
「iPhone 18 Pro」のアウトカメラといえば、超広角、広角(Fusionメインカメラ)、望遠の3ユニットのどれを見ても、センサーは前モデルの「iPhone 17 Pro」と同じ画素数で、同じサイズとなっている。見た目もほぼ同じである。
アウトカメラ回りで新しくなったのは、メインカメラに「可変絞り」、つまり物理的な絞り機構が入ったことだ。この影響で、実際に測ってみるとカメラ部分が0.3mmほど厚くなっている。
でも「カメラの差が可変絞りだけじゃあまり変わらないよね」と思った人、それはちょっと甘いかもしれない。今回は、そんな話をしたい。
●「可変絞り」を搭載したことによる変化は?
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実は、iPhone 18 Proのカメラは可変絞り搭載にともなうあれこれによって、今まで撮れなかったものも撮れるようになったのである。
1つ、すごく分かりやすい例を出したい。
JR新宿駅東口を出て北に向かうと、国内外からやってきた大勢の観光客がスマートフォンを手にビルを見上げているスポットがある。「クロス新宿ビジョン」(通称「新宿東口の猫」)だ。
これをiPhone 17 Proの2xで撮るとこうなる。先に言ってしまうけど、ひどいよね、これ。せっかくのネコが台無し。
でも、iPhone 18 Proなら(ちょっと設定は必要だけど)こう撮れるのだ。完璧。
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これがなぜ撮れるようになったのかは後で解説するとして、まずはメカ的な違いである「可変絞り」について見ていきたい。
これは何をするものかというと、次の2枚の写真を見れば分かる。1枚目は絞りが一番開いた状態(「絞り開放」という)で撮ったもの。可変絞りが何の仕事もしてない状態である。絞り値は「F1.48」となる。
次は、可変絞りの羽根がぐぐっと動いてレンズを通った光量を一番減らした状態で撮った写真。絞り値は「F4.0」となる。
絞り値は「F値」とも呼ばれていて、「Fx.x」や「f/x.x」というふうに表記される。「x.x」の数字は、小さいほど絞りが開いている(=光の通る穴が大きい)状態となる。
「小さい方が穴が大きくて、大きい方が穴が小さい」というのは、感覚的には逆なように思えるのだが、実はこれ、“逆数”で表しているからそうなる……というややこしい話は置いておいて、「数字が小さい方が光をよく通す」と思っておけばいい。
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iPhone 18 Proのメインカメラにある可変絞りは、F1.48〜F4.0の範囲の4段階で変えられる。iPhone 17 ProはF1.8(正確にはF1.78)固定なので、iPhone 18 Proとちょっとだけ差がある。
絞り値は小さい方が背景のボケが大きくなるのだが、実のところiPhoneクラスのカメラだとそんなに差は出ない。
ひとまず、F1.48とF1.8(これはiPhone 17 Proと同じ)、F4.0の3つの絞り値で撮り比べてみよう。近距離の方が背景がぼけやすいので、雨の彼岸花である。
もう1つ作例を。手に持っている飲み物に注目してほしい。F1.48時は少しぼけているけれど、F4.0のときはかなりクッキリ写っている。
広い範囲にピントを合わせたいときは、F4.0にするといい。
料理を撮った例も1つ。1枚目はF1.8(iPhone 17 Proとほぼ同じ)、2枚目はF4.0で撮っている。
鴨せいろなんだけど、後ろにあるそばにもピントが合ってるかどうかの違いが出ている。
ただ、F値を上げることには“副作用”もある。F4.0にすると、通る光の量が絞られるため、その分シャッタースピードが遅くなったりISO感度が上がったりするのだ。
まあ、手ブレ補正は強力だし、多少ISO感度が上がってもデジタル処理で画質はそれなりに保たれるので、実害は少ないけど。
夜景の撮影にも面白い影響が
夜景の撮影時にもちょっと面白いことが起きる。
絞り値を大きくする(これを「絞り込む」という)と、点光源から全方向に「光条」と呼ばれる光の線が伸びることがある。これは強い光源からの光が、絞り羽根を回折することで生じるのだけど、細かい事は抜きにして、とりあえずかっこいい。
絞り値によって出方が変わるので、お好みで。
●カメラ好きはカスタマイズすると撮影体験が激変
でも、今回のカメラの本質は「絞り」だけじゃない。本題はここからだ。
iPhone 18 Proは、メインカメラに可変絞りを入れると同時に、シャッタースピードやフォーカス、ホワイトバランスといった「今まではカメラアプリ任せ」だったいろんなパラメーターを自分でいじれるようになったのだ。
