
“天然記念物級の希少な池”に起きた異常事態を調べていく様子が「うわぁこれは悲しい」「愕然としました」「恐ろしや」とYouTubeで話題です。動画は記事執筆時点で9万1000回以上再生されています。
動画を投稿したのは、YouTubeチャンネル「コミヤの生物多様性に関する一考察」(@ariake538)の小宮春平さん。自然観察を楽しみながら生物多様性の保全活動に取り組んでおり、以前には絶滅の危機に瀕していた“動く泥”の正体が注目を集めました。
今回の舞台は福岡県久留米市のある池。事前に許可を得てから調査を行っています。ここはスイレン科に属する「オニバス」の保全池であり、おととしまでは水面がその大きな葉で埋め尽くされていました。オニバスは、隣の小郡市では天然記念物に指定されているとても希少な植物で、筑後地方だと自生しているのはこの池ぐらいなのだそうです。
しかし、その姿は今やどこにもなく、水位が減って茶色く濁っている池で見つかるのはウシガエルやアメリカザリガニばかりです。池の状態は全体的に「ヤバイ状況」で、オニバスと同じく水面に浮いた状態で育つ植物・ヒシすらまともに生えていません。
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池は長期にわたる渇水のため、一部は干上がってしまうほど水の量が減っています。カラカラに乾いた“池底”は、ヒシの残骸や運悪く取り残された数え切れないほどのアメリカザリガニたちでいっぱいでした。狭いエリアにザリガニがひしめいている光景は、かなりのインパクトがあります。
アメリカザリガニは、自分たちが生きていくために水草を食べたり茎を切断したりするため、オニバスをはじめとする池の植物は、状況から考えると大量発生したザリガニにやられてしまった可能性があります。1年前まではザリガニを捕食する大型魚類がいましたが、池の水が減ったことで魚の数も減ってしまったのではないかと小宮さんは推測しています。
この池にいたのはフナやコイ、カムルチー、ブラックバスなど。外来魚もいる状態でしたが、これらの魚を単に駆除するだけではアメリカザリガニの増殖を招き、一帯の環境が激変してしまう恐れもあります。外来魚に食べられてしまう在来の水生昆虫や魚類が少ないのであれば、オニバスのように希少な水草の保全を優先し、積極的に駆除しない事例もあるとのこと。久留米市側からも、最近この池で駆除作業をしたとの連絡はなかったそうです。
幸い、久留米市のゴミ処理施設「宮ノ陣クリーンセンター」内のビオトープでカワバタモロコやヒシモドキと一緒に系統保存されていたため、筑後地方のオニバスはまだ絶滅していません。なお、オニバスの花は通常紫色ですが、中には白い花を咲かせる株もあるとのこと。小宮さん自身が栽培しているため白オニバスの方も株は残っているそうです。良かった……!
オニバスがあった池をどうするかについては、自治体側にも状況を伝えて対策を考えるとのこと。復活させる場合はアメリカザリガニの捕食者となる在来の魚の数を増やすことは必須で、オニバスの自生しやすい状況を整えてから池に残っているかもしれない種子を育てたり、ビオトープの株を移植したりして環境回復を目指すとしています。
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また、小宮さんは系統保存を行うタイミングの重要性についても力説。「ある程度残っている段階で始めておかないと手遅れになることが多々あります」と、今回のオニバスのように事前の準備を進めておくことが大切だと伝えました。
様変わりしてしまった池の様子に、コメント欄では「こんなキレイな池が一瞬でドブ池になってしまうのか」「衝撃でした」「アメリカザリガニがこれほど破壊力のある生物種だと思いませんでした」「アメリカザリガニがこれほどの脅威だとははじめて知りました」「心が苦しくつらいです」「昔はこうじゃったみたいな過去の話になる前に気付けるのは本当に大事ですね」「系統保存の大切さがわかりました」といった声が寄せられています。
小宮さんは、環境保全活動に関する活動や考察、成果をYouTubeチャンネル「コミヤの生物多様性に関する一考察」やX(@ariake538)で発信中です。
動画提供:YouTubeチャンネル「コミヤの生物多様性に関する一考察」(@ariake538)
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