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オリジナリティの権化! ブルボンの独特すぎるヨーロピアンな世界

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2017年03月14日 07:46  mixiニュース

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「ルマンド」「エリーゼ」「ホワイトロリータ」といえば、ブルボンを代表する定番シリーズです。飽きの来ない美味しさは誰もが知るところですが、近年、商品名やパッケージを包み込む独特のヨーロピアンな世界観にも注目が集まっています。

なぜブルボンは古いようで古びない、あのテイストをキープし続けるのか? この謎について、TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」や「ジェーン・スー生活は踊る」などでブルボン愛を語る筋金入りの“ブルボニスト”、脚本家・映画監督の三宅隆太さんに聞いてみました。

三宅さんの口から語られたのは、ブルボンを通じて考える社会、人間、哲学……。ブルボン愛どころか「ブルボン圧」を感じるレベルの熱いトークとなりました。


存在しない? ブルボンが表現するヨーロッパ


―――本日は「ルマンド」をはじめ、懐かしのブルボン製品の世界観についてお話を聞かせてください。

三宅さん 1970年代頃に発売されたシリーズのひとつですね。ぼくは「一期生」と呼んでいます(笑)。ほかにも「バームロール」「ホワイトロリータ」「エリーゼ」などがありますが、どれも高度成長期における日本人の海外、特にヨーロッパに対する憧れが表現されている感じがして大好きですね。
40年以上愛され続ける“ブルボン一期生”

―――その一期生が当時と変わらぬテイストで今も現役なのが不思議です。普通、時代に合わせてリニューアルするじゃないですか?

三宅さん それはブルボンさんがずっと本気だからでしょうね。

―――本気、というと?

三宅さん カタチじゃなくてキモチで作っているんじゃないか、と。つまり、この「世界観」を、当時も今も変わらず信じている。流行っているからとかブームだからとかの理由で、意図的にレトロ感を狙うと、主張がにじみ出るじゃないですか。「オレたちのこのセンス、どうよ?」みたいな。でも、そういうはしゃいだような、作為的なニュアンスが一切ない。ほら、このリボンとか見てください。
ブルボン得意のリボン使い

―――たしかにあまり狙った感じはしませんが……。

三宅さん ですよね? モテようとかウケようとか考えたら、もっとリボンを目立たせるために「誇張」が発生するはず。さらにヨーロッパがモチーフといっても、具体的にどこの国のアレといった明確な原型が見えない。ただ漠然としたヨーロッパ観。「おそ松くん」のイヤミが言う「おフランス」のニュアンスに近い。本物のフランスではなく、日本から遠く想いをはせるフランスです。今の時代はネットもあるし、誰でも簡単に確認が取れる。その分、過剰な正確さや細かな再現性が求められがちじゃないですか。そんな中、具体性よりも抽象性を重視した世界観で、堂々と打ち出しつづける姿勢が「一期生」の強みだし、オリジナリティだと思うんです。

―――そんなにすごいものなら、もっと類似商品が出てもよさそうですね。

三宅さん もしかしたら、ルマンドなんかは製法が特別で模倣できない可能性もありますし、仮にスタイルだけ真似ても、きっとこうはならないでしょう。形状、ネーミング、世界観含め、あらゆる要素がルマンドをルマンドたらしめている。例えば、パッケージに「エクセレントクレープ」って書いてあるけど、正直言って意味がわからない。どういうこと? って。でも、圧倒される「何か」はある。若者の顔色を見ながらおっかなびっくり進めている感じとは真逆の、昭和の「強い大人の背中」に通じる「何か」ですよ。
ルマンドの特長「エクセレントクレープ」

―――ホワイトロリータにも「マイルドテイスティー」とあります。

三宅さん 「マイルドテイスト」でいいはずなんですよ。常識的に考えれば。でも、「マイルドテイスティー」じゃなきゃいけない。「ト」じゃなくて「ティー」だ。そういうことなんです。
誰が何と言おうと「マイルドテイスティー」


