当たらず、これだけ人気もなかったわけですから、もう少し積極的に狙うべきだったと反省しています。
M ジャスティンシカゴは菊花賞への優先出走権を獲得。本番でもそれなりに注目が集まるのではないでしょうか。
伊吹 母のエリカブライトは勝ち上がりを果たせないまま現役を退いたものの、初仔の本馬が早くも重賞タイトルを獲得。今後が楽しみな繁殖牝馬ですね。近親には2013年の京都大賞典で2着となったアンコイルド、2023年の忘れな草賞で2着に健闘したミッキーツインクルらがおり、中長距離戦が合っていそうな血統背景。距離が延びる点はおそらく問題ありません。今回が人気薄での勝利だった分、次走も妙味あるオッズがつくはず。最終的なメンバー構成も踏まえたうえで、扱い方をじっくり考えたいと思います。
M 今週の日曜中山メインレースは、天皇賞(秋)などを見据えたトップクラスの古馬が集う注目の一戦、オールカマー。昨年は単勝オッズ3.3倍(1番人気)のレガレイラが優勝を果たしました。ちなみに、その2025年は単勝オッズ3.5倍(2番人気)のドゥラドーレスが2着、単勝オッズ8.0倍(4番人気)のヨーホーレイクが3着という結果で、3連単の配当はわずか7740円。今年も堅めの決着をイメージしておくべきでしょうか。
伊吹 過去10年のオールカマーにおける3連単の配当を振り返ってみると、平均値は4万8754円、中央値は2万1730円。2022年に24万6180円の好配当が飛び出しているものの、3万円未満の年が7回、1万円未満の年が3回ありましたから、荒れにくいレースと見ておいた方が良いかもしれません。
M 過去10年の単勝人気順別成績を見ても、連対馬20頭のうち19頭、3着以内馬30頭のうち26頭は6番人気以内の支持を集めていた馬です。
伊吹 なお、単勝7番人気の馬は2016年以降[0-0-2-8](3着内率20.0%)だったのですが、単勝8番人気から単勝12番人気の馬は2016年以降[0-1-1-42](3着内率4.5%)、単勝13番人気以下の馬は2016年以降[0-0-0-16](3着内率0.0%)でした。伏兵を狙っても良いと思うのですが、その場合も上位人気馬との組み合わせを本線に据えた方が良いと思います。
M そんなオールカマーでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、コスモキュランダです。
伊吹 話の流れ的にもちょうど良いところを挙げてきましたね。今回のメンバー構成なら、かなりの支持が集まるはず。
M コスモキュランダは3歳時に弥生賞を制している重賞ウイナー。一昨年の皐月賞や昨年の有馬記念で2着となった実績もあります。昨年のオールカマーで8着に敗れてしまったとはいえ、2024年のセントライト記念で2着に食い込んでいることからも、コース適性は高いと見て良さそう。もともと中心視する予定だった方も多いのではないでしょうか。
伊吹 前走の宝塚記念は4着どまりでしたが、3着馬ダノンデサイルとはアタマ差。紙一重の競馬でしたし、加齢による衰えは感じません。Aiエスケープがこの馬を挙げてきたということは、今年も堅く収まる可能性が高いと見ているのかも。こういった状況を踏まえたうえで、レースの傾向とコスモキュランダのプロフィールを見比べていきたいと思います。
M 真っ先に注目しておくべきポイントはどのあたりですか?
伊吹 まずは直近のパフォーマンスを素直に評価したいところ。前走の着順が2着以下、かつ前走の1位入線馬とのタイム差が0.3秒以上だった馬は2021年以降[3-2-2-43]で、3着内率が14.0%にとどまっていました。
M 大敗直後の馬は疑ってかかった方が良いかもしれませんね。
伊吹 ただし、前走の着順が2着以下、かつ前走の1位入線馬とのタイム差が0.3秒以上だった馬のうち、前走の条件が重賞、かつ前走の4コーナー通過順が6番手以内だった馬は2021年以降[2-2-2-14](3着内率30.0%)。積極的な競馬が裏目に出てしまった馬は、巻き返しを警戒しておくべきでしょう。
M コスモキュランダは前走の1位入線馬とのタイム差こそ0.5秒でしたが、前走の4コーナーを先頭で通過している馬。一変を期待して良さそうな臨戦過程です。
伊吹 あとは格の高いレースや年明け以降のレースにおける戦績もチェックしておいた方が良さそう。同じく2021年以降の3着以内馬15頭中14頭は、“前年以降の、JRAの、GI・GIIのレース”か、“同年の、JRAのレース”で1着となった経験がある馬でした。
M 思いのほかはっきりと明暗が分かれています。
伊吹 ちなみに、“前年以降の、JRAの、GI・GIIのレース”において1着となった経験がある馬は2021年以降[3-2-3-6](3着内率57.1%)と堅実。基本的には実績馬が強いレースと言えるでしょう。
M 厳密に言うと、コスモキュランダはこの条件をクリアできていませんね。もっとも、先程も触れた通り、一昨年の弥生賞を勝っていたり、昨年の有馬記念で2着に健闘していたりしますから、無理に嫌う必要はなさそうです。
伊吹 さらに、同じく2021年以降の3着以内馬15頭中9頭は、馬番が1番から4番でした。
M 圧倒的に内枠有利、と。
伊吹 なお、馬番が5番から18番だったにもかかわらず3着以内となった6頭のうち4頭は、父か母の父にダンジグ系種牡馬を持つ馬。特別登録を行った馬のうち、この条件に該当しているのはアスクドゥポルテ・エセルフリーダ・レガレイラの3頭だけですから、枠順次第で柔軟に構えた方が良いと思います。
M コスモキュランダも、まずは好枠を引き当てたいところですね。
伊吹 私も、内寄りの枠に入ったら重いシルシを打つつもりでした。他ならぬAiエスケープが有力と見ているわけですし、たとえ好枠でなくともある程度は高く評価するべきでしょう。ただ、今回のメンバー構成なら、あまり人気のない前走好走馬を狙ってみたい気も。枠順や実際のオッズが出揃ってから、最終的な買い目を改めて検討したいと思います。