しかも、Androidスマホに多く見られる「マニュアル撮影」「プロ撮影」といった撮影モードをつかするスタイルではなく、通常の撮影モードに組み込んできたのである。そこがAppleらしい。
カメラアプリで設定ボタンをタップすると、大量の設定項目が現れる。ちなみに、iOS 27にしたiPhone 17 Proでは9個なのに対して、iPhone 18 Proだと14個もある。
iPhone 18 Proならではの5項目「レンズ絞り」「フォーカス」「シャッタースピード」「ホワイトバランス」「ヒストグラム」は、下の方にある。
絞り値はカメラ任せにしてもいいが(その場合はF1.8を基本に、明るさやシーンに応じて自動的に変わる)、「自分であれこれしたい!」って人は、ここで「レンズ絞り」をタップして……って毎回やるのは大変めんどくさい。設定項目、下の方にあるしね。
まずやるべきは「カスタマイズ」なのだ。これがすばらしい。
この画面で左上の「編集」をタップすべし。すると、画面の上に好きな写真コントロール(ツール)を置けるのだ。特に、露出とシャッタースピードと、レンズ絞りは必須。あとはお好みで。全部で8つまで配置可能だ。
後は画面上のバーにあるツールをタップすれば、すぐに呼び出して設定できる。しかも、バーに置かれた各ツールのうち、シャッタースピード、露出、ホワイトバランス、絞り値には、その値がリアルタイムで表示されるのである。
カメラのことをちょっと知ってる人には、必須な設定だというのが分かるだろう。
下の例の場合、シャッタースピードは780分の1秒で。絞り値はF1.48。そしてWB(ホワイトバランス)は5.2に……って、普通の人は「WBの5.2って何?」と思うかもしれない。この数字は色温度を表している。
色温度の単位は「ケルビン(K)」で、この5.2は正確にいうと「5200K」であることを表している。色温度は低いほど赤みが増し、逆に高いほど青白くなる。昼間の晴天は、5500K前後になる。
この例ではAWB(オートホワイトバランス)が有効で、それが出した色温度が5200Kということになる。「5200Kの光を当てると、白い物が白く写るように設定したよ」と言っていると思えばいい。
そして上の撮影画面におけるもう1つの注目点は、レンズ絞りの値が黄色くなっていること。
シャッタースピードや絞り値などは、オート(自動設定)の時は白く、自分で設定した場合は黄色く表示されるようになっている。すごく分かりやすいのだ。
ちなみに、メインカメラ以外を使う状態で「レンズ絞り」を実行しようとすると、「メインレンズでのみ使用できます」と表示されて設定できないようになっている。また、ISO感度については「オート」のみで手動設定はできない。
では、絞り値以外もいじってみよう。分かりやすいのはシャッタースピードだ。シャッタースピードをいじると、例えばこんな写真を撮れる。小さな噴水だけど、水が完全に止まってて氷のように見える。
これ、シャッタースピードを上限の1万6000分の1秒まで上げて撮ったものだ。さして明るくない場所で無理にシャッタースピードを上げたので、ISO感度はISO2000まで上がってるけど、まあ問題はない。
そして、話は「新宿東口の猫」に戻る。
iPhone 17 Proで撮ったものは、シャッタースピードが2300分の1秒と超高速だった。LEDを使ったデジタルサイネージは、人間の目には分からないけれど、実際には超高速で表示を書き換えているため、シャッタースピードが速すぎると、書き換え途中を捉えてしまい、表示が欠けたり、しまが出たり、色がずれたりするのだ。
でも、シャッタースピードを落としてやると全てのLEDが点灯した状態で撮れるので、うまく撮れるのだ。実際には、もうちょっと速くしてもいいけど。
これ、実は可変絞りとも大きく関係している。絞り値が小さい場合、その分シャッタースピードを上げなきゃいけないので、明るい場所だとスピードを60分の1秒まで落とせないのだ。無理に落とすと、全体が白く飛んでしまう。
もう1つ、分かりやすい例を。最近の列車を撮ると、行き先表示が乱れてしまうことがあるはずだが、これもシャッタースピードを変えると解決できる。
上がオートで撮った例(シャッタースピードは210分の1秒)、下が手動でシャッタースピードを60分の1秒にセットして撮った例。分かりやすいよう、部分拡大したものを。
鉄道好きじゃなくても、ちょっと旅先なんかで乗ってきた車両を撮りたい、ってことは多いはず。その時に、行き先表示がきれいに撮れなかったら、シャッタースピードを落としてみるべし。60分の1秒まで落とせば、たいていOKだけど、250分の1秒でも大丈夫なものもある。これは、LEDパネル次第だったりする。
さらに、ホワイトバランスやフォーカスも自分で調整できる。
