ドラマとは違う結末となった漫画「じゃあ、あんたが作ってみろよ」、著者が語る“料理をしたくない”日の対策は

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2026年10月12日 08:01  クックパッドニュース

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付き合っていた鮎美にプロポーズを断られた勝男が、筑前煮づくりから料理を始めて自分を見つめ直していく物語「じゃあ、あんたが作ってみろよ」。ドラマ化され大反響を呼んだこの漫画がついに最終巻を迎えます。著者の谷口菜津子さんに、この作品で伝えたかった思いや作品づくりの裏側を聞きました。

描きたかったのは、作る人と食べる人のこと

谷口さんが漫画の題材を決めるときは、自分が強く関心を持っていることの中から、世の中のみなさんも関心がありそうなものを選ぶことが多いといいます。

「料理は大好きなテーマなので毎回扱いたいのですが、今回は料理をしてくれる人、食べる人のことを描きたいなと思いました」


初めて筑前煮を作ってみる勝男

そこに重ねたのが、世代による価値観の違いや、時代とともに変わっていく価値観、そして「人は変わっていけるのか?」という問いでした。そんなことを考えながら描いていきたいという思いから、この作品は始まっています。

和食のレシピ本を何冊も買い、とり天にも挑戦

筑前煮、おでん、オムライス。作中に登場する料理はどれも象徴的で、読んでいるとおなかがすいてきます。料理選びの裏側には、地道な下準備がありました。

「この作品では和食を取り扱うことを最初に決めて、定番和食が載っているレシピ本を何冊か買い、普段から和食に色々チャレンジしてネタの引き出しになるようにしていました」

理由は「この物語に合う料理は何かな?と考えるときに、作ったことのない料理だとアイディアとして出てきづらいから」。実際に手を動かした経験が、そのまま物語の引き出しになっていたのです。


とり天を揚げるシーン

ただし、とり天だけは作ったことがなかったそう。ネームを描きながら挑戦したものの、「勝男のようにカラッと揚がらなかったりで苦戦した覚えがあります」と振り返ります。

毎日3食。料理は癒やしでもあり、ストレスにもなる

谷口さんはパートナーと家事分担をはっきり割り振っていて、担当は料理。ほぼ毎日3食を作っています。Instagramに並ぶ普段の食卓も、そうやって生まれたものです。

「漫画は描き上げるのに半月ほどかかるのですが、料理を作るとお手軽に達成感を得ることができて癒やしやストレス解消になっています」

半月かけて1本を仕上げる仕事と、その日のうちに完成する料理。この対比は、料理をする多くの人にも思い当たるところがありそうです。


谷口さんのInstagram。おいしそうな手料理に目を奪われます

とはいえ、いつも癒やしになるわけではありません。

「本当に忙しくて追い込まれているときは献立なんて考える余裕もないし、作る時間もないので逆にストレスです(笑)」

そんなときは宅配や冷凍食品に頼ることもあるといいます。それなのに、こんなこともあるそうです。

「気づいたら小麦粉を捏ねて水餃子を作り始めてしまうこともあって『こんなときに私は一体何をしているんだ?』と不思議な気持ちになっています」

ドラマとは異なる結末を選んだ理由

今回最終巻となる本作は、ドラマ「じゃあ、あんたが作ってみろよ」(TBS系)とは、異なる結末を迎えました。ドラマの結末について、谷口さんは、その結末を1人の視聴者として楽しんだといいます。

「ドラマの結末は脚本家さん達にお任せしていたのですが、こっちの世界の勝男と鮎美はこうなったんだ!と面白く拝見していました」

「少し切ないけどどこか前向きになれる後味が私には出せないものだったので、自分が映像化に求める醍醐味を感じられてうれしかったです」

では、漫画の結末はどう決まったのでしょうか。完結に向けて本腰を入れるまでは、ドラマと同じほうがいいのか、違うほうがいいのか、読者はどちらがうれしいのか、と考えがちらつくこともあったそうです。

「そこまでたくさんの意見を反映させるほど器用ではないのもありますし、自分が見たいもの描きたいものを優先させて描いていったらこのような結末になりました」

批判の言葉も、次の作品につながっていく

連載中は、ポジティブな感想が寄せられることが多かったそう。それでも谷口さんは、批判的な言葉もありがたく読んできたといいます。この作品を通してみんながたくさん話し合ったり、自分自身にも気づきが生まれたりしたらいい、と考えているからです。

中でも衝撃だったのが、「谷口菜津子と言う老害が」という言葉でした。

「とんでもなくショックではあったのですが、確かに自分はまだ大丈夫って思ってしまっていたかもと気づいたり、『老害』と言う言葉について考えるきっかけになりました」

「次の作品では年をとることについて描きたいので、きちんと受け止めようと思った」。そう語る姿勢は、価値観の変化を描き続けてきたこの作品そのものと重なります。

料理をしたくない日のための「救済方法」

最後に、料理が好きな人にも、苦手だけれど頑張っている人にも届くメッセージをいただきました。

「私は料理が好きだから積極的に取り組みたいタイプなのですが、忙しすぎたり頑張りすぎたりしているせいか、突然何にもやりたくなくなることがあります。なんの理由もなく、無性に料理したくない日もあります」

そんな日のために谷口さんが用意しておきたいというのが、料理をしなくても食事を楽しめる救済方法です。今日はコンビニ晩酌だ!と決めてしまう。食べたことのない冷凍食品やデリバリーに挑戦してみる。

もう1つ挙げてくれたのが、作り慣れている料理のリストを作っておくこと。

「それを見て『これなら作れるかも』とやる気が出るときもあります」

料理をしたいけれど疲れている人の助けになれば、という谷口さんからの言葉でした。

作る日も、作らない日もある。料理との距離は自分で決めていいのだと、谷口さんの言葉が教えてくれます。最終巻でぜひ、勝男と鮎美の行方を見届けてくださいね。

作品に出てくるメニューを再現!レシピが気になる方は必見です。


著者紹介

谷口菜津子


神奈川県出身。漫画家・イラストレーター。 2022年に『教室の片隅で青春がはじまる』(KADOKAWA)『今夜すきやきだよ』(新潮社)で第26回手塚治虫文化賞・新生賞を受賞。2024年には『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(ぶんか社)がCREA『夜ふかしマンガ大賞2024』で第1位、宝島社『このマンガがすごい!2025オンナ編』で第4位にランクイン。漫画の枠に収まらずファッション誌や文芸誌など様々なメディアで注目を集める。2025年には『じゃあ、あんたが作ってみろよ』がドラマ化し大ヒット。現在『SPUR』(集英社)にて『谷口菜津子のつまみエトセトラ』を連載中。

『じゃあ、あんたが作ってみろよ』5巻


著者:谷口菜津子
定価:本体900円 + 税
発行:ぶんか社

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