
米OpenAIは9月21日(現地時間)、数学者らが設立した独立組織「Advisory Group on Mathematics and Artificial Intelligence」(AGMAI)と連携すると発表した。AIによる新たな数学的成果の評価や公表の在り方などについて助言を受ける。同グループは米プリンストン高等研究所(IAS)を拠点とする。
OpenAIは今回の発表で、新たな社内モデルの成果にも触れた。8月28日に学習を始めたこのモデルは、9月に発表したミレニアム懸賞問題「ナビエ・ストークス方程式」の解決に加え、数学のほぼ全分野で100件以上の長年の未解決問題を解決したという。進展の速さには社内の数学者も驚いたといい、数学界にどう伝え、分野の備えや適応をどう促すかを社内で議論してきたとしている。
連携の背景には、数学者からの批判がある。9月11日、フィールズ賞受賞者らが名を連ねる公開書簡「A Severe Misalignment of AI in Mathematics」が公開された。書簡は、AI企業が未解決問題の解決をベンチマークとして追い求めることは、数学という学問とそのコミュニティに有害だと主張している。成果が急いで発表されることで、適切な論文化や先行研究の引用がおろそかになり、帰属や剽窃の深刻な問題が生じるとも指摘した。OpenAIはこの書簡に言及し、AI企業が数学界と丁寧に関わる必要性を示すものだと受け止めているとした。
ナビエ・ストークス方程式の件では、先行研究を進めていた米ニューヨーク大学の数学者が経緯を問題視する声明を出し、OpenAI側が反論して論争となった。OpenAIの数学関連の発信では、2025年10月にも幹部による「GPT-5でエルデシュ問題解決」との投稿が批判を受けて削除されたことがある。
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諮問グループは、新たな成果の意義の評価や公表の調整、数学研究における学術上、職業上の規範について助言する。OpenAIのツールが数学の研究や学習をどう支援できるかについても提言する。グループはOpenAIから独立して運営され、OpenAIが求めていない助言や、同社が数学に与える影響についての意見も表明できる。助言内容を公開することも可能だ。メンバーはOpenAIから報酬を受け取らず、メンバー構成も自ら変更できる。ただし、社内の数学研究を進めるペースについては助言の対象外だとOpenAIは説明している。
グループの公式サイトによると、発足のきっかけは、OpenAIが一部のメンバーに外部諮問委員会の設置を打診したことだった。OpenAIとの合意の上で独立組織として立ち上げ、他のメンバーを招いたという。数学に大きな影響を与え得るモデルを持つAI企業であれば、OpenAI以外にも助言する用意があるとしている。一方で、どのAI企業に対しても意思決定の権限は持たず、判断の責任は企業側にあると明記した。
現在取り組んでいるのは、OpenAIが社内モデルで得たとする多数の重要な数学的成果について、公表の進め方を助言する作業だ。グループはこの点について数学界からの意見をフォームで募っている。設立は、フィールズ賞受賞者テレンス・タオ氏のブログへの寄稿という形でも告知された。
AGMAIの初期メンバーは9人で、このうちサーの称号を持つ英ケンブリッジ大学のティモシー・ガワーズ教授と、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)および英インペリアル・カレッジ・ロンドンで教授を務めるマルティン・ハイラー氏は、ともにフィールズ賞受賞者だ。
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