振り返ればブルボンがいる


―――でも正直、少年時代は単に「おばあちゃん家っぽいお菓子だな」としか思えませんでした。「庶民的」というか、豪華という印象はありませんでしたね。

三宅さん それは贅沢への考え方の違いでしょうね。そもそも一期生が表現しているのは、本物の豪華じゃなくて“豪華感”です。ケーキが特別だった時代には、ひとりでいくつも食べるなんてことはあり得ない。そんな贅沢は許されなかったわけです。ところが、ブルボンはバームロールを筆頭に、ケーキではなく、“ケーキ感”のあるお菓子を次々と打ち出した。それなら家で何個も食べられる。デジタルのない時代に、リアルでヴァーチャルな贅沢を叶えたわけです。ただ、バブル期以降の子どもたちはケーキをさほど贅沢とは思わないでしょうから、バームロールくらいだとピンとこなかった可能性はあります。
三宅氏「このシルベーヌも、“ケーキ感”が贅沢に感じられたものです」


―――当時はポテトチップスみたいに、ストレートにジャンクなお菓子を欲していて。ブルボンのお菓子は何かこう……。

三宅さん 刺激が少ない感じがした? 地味で保守的な、という。それでも、先ほど「おばあちゃん家っぽい」印象があるとおっしゃっていましたね。ということは、親御さんやお祖父さんお祖母さんは、ブルボンを買ってくるケースが多かったんじゃないでしょうか。絶対的な安心感があるから、って。

―――その“親公認感”が照れくさくて、思春期には距離を置くこともありました……。

三宅さん 確かに背伸びをしたい高校時代に、ルマンドを堂々と食べることは自意識が許さない、というのは分かります。成長するためにも反抗期は必要ですからね。ただ、いい大人になって自我や見栄との戦いを終え、若年期特有の承認欲求が満たされた今はどうですか? 一期生への認識が変わりませんか。

―――そう言われると、「あのとき冷たくしてごめん」みたいな気持ちもあるような……。

三宅さん そこなんですよ。そういった心境の変化や成長も含めて、これほど自分の内面の動向や成長史を感じさせるお菓子って、他にないと思うんです。以前、ラジオでブルボンにまつわるエピソードを募集したときも、ものすごい数の投稿が寄せられたんです。それも大抵、あのときいくつで、どこで、どう食べたとか、そんな話ばかりでした。ブルボンのお菓子が個々人の人生を反映した「自分語りのツール」になっているんですよね。

―――たしかに、好きなお菓子としてブルボンを真っ先にあげる人はそう多くないのに、ブルボンネタになると、みんな盛り上がります。

三宅さん 好きなお菓子1位というのは、恋愛に刺激を求める初期衝動に近い。要は“トキメキ”なわけですが、ブルボンはもっと自然体で“生活”に根ざしている。恋人よりも、“夫婦”や“家族”に近い存在と言ってもいい。身近さゆえのリアルな思い出があるのは、そのためではないか、と。

―――そのポジションも戦略的に狙ったものではないんですかね?

三宅さん どうでしょう。それはわかりません。ただ現実として、他のメーカーがトキメキや刺激を与える新商品を出そうとしている中、ブルボンさんも新商品を出しながら、一方で何十年も前のお菓子である一期生をそのまま出し続けている。その意志の強さはどこから来るのか、と。

人はなぜブルボンを語りたがるのか?


―――多くの人がブルボンに思い入れがあることは分かりました。ただ、なぜ今それを語ろうとする動きが出てきているのでしょうか?

三宅さん 大切さに気づいたからでしょうね。

―――といいますと?

三宅さん よく昭和の時代はアナログで不便だったけど、精神的には豊かだったなんて話がありますよね。もちろん、今と昔のどちらが幸せかという議論にはあまり意味がないとは思います。重要なのは、あの頃の方が精神的に豊かだと「感じられた」のは「なぜなのか」ではないかと。

―――なぜなのでしょう?

三宅さん 「大きな物語」が機能していたからではないでしょうか。

―――「大きな物語」?

三宅さん 簡単に言うと、この国全体に「前向きな未来に向かってまっすぐに進む冒険物語(ファンタジー)」のような感覚があった。そこで重要なキーになっていたのが、西欧に追いつきたいという「憧れ」の感覚です。「憧れる」という感覚を抱いているとき、人は必ず前向きになれます。例えば、片想いの恋をしているときには、考え方が前向きになるでしょう?

―――たしかにそうですね。少なくとも後ろ向きにはならない気がします。

三宅さん 前向きの良いところは、考え方がシンプルになる、ということです。今の時代はテクノロジーが発展して便利ですし、スピーディーでもある。一方で、色んなことが複雑になり、シンプルではなくなった。その分、閉塞感を覚えることも多い。ブルボンの一期生について語られる機会が増えたのは、そこに象徴される価値観が再評価され始めたからではないか、と。

――― 西欧を目指していた頃の価値観が?