マニュアルフォーカス時は「ピーキング」といって、ピントが合っている部分に白い枠が表示されるので、それを目安にできる。iPhoneのAFは小さなものに弱いところがあるので、テーブルフォト時や花を撮るときに役立ちそう。
つまり、iPhone 18 Proのカメラの進化ポイントは「可変絞り」だけじゃない。iPhoneらしいインタフェースで、撮影イメージをコントロールできる点にこそ本質があるのだ。
●フォーカストラッキング(追尾AF)にも対応
iPhone 18 Proのカメラには、もう1つ新機能がある。それは「フォーカストラッキング」、要するに「追尾オートフォーカス(AF)」だ。
撮りたいものを画面上でダブルタップすると、それを追尾してフォーカスを合わせ続けてくれる。相手は人間じゃなくても構わない。完璧ではないけれども、おおむねタップした対象を追い続けてくれるのだ。
これはよい。
絞り値やシャッタースピードの設定、フォーカストラッキングは、動画撮影時も有効だ。
●動画撮影における「あとからシネマティック」も便利
そして、動画撮影における新機能として「あとからシネマティック」も忘れてはいけない。
従来モデルでは、静止画の撮影時に、人物や動物、さらに被写体をタップしてフォーカス位置を指定して撮った写真について、後からポートレートモードに背景をぼかせる機能があった(おかげで、ポートレートモードで撮る機会が激減した)。あとからシネマティックは、その動画版である。
さっき撮影画面の例に出した、サッカーボールを転がした動画を「写真」アプリでチェックしてみると、左上にビデオカメラ状のアイコンが現れた。これは「シネマティックアイコン」といい、あとからシネマティックの有効/無効を切り替えるスイッチだ。
アイコンをタップして展開したスイッチで「シネマティックオン」をタップすると、背景がきれいにボケた映像になるのだ。
これをタップして「シネマティックオン」にすると、背景がきれいにボケた映像になるのだ。
これはありがたい。ただし、これを使えるのはメインカメラで撮影した動画に限られるので、そこは知っておきたい。
●フォトグラフスタイルに「テクスチャ」が加わる
もう1つ、iPhone 18 Proのカメラ撮影には大きな進化がある。それはフォトグラフスタイル。新たに「テクスチャ」が加わったのだ。
今までのフォトグラフスタイルは、色や階調を調整するものが用意されていた。それが今回「パレット」というタブに統合され、新たにできたテクスチャタブに「肌のやわらかさ」「グロー」「フィルム調」が加わったのである。これらは主に人を撮るときと、クラシカルな雰囲気の写真に仕上げたいときによい効果を発揮しそうだ。
「肌のやわらかさ」については、いわゆる「美肌」「ビューティー」モードのような極端な処理はしないので大丈夫。
さらにフィルム調にグレインを追加すると、昔のフィルムで撮った写真のようなざらつきが出る。今回は、分かりやすいように強めにかけてみた。
従来のフォトグラフスタイルも、それぞれ「ブライト+肌のやわらかさ」とか「アンバー+グロー」といいったように、パレットとテクスチャの組み合わせになった。
肌を明るくきれいに撮りたいときは、「ブライト+肌のやわらかさ」あたりをお勧めしたい。
●iPhone 18 Proを“カメラ性能”で買うかどうかを決めるラインは?
一見「可変絞りが追加されただけ」に見えるiPhone 18 Proのアウトカメラだけど、各種写真コントロールの追加によって、撮影の幅がぐっと広がったのである。
でも「カメラのことはわからんし、そもそも誰でも簡単に使えるのがiPhoneカメラの良さのはずなのに、こんなに細かくコントロールしたくない」「そもそもカメラの写りに興味はないので、オートで撮りたい」って人もいるだろう。そういう人は、新機能は無視して今まで通りに使えばいい。iPhoneのカメラはオートでもいいのだ。
ボケのコントロールができるといってもちょっとした差だし、「夜景の光条はいらない」「LEDパネルを撮る機会がない(撮らない)」というのであれば、iPhone 17 Proで大丈夫。
でも、「LEDパネルがきれいに撮れないのがイヤだ」って人には悩ましいし、「自分でシャッタースピードや絞りをコントロールできる上に、現在の設定も表示してくれるのがめちゃありがたい」って人はもうiPhone 18 Proへ行っちゃえ、って感じである。
個人的には、旧機種でも絞り値以外はコントロールさせてくれてもいいのに……とは思っております。
●おまけ:ガスタンク
おまけとして、本文に出てこなかったいつものガスタンク作例を定点観測作例として載せておきます。
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