
若手経済人らが、さまざまな社会問題の解決やリーダーシップの育成、国際貢献などの活動をする青年会議所(JC)。日本各地にある青年会議所の中で最初に設立し、幅広い活動を展開しているのが公益社団法人東京青年会議所(東京都千代田区、外川�六瞥�事長)だ。1949(昭和24)年に設立し、多くの日本のリーダーを輩出してきた東京青年会議所は、遊び場の少ない東京の子どもたちにスポーツの機会を提供する「わんぱく相撲」や、政治を身近にする「公開討論会」の開催といった活動で知られる。
もともと20〜40歳の青年が入会条件だが、その中で東京青年会議所の次世代を担う中心的若手メンバー4人を紹介する。
2022年7月に入会した馬場彩月さん(35)は、海外でバレリーナとして活躍していたという経歴を持ち、現在は東京都内でダンスプログラム派遣業を営む。幼稚園や保育園の園児に対して、英語を使いながら海外文化とダンスを教える講師を派遣している。
事業を法人化したが「私自身は会社に入った経験がないので、組織運営を学びたい」と入会。リーダー育成の委員会などを経験し、現在は48人が所属する世田谷区委員会の委員長を務める。東京青年会議所に入会して感じたのは「昭和」だという。圧倒的に男性メンバーが多いことから「体育会系体質の組織で“昭和”を感じた」と笑う。委員長という責任の下、本業に影響がないか聞いたところ「かえって時間の使い方を工夫するようになった」と話す。
29歳の小野寺蓮さんは、2023年にIT技術を使って事務や経理などを代行するバックオフィス支援業を起業した。東京青年会議所に入会したのは24年12月。知り合いだった目黒区委員会の委員長から「遊びに来たら」と誘われ「仕事の営業にもつな がったら良いなという気持ちも持ちつつ入会した」と本音をもらす。しかし活動を始めてみると、想像以上に学びや出会いが多く、今は深く関わるようになった。
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日本青年会議所に出向し、地方創生に関わる活動で見聞を広め、現在は学校現場に生成AI(人工知能)の導入を支援する東京青年会議所の教育政策室の委員を務める。「青年会議所のに多くの時間を割くため、時間管理に頭を悩ませることもあるが、その分、社業では得られない経験ができ、人間力の向上に大きくつながっていると実感する」と話す。
城戸悠希さん(32)は、車検や新車、中古車販売など自動車整備を営む実家の会社に整備士として働き、2020年に入会した。品川で屋形船のアルバイトをしていた20歳の時に先輩から東京青年会議所に誘われたが、当時の入会は25歳からで、その年齢になるまで待ったという。(現在の入会は20歳から可能)
入会後は、広報担当の役割を任されたことで、所属する品川区委員会の活動をSNSに投稿するなど、SNS発信の技術を習得。閲覧数アップのための施策を自らで検討し、区内の子育て世代向けの公園情報や、グルメ情報も織り交ぜるなど「発信する仕事は楽しかった」と振り返る。
大原千晶さん(33)は、全国に拠点を持つ家業の探偵事務所の専務だ。千晶さんの父が創業し、現在は母が代表を務め、千晶さんは3代目になる見込み。
埼玉県川越市に会社があるが、東京都で活躍する同世代の経営者との接点を広げたいと考えていた時に、東京青年会議所渋谷区委員会のOBに声をかけられたという。「メンバーに魅力を感じ、この人たちと一緒に活動したい」という思いが強まり、2024年に入会した。渋谷区委員会は女性メンバーが多く「探偵業の調査員は年齢が高い人ばかりなので、同じ年代の知り合いができたのが財産。青年会議所という組織運営が本業のマネジメントに役立つ」と満足げに語る。
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▽自分を成長させる青年会議所の活動
4人は東京青年会議所の活動を通じて「自分がどう変わった」と感じているのか。
馬場彩月さんは「入会前は個人で活動することが多く、独りよがりなところがあったが、今は周囲の人と情報を共有し協力し合うようになり、自分もみんなも成長していくのを感じる」という。
小野寺蓮さんは、「2点ある」と言う。「起業して自分だけで何でも決めてきたが、東京青年会議所に入って周囲の異なる価値観の人を受け入れるようになり、建設的な議論ができるようになった」。もう一つは「東京青年会議所に入ってないと経験できないような挑戦ができる」といい、150人規模の会合で司会を務めた経験が「大いに学びになった」と話した。
城戸悠希さんは「コミュニケーション能力が上がったのが一番大きい」と強調する。家業の自動車整備工場は自分より年上の整備士ばかりで「頑固な人も多い」。東京青年会議所での同世代の集まりでのコミュニケーションが、会社に戻って従業員との親睦に大いに参考になっているという。
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大原千晶さんも同様に感じている。「探偵事務所の社員たちも職人のような人が多い。(創業者の)父の“けん引力を発揮するマネジメント”しか知らなかった」と振り返る。青年会議所の活動でプロジェクトを円滑に進める中でチームワークの取り方や伝え方を学んだ。社員との関係も、より良好になり「東京青年会議所に入って変わったね」と、よく言われるようになった。
▽今後の青年会議所活動と日本の課題
社会問題を解決する東京青年会議所の活動。4人は今の日本社会の課題をどう捉え、今後どんな活動に取り組んでいきたいと考えているのか。
馬場彩月さん=今はテクノロジーの転換期。技術について行ける人と行けない人がいる。もう少し弱者に優しい社会になってほしい。青年会議所については、社会にいい活動をしているのに、それはあまり知られていないので、もっと広報していきたい。
小野寺蓮さん=雇用した社員が、適切な環境のもとで高いパフォーマンスを発揮した経験から、人は誰もが特性を持ちそれぞれの場所で力を発揮できると感じている。東京青年会議所の2026年度、理事長が掲げる「共躍の鼓動 〜Driven by Citizens,Powered by Challenge〜」というスローガンが示すような社会を、実現していきたい。
城戸悠希さん=子どもの時に野球教室に入るなどスポーツ好きで、東京青年会議所に入ってからも「わんぱく相撲」の開催責任者をするなど大人になってから子どもの時の経験を生かせた。一人でも多くの子どもたちに希望を持ってもらうようなイベントをやっていきたい。
大原千晶さん=渋谷区委員会には女性が多かったけど、東京青年会議所全体では1割程度しかいない。3割いれば組織が変わるという。私自身も女性リーダーに影響を受けたので、女性が活躍できる社会にしていきたい。
▽40歳まで全力で
東京青年会議所の“卒業”は40歳。4人とも卒業まで辞めないつもりだ。日本社会はさまざまな課題を抱えているが、若手リーダーたちの日々の青年会議所の活動は、明るい豊かな社会のために大きく貢献していくことになるだろう。

