永野芽郁が『半分、青い。』で見せた10代ヒロインの根性 視聴者を巻き込んだ鈴愛のエネルギー

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2018年12月31日 19:41  リアルサウンド

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 永野芽郁が『半分、青い。』(NHK)での朝ドラヒロインを務め上げてから、3カ月が経過した。現在は『まんぷく』で安藤サクラがヒロイン役として奮闘中で、その後は『なつぞら』に広瀬すず、『スカーレット』に戸田恵梨香が決定している。安藤、広瀬、戸田の3名はオファーを受けての主演となるが、それとは異なり、オーディションを経てヒロインの座を獲得した現在19歳となる永野の、朝ドラでの活躍を振り返りたい。


永野芽郁が明かす『半分、青い。』鈴愛役の苦悩と喜び


 これまで、数々の朝ドラヒロインたちの勇姿を見届けてきたライターの田幸和歌子氏は、永野の元々の印象から朝ドラ出演時の驚きを明かす。


「近年、30代の女優さんに人気が集中していて、主演ができるスター性のあるティーンの女優さんの存在が貴重になっているなかで、広瀬すずさん、最近になって浜辺美波さんが出てきて、永野芽郁さんもそうした一人として認識していました。永野さんは子役出身で芸歴が長く、『俺物語!!』『僕たちがやりました』(カンテレ、フジテレビ系)などで、ピュアなヒロイン役や今時の若い女の子の役を演じるナチュラルな佇まいが素敵だと感じていましたが、朝ドラでの芝居を見て想像以上の演技力に驚きました。永野さんが演じた鈴愛という役は、どこにいても視線を集めてしまう、真ん中にしか存在できない印象の強いキャラクター。天真爛漫で明るく太陽のような部分もあれば、自分勝手で毒々しい部分もある強烈な役どころで、それを演技と感じさせないほど生々しく演じたのはすごいなと思いました。また、上手いと思ったのは、鈴愛が歳を重ねるにつれ、子どものままの感性を持ちつつ、それなりの人生経験を積んできたからこそのずるさ、計算高さが加わった中年女性の表現です。特に絶賛されていたのが、狂気を孕んだ演技。漫画家として挫折して何もかもを失ったときの、喪失感の表情と、狂犬のように興奮して周りに当たり散らす様のど迫力には息を飲んでしまった人が多いと思います」


 続けて同氏は、永野の芝居への熱意が、視聴者の本作の評価を大きく左右したのではと語る。


「永野さんは、いわゆる“憑依系”で極端に役柄に入り込んでしまうタイプの女優さんなのだろうと感じます。鈴愛を演じていたとき、本番中に本当に耳が聞こえなくなってしまったり、笑えなくなってしまったり、自分が何者かわからなくなった時期があったと話していて。オンオフができないくらい役を引きずってしまうのでしょう。それほどのエネルギーで役に向かうからこそ、視聴者側も単なるドラマとして距離を置いて見られず、良い意味でも悪い意味でも、鈴愛というヒロインの持つエネルギーに巻き込まれてしまった。脚本家・北川悦吏子さんのスタンスに対する賛否もありますが、それだけでなく、永野さんの演技にはそれだけのエネルギーがあり、だからこそ『半分、青い。』は賛否が大きく別れたのではないかと思います」


 また、物怖じしない落ち着いた永野の性格も、幅広い年代の役柄を器用に演じることができるひとつの理由だという。


「永野さんは芸歴が長いこともあって、年上の役者さんとの共演でも全く物怖じしないようです。真ん中にどんと立つ度胸があるというのも、10代の女優さんではなかなかできないことだと思います。『僕たちがやりました』で共演した水川あさみさんが永野さんのことを、とても落ち着いていて、『精神年齢32歳』と話していることもあって。キャリアや性格、様々なことを含めて、永野さんだからこそ10代から40代を背伸びではなくリアルに演じられたのだと思います」


 朝ドラヒロインを経て、1月からスタートするドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)にも出演することが決定している永野芽郁。2019年の9月には20歳を迎えることになるが、それまでの10代の期間、どのような演技を見せてくれるのだろうか。20代へと羽ばたこうとするこの瞬間を見逃してはならない。


(大和田茉椰)


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