「寄付しなかった家庭の子は学校の用具を使うな」 校長の方針に批判殺到(英)

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2018年01月14日 14:33  Techinsight Japan

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寄付の有無で児童たちにルールを設けた校長(画像は『Mirror 2018年1月11日付「School ends playground ‘rich and poor zones’ “with immediate effect” after parents’ outrage」(Image: Wednesbury Oak Academy)』のスクリーンショット)
寄付というのはあくまでもその人の心次第であり、他人から強制されることではない。しかしこのほど学校側が呼びかけた寄付金を、親が支払った子とそうでない子を校庭で区別するという事態が起きたことで、保護者らは不満を露わにし学校長を激しく批判した。英メディア『BBC News』『The Independent』『Mirror』などが伝えている。

イギリスでは政府の学校運営基金が大幅にカットされたことにより、財政難に陥っている学校も少なくない。そのような中、ウェスト・ミッドランズのティプトンにある「Wednesbury Oak Academy(ウエンズリー・オーク アカデミー)」では学校側が運営協力を求めて児童の親にわずかな寄付を呼び掛けたことが発端で、校庭で児童たちが区別されるという由々しき事態が発生した。

学校側は児童らが使うスポーツ用品を購入するために、PTAで決まった事案「児童1人につき6ポンド(約900円)の寄付」への呼びかけを2017年5月に実施した。しかしあくまでも「寄付」ということだったため、寄付する親とそうでない親が現れた。

これに対し学校側は今年の1月3日から“no pay no play(払わないのなら遊ぶな)”という方針を立て、親が寄付した児童には昼休みにその用具を使って遊ぶことを許可し、寄付をしなかった家庭の子には用具を使用することを禁じた。このことから校庭では、「寄付をしなかった(貧困家庭の)子供」「寄付をした(裕福な家庭の)子供」というような区別がつけられてしまったのである。それを知った親たちは「社会的・経済的差別」と怒りを露わにし、マリア・ブル学校長を激しく批判した。脅迫めいた言葉を校長へ投げかけるという複数の親も現れたが、この件についてブル校長は以下のように反論した。

「学校運営には常にお金がかかります。これまでも当校のスクール・ディスコや学童クラブなどの資金も追加出費で賄われてきました。サッカーボールやラグビーボール、テニスボールやバット、縄跳びなどのスポーツ用具を購入するために寄付してほしいと昨年5月に告知をしましたが、1年間にたった6ポンド(約900円)、1週間でいうとわずか15ペンス(約23円)ですよ。全校生徒450人のうち、これまで寄付をした家庭の子は80人。5月から8か月もあったのにこんなに少ないなんて…。6ポンドすら払えないような児童の親は、この学校にはいないと思っています。結局のところ80人のためのスポーツ用品ってことになるしょう。それに週2回は、寄付していない家庭の子たちも新しい用具を使って一緒に遊ぶことができます。こちらは何も他の子の分まで寄付金を払えとは言っていません。年にわずか6ポンド、たった20分の昼休み時間の話なんですよ。それなのに親たちはFacebookで『校長にお仕置きをしないといけない』と脅迫めいたことまで言っていたんです。もう少しで警察に通報するところでした。親のこのような行為は、受け入れられるべきことではありません。今や学校側がネットいじめに遭っているといってもいいほどです。」

子供たちにとってあまりにも不公平な方針を立てた学校側に対して、親たちは「そんな区別を子供にするな」とこの方針を取り下げさせるべく署名運動を起こした。発起人となったアンジェラ・ムーアさんは次のように話す。

「今や校庭では『寄付をする裕福な家庭組』と『寄付できない貧困組』のような感じで区別されているんですよ。実際に寄付した家庭や教員らも、この方針には反対しています。こんな区別はいじめの原因を作り、社会的排除をしているにすぎません。このようなことは即刻廃止して頂きたい。」

また児童の親たちからは、このような声があがっている。

「子供は、新しい用具で遊ぶことを許されずに不快な思いをしている。」
「自分も小学校に勤務する身だが、学校が子供たちにこのような不快な思いをさせるというのが想像できないし、もってのほか。」
「人としてこんなアイデアはバカバカし過ぎる。子供に示す最も悪い例だ。」
「たかが6ポンドというけど、出せない家庭もあるのでは?」

寄付をうたっておきながら、寄付しない家庭の子らにこうした区別をする学校側の対応に、ウェスト・ブロムウィッチ労働党下院議員エイドリアン・ベイリーさんもこのように苦言を呈した。

「確かに政府基金がカットされ財政上の危機を迎えている学校もありますが、学校側は強制的に寄付させるような手段を取るべきではありません。そもそもこうした学校用品は、予算で賄われるべきものなのです。収入が低くて寄付できない親がいると必然的にこのような結果になってしまいます。全ての子供が教育面や設備・用具使用において平等に扱われるよう学校側は配慮をしなければなりません。」

結果として署名運動では1634人の署名が集まり、1月11日にこの方針は廃止されたという。このニュースを知った人からも「寄付ってボランティア精神でするものでしょ。これって強制しているのと同じじゃないの。こんな校長、解雇されるべき」「区別じゃなくてこれは差別」「『たった6ポンド』とかいうけど、校長って各家庭の収入なんて知らないでしょ。『6ポンドも払えないような児童はこの学校にはいないはず』なんて言うべきじゃない」「最低だ。こんな人、校長にはまず向いていない」といった非難の声があがっている。

画像は『Mirror 2018年1月11日付「School ends playground ‘rich and poor zones’ “with immediate effect” after parents’ outrage」(Image: Wednesbury Oak Academy)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

このニュースに関するつぶやき

  • そりゃ寄付した奴を優遇するのは当たり前だろう。大人のくせに、タダで用具を使おうなんて厚かましい。
    • イイネ!2
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