激安だけではもう古い、エンタメ化する「スーパーマーケット」の世界

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2018年10月12日 05:01  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

ピザは注文を受けてから職人が生地をこね、ピザ釜で焼き上げてくれるほか、なんと本格ステーキも味わえる

「献立、何にしようかしら?」と日々足を運ぶスーパー。以前は激安を売りにする時代もあったが、近年その傾向が変わってきている。

「高齢者や単身世帯、共働き世帯が増えていることにより、スーパーでは数年前から惣菜に力を入れるようになり、売り上げが伸びています。

 以前であれば、“スーパーのお惣菜はあまりおいしくない”というイメージを持つ人もいたかもしれませんが、いまではレストランレベルの味わいを提供するスーパーも増えていて、その惣菜を求めに遠くから足を運ぶ人もいます」

 こう教えてくれたのは、スーパーマーケット研究家の菅原佳己さん。特に化学調味料を使わない健康志向の商品や、焼きいもなど「作りたて」の惣菜の売り上げが伸びているそう。

店の食材を使っての料理提供

「惣菜の味がいいのはもはや当たり前で、コンビニでは購入できない、“手作り感”や“家庭の味”が、単身世帯や共働き世帯に求められ、うけているのです」(菅原さん、以下同)

 惣菜の売り上げの増加に伴い、購入した商品を食べてもらうためのイートインコーナーを活用するスーパーも増えているが、さらにここ数年は進化して、レストランやバーなどを併設する「グローサラント化」の傾向が見られるようになっているという。

 グローサラントとは、スーパーマーケットを生み出したアメリカでいまトレンドの新業態。店内にあるレストランのような場所で、店の食材を使って調理した料理を食べられる仕組みのこと。

 日本でのグローサラント化の先進企業は、東京や関西を中心に展開する高品質スーパーの『成城石井』。

 例えば、東京の『トリエ京王調布』では、惣菜とカフェのバックヤードを共有。カフェメニューで使用されている食材の約90%がスーパーで販売している上質な素材を使ったものだ。

「外食の場合は、どんな素材を使っているのかわかりませんが、成城石井のカフェメニューは、レシピカードに材料と作り方が掲載されているので安心して食べられる。カフェで味を確かめたあと、食材を購入して家庭で再現できるのも楽しいんです」

スーパーに本格的な江戸前寿司

 スーパーはもはや買い物するだけの場所ではない。

「激安食材を求めてスーパーに行くという時代は終わり。これからは、“あのスーパーがおしゃれだから”“ランチがおいしいから”と、ワクワクして出かけていけるような、エンターテイメント性が求められてくるでしょう」

 エンタメ性のあるスーパーで菅原さんが注目していると話すのが、三重県にある『マルヤスメルヴィ芸濃店』だ。

 三重県津市に本社を置き、高品質な食材を提供するとして地元の人に人気の高い『マルヤス』の県内11店舗目となるこのお店は、今年4月にオープン。

 入店すると、ハワイアンミュージックが流れ、天井が高く開放的なスペースに色鮮やかなフルーツが木になっているかのように陳列されたりと、まるで海外のスーパーにいるよう。

 もともとフルーツ専門店から創業したマルヤスだからこそ実現する、どこにも負けない新鮮フルーツの品ぞろえは圧巻だ。

 鮮魚売り場に進むと突然、白木の引き戸が立派なカウンターの寿司屋が登場。スーパーでの買い物の途中に、本格的な江戸前寿司が味わえるというのだ。

 江戸前寿司店「鮨禧」の板場を支えているのが、隣のスーパーの鮮魚部。板長の発注をもとに鮮魚部が鮮度も質も抜群の魚の仕入れと下準備まで行っている。

「ただ買い物をしてもらうだけでなく、驚きを提供することで、テーマパークのように楽しんでもらいたいと思っています」

 こう教えてくれたのは、常務取締役の鈴木堅之さんと下川拓郎店長。ハワイアンな気分で買い物をしていたら突然、本格寿司屋が現れる仕掛けは、まさにサプライズ。

 その後も、生ハムの原木や松阪牛のかたまり肉が美しい熟成庫、ドライフルーツやナッツなど100種類ほどのスーパーフードの量り売りという、次々とユニークな仕掛けが現れ、まさにアミューズメントパークのよう。

注文後に調理

 店内のいたるところに飾られた手描きのPOPも楽しげで、何時間でもいられそう。

 ひととおり店内を回ると、最後に『cafe iconi』にたどり着くが、これがただのフードコートではない。

 ピザは注文を受けてからピザ職人が生地をこねて釜で焼き、うどんは自家製麺をカットしてゆで上げる。ハンバーガーはつなぎなしの100%牛をベーカリー工場に特注したバンズではさむというこだわりよう。

 メニューのすべてが注文後にスタッフによって調理されるため、専門店で食べるような本格的な味わいが体験できるのだ。

 提供される料理の素材の多くは、店内で購入可能。実際に食べてみて味に満足するからこそ、購買へとつながっていくのだ。

「もとはフルーツ専門店だったこともあり、生鮮食品が特に評価されていました。生鮮食品の廃棄ロスを減らすためにも、食材を使って何かできないかと模索し、スーパーのほかにイタリアンレストランを経営しているノウハウも生かして、カフェを運営するようになりました。

 すべてのメニューがスタッフによる手作りのため提供までに時間がかかってしまいますが、食べてもらうと味に納得してもらえます」(下川店長)

 前出の菅原さんいわく、

「全国には個性豊かなスーパーがまだまだたくさん。旅行に行ったら、ぜひ地元のスーパーへ立ち寄ってみてください。面積を広くとっている棚を見れば、その地域の食文化がわかります。例えば大阪はソースが充実していますし、東北は漬物などによく使うので、しょうゆ売り場が広い。

 また、ユニークな逸品を見つけたかったらパンと牛乳の売り場へ。乳製品など、デイリーフーズの食品は必ず地元でつくられているため、ご当地ならではの逸品に出会える可能性が高いんですよ」

 さまざまな楽しみ方ができるご当地スーパーの世界。あなたの街には、どんなスーパーがありますか?

このニュースに関するつぶやき

  • エンタメ化は別にいいからマナー悪い客は発見次第料金割り増しシステムでも入れてくれ( ´・ω・` )洗剤売り場に生肉放置やカートに直接子供乗せてるの見たら嫌悪感ハンバないのですよ。
    • イイネ!37
    • コメント 2件

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