三宅さん というよりも、「憧れる」という感覚が本来もっていた「前向きさ」や「シンプルさ」です。そこから転じて、「あれ、もっと色んなものがシンプルでもいいんじゃない? というか元々はシンプルだったじゃないか」という気づきにも繋がっているんじゃないかと。シンプルで前向きな未来思考を手に入れることで、乗り越えられることはたくさんありますからね。

――― 一期生の変わらぬ姿勢が現代では新鮮な価値観に映って、ある種の気づきを与えていると。

三宅さん その辺はバブル期に少年時代を過ごした人たちの心境の変化も大きいと思います。思春期を経て、親の世代の価値観を認められる境地に入ってきたというか。そんな中、ネットやラジオでブルボンの話題が出始め、コミュニケーションツールとしての価値が広く認識されていったと。

―――ブルボンの本気さと圧倒的なブレなさがすごい、ということが改めてよくわかりました。

三宅さん いや、本当に。ぼくの本業の映画やTVドラマの世界でも、世間にウケる・ウケないといった短絡的で数字的な結果が求められ、「今の時代に見せるべき物語を提示する」という最も大事な視点を見失うケースもあるんですよ。そんな中、お菓子屋さんには全くブレない一期生が平然と置かれている。背筋が伸びますよね。

―――なるほど。ただ、これまでの話をひっくり返すようですが、単純にリニューアルしそびれたってことはないですよね?(笑)。

三宅さん いまさらそういうこと言います?(笑)。 まぁ、でも真面目な話、僕も訊きたいというのはあります。本当のところどうなんだと。
ブルボンさん、本当のところどうなんですか?

            

ブルボンさんに疑問をぶつけてみた


三宅さんからのお話を受けて、後日ブルボンさんに取材を申し込みました。

・高度成長期の世界観を今も表現し続ける理由は?

・リニューアルの話が出たことは?

・商品名やキャッチコピーはどう決めているのか?
 (「マイルドテイス“ト”じゃない。“ティー”だ!」みたいな話し合いが実際に繰り広げられていたのか?)

・どこの国とも限定しないヨーロピアンテイストはどんな狙いで生み出されたのか?

・近年、ラジオやネットで話題になってることは知っているのか?

気になるのはこのあたりの疑問です。上記質問にブルボンさんは……。


―――「一期生」の誕生経緯と世界観を変えない理由について。

ブルボン広報 商品開発のプロセスは公表を差し控えさせていただきますが、当社のお菓子には、それ自体がもつ美味しさや楽しさに加え、人の心を優しくしたり、豊かにしてくれたりする不思議な力があると感じています。多くの方々に愛され続けているロングセラー商品なので、今も大切に引き継いでいます。

―――近年、ラジオやネットでブルボン製品の独特さが話題になっていることについて。

ブルボン広報 SNS等を通じてユーザーの皆様の間で様々なご意見が交わされていることは当社も存じています。特に“ブルボニスト”と呼ばれる熱狂的ファンの皆様が弊社商品をご愛顧くださっている様子が伝わり、大変ありがたく感じています。


……と、どこまでも真面目なご回答。

そんなブルボンさんのお菓子作りの合言葉は「おいしさ、思いやり、いつもいっしょに」と「おいしい笑顔の真ん中に」とのこと。

この昭和の温かな家庭像を思わせる突き抜けたピュアな精神、それが三宅さんの感じた「ブルボンの本気」の正体(?)なのかもしれません。


●識者プロフィール
三宅隆太さん(みやけ・りゅうた)
脚本家、映画監督、スクリプトドクター、心理カウンセラー。若松プロダクション助監督を経て、フリーの撮影・照明スタッフとなり、映画・テレビドラマ等の現場に多数参加。ミュージックビデオのディレクターを経由して脚本家・監督に。また、スクリプトドクター(脚本のお医者さん)としてハリウッド作品を含む国内外の映画企画に多く参加する傍ら、東京藝術大学大学院をはじめ各種大学やシナリオ学校等で教鞭も執っている。

●文・構成/後藤亮平(BLOCKBUSTER) 写真/小島マサヒロ(人物撮影)、BLOCKBUSTER(商品撮影)


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  • ゴージャス、ロココ調というか何となくベルばら感。ってそれは名前のせいか。
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  • おやつ箱がブルボン菓子で満たされている状態を、わが家は「ブルボン王朝」と呼んでいる。
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