※画像はイメージです。生成AIを使用しています 受動喫煙への関心は高まる一方です。それは『健康増進法』の改正以降、“望まない受動喫煙を防ぐ”という考え方が広く浸透してきたためで、厚生労働省も、屋内だけでなく屋外や家庭などでも周囲への配慮が求められることを案内しています。
法律違反かどうか以前に、“煙は境界線を越える”という感覚を持つ人が増えているのかもしれません。
そんなタバコの副流煙問題。今回は、隣の解体現場から流れてくる煙に悩まされた男性がある方法でピタリと止めさせたエピソードです。
◆隣家の解体工事現場で働く外国人作業員たち
関東近郊の一軒家に住む安田さん(仮名・41歳)のお隣に住む老夫婦が介護施設に移るタイミングで、自宅を売りに出したそうです。その翌週から、さっそく隣家で解体作業が始まりました。
初日は廃品回収の業者が入り、次の日からは大きな重機が次々と運び込まれて本格的な工事がスタート。ただ、安田さんは作業員たちの様子に少し違和感を覚えたと語ります。
「現場に入った解体作業員たちは、見たところ全員が外国人のようでした。敷地内からは、終始聞いたこともないような異国の言葉が飛び交っていて、なんだか異国の地に来たようでした」
近頃は在宅勤務が多く、隣で始まる工事の騒音を心配していた安田さんですが、意外と音の心配はなかったようです。というより、序盤だからなのか作業がゆっくりだと感じていたといいます。
季節は5月だったので、自室の窓を全開にして在宅ワークをこなしていた安田さんは、隣から漂ってくるタバコの匂いの方が気になったそうです。
◆「オッケー」とヘラヘラ笑う作業員たち
ところが、お昼過ぎのこと、さきほどは比べものにならないくらいのタバコ臭が安田さんの自室に入り込んできたのでした。
次の日も同じ時間になると猛烈な煙たさが襲ってきます。そればかりか、日を追うごとに日中の喫煙回数は増える一方だったそうです。
あまりの煙たさに耐えかねた安田さんは、ついに意を決して隣の現場へと直談判しに向かいました。
「見ると、彼らは休憩中なのか、敷地内に停めた車の窓を全開にして、車内でスパスパとタバコを吸っていました。
その煙が全部、我が家の方へ流れてきていたんです。私は彼らに『煙が家に入ってくるから、ここで吸うのはやめてほしい』とジェスチャーを交えて必死に注意しました」
しかし、作業員たちから返ってきたのは、あまりにも不誠実な反応でした。
「言葉が完全に通じないのか、それとも最初から聞く耳を持たないのか、彼らはヘラヘラと小馬鹿にしたような笑みを浮かべながら『オッケー、オッケー』と言うだけ。そのまま何事もなかったかのように作業に戻っていきました」
一時は「これで伝わったはずだ」と安堵した安田さんでしたが、その期待は翌日、無残にも裏切られます。
お昼を迎えると、昨日までと全く変わらない濃密なタバコの煙が、再び安田さんの自宅へと堂々と流れ込んできたのです。
◆自治体に確認して用意した「合法的」な対抗措置
「最初は、彼らを雇っている会社に直談判しようと思ったのですが、建設業者ならともかく、解体業者となると簡単にはその尻尾をつかむことが容易ではなかったのです。
おまけに、彼らが乗ってきたバンには社名などは書かれておらず、重機もリースだし、どこの誰だか全く分かりませんでした」
精神的にも限界を迎えた安田さんは、ギリギリの対抗策を考え出しました。まさに「目には目を、歯には歯を」の精神です。相手が煙で迷惑をかけてくるなら、こちらは「さらに圧倒的な煙」で対抗しようと思いついたのです。
もちろん、安田さんは冷静でした。現代において廃棄物の野焼きが深刻な法令違反(廃棄物処理法違反)にあたることは百も承知です。そこで、まずは役所の自治体に連絡を入れ、確認を取ったといいます。
「自治体の担当者に確認したところ、プライベートな庭の掃除や手入れで出た剪定くず、草木や樹木をその場で軽微に燃やす行為であれば、例外として合法であり問題ないとの回答が得られました。これなら法的に何の落ち度もありません。私はすぐに、庭中からありったけの雑草や木の枝を集めました」
時計の針が、いつも彼らが車内喫煙を始める鬼門の12時を回ろうとしたその瞬間。安田さんは、隣家との境界線ギリギリの場所に設置したブロックの上で、集めた草木を一気に燃やし始めたといいます。
◆すごすごと敗退していった作業員たち
火をつけた雑草や生木は、安田さんの想像を遥かに超えるほどの勢いで、モクモクと大量の白い煙を上げて激しく燃え始めました。
「本当にラッキーだったのは、その日の風向きです。ちょうど我が家の方から、彼らがいる解体現場の車に向かって、絶妙な強風が吹き抜けていたんですよ(笑)」
案の定、隣の現場では外国人作業員たちがいつも通り車の窓を全開にし、至福のタバコタイムを始めようとしていました。しかし、そこへ安田さんの庭から発生した、文字通り「桁違いのボリュームの煙」が容赦なくダイレクトに襲いかかったのです。
「彼らの車は、あっという間に私の作った白い煙に包まれました。自分たちのタバコの煙なんて消し飛ぶほどの煙たさだったはずです。慌ててゲホゲホと咳き込みながら、いつもの余裕な表情は消え失せ、必死の形相で車の窓をバタバタと閉めていました」
しばらくすると、彼らは車を急発進させその場から逃げるように離れて行ったそうです。翌日からは、お昼になってもタバコの煙が我が家へ漂ってくることは一切なくなったそうです。
「効果てきめんでしたね」
安田さんはそう語り、スカッとした満足げな笑みを浮かべていました。言葉も常識も異なる彼らへの対抗策は成功したようです。
◆くれぐれも火気の取り扱いには要注意
本文にもある通り、安田さんは事前に自治体へ確認し、合法の範囲で行動したとされていますが、煙やにおいによる仕返しは条件次第で別の近隣トラブルに発展する可能性があります。
特に火気や煙は風向きや周辺環境によって予想外の影響を与えるので、十分注意が必要なのはいうまでもありません。
厚生労働省は、望まない受動喫煙を防ぐ考え方として、家庭や屋外も含め周囲の状況への配慮を求めています。
受動喫煙というと飲食店や公共施設の話を想像しがちですが、実際には住宅地や作業現場、駐車中の車内喫煙など、生活のすぐ隣で起きることも少なくありません。
とはいえ、安田さんのパフォーマンスは結果的に成功したようですが、火気の取り扱いには十分な注意が必要で、もし火災などが発生したら本末転倒です。
今回のように、外国人労働者で言葉も通じなかったり、業者が突き止められなかったのであれば、まずは警察に通報する方がスマートだったかもしれませんね。
<TEXT/八木正規>
【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営