南極点にある「アイスキューブ」のニュートリノ観測装置のイメージ図。多数の球状装置が氷の中に埋まっている(アイスキューブ・コラボレーション提供) スウェーデン王立科学アカデミーは6日、2026年のノーベル物理学賞を、南極で素粒子ニュートリノを観測する国際共同プロジェクト「アイスキューブ」を率いた米ウィスコンシン大マディソン校のフランシス・ハルツェン教授(82)に贈ると発表した。プロジェクトには、千葉大の吉田滋教授、石原安野教授らが参加し、観測や分析などで数々の成果を挙げている。
授賞理由は「アイスキューブへの決定的な貢献と天体物理学的起源を持つ高エネルギーニュートリノの発見」。
同プロジェクトは、南極点の氷の中に約5000個の検出器を埋めた施設で宇宙から飛来する極めて高いエネルギーのニュートリノを検出。ニュートリノそのものを詳しく調べるのが目的ではなく、遠方銀河の中心にある巨大ブラックホール付近で起きる粒子の加速現象を解明したり、最高レベルの宇宙線の正体を探ったりするために発足した。
ハルツェン教授は1988年、南極の深い氷床を検出器として利用するアイデアを提唱し、プロジェクトを主導。ノーベル賞の選考委員会は「彼の粘り強さと科学的ビジョンは、新たな種類の天文学への道を開いた」と評価した。
完成後の12年には、世界で初めて銀河系外からの高エネルギーニュートリノの検出に成功。18年には、前年に検出されたニュートリノの解析から放出天体を特定することにも成功した。
授賞式は12月10日、ストックホルムで開かれる。賞金1200万スウェーデンクローナ(約1億9000万円)が贈られる。

南極の米アムンゼン・スコット基地付近に建設されたニュートリノ観測所「アイスキューブ」に設置される検出器=2010年12月、米国立科学財団(NSF)提供(AFP時事)