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「里親研修後、わが家に新生児がやってきた」養子縁組で “家族” になるということ

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2018年03月18日 16:30  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

写真写真はイメージです
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 家族のありようは急速に変化している。保護者のいない子ども、育てることが難しい子どもに対し、公的な責任で社会的に養育し、家庭の支援を行うことを「社会的養護」という。福祉施設だけでなく里親委託も含まれる。

「自分だけ幸せになっていいの?」

 厚生労働省によると、2015年に登録された里親は1万人超、委託された子どもは'16年に5000人を超えた。自治体間で差があるものの、新潟市は里親等委託率が5割を超え、全国で最多となっている。静岡市や福岡市でも4割前後だ。国は取り組み事例の普及に努めている。

 里親は4種類に大きく分けられる。一定期間の養育をするのが「養育里親」だ。このうち、虐待や非行、障がいなどの理由で専門的な援助を必要とする「専門里親」のほか、養子縁組によって養親となる「養子縁組里親」、祖父母などの「親族里親」がある。いずれも特別な資格はないが、研修を受けることが必要。期間は、数週間から養子縁組までさまざまだ。

 女子高生Aさんは、里親と東京郊外で暮らす17歳。1人部屋を与えられており、特に生活に不満はない。

「3歳のときに乳児院から預けられたと聞いたけど、ほとんどの子はまだ親が決まっていなかった。自分だけ幸せになっていいの? って思ったりする」

 友達にはどう話しているのだろうか?

「中、高で何人かには言ったことがあるけど、関係は変化しなかった。ほかの友達には里子だとは言ってないけど、家に呼んだことはあります。特に何も言われなかったし……」

 また、里親に育てられたBさん(20)は母親が病気だったため、2歳で児童養護施設に入所した。その後、里親家庭に預けられたときは、6歳だった。

「小さいときから(里親のところに)いたので、家族のように思っている。生みの母親がいても、家族とは違う感じ。自分には、この家に住んでいる人が家族」

実の親は生きているのに頼れない

 生みの母親に会ったことはある。でも「過去の親」と言って、現在の家族と区別している。

「将来は自立してなんでもできるようになりたい。でも、嫌なことがあったら帰れる場所が里親の家」

 そうBさんは話す。

 ただ、社会的養護の親子関係は、子どもが自立したあとの課題も大きい。児童養護施設や里親家庭で育った子どもたちの相談に乗る、『アフターケア相談所ゆずりは』所長の高橋亜美さんが指摘する。

「社会的養護で育つ子どもたちが、施設への入所や里親のもとで育つ背景には、虐待や貧困などの問題があります。実の親は生きているのに、安心して頼れない。その困難があります」

 例えば、アパートを借りるときや就職に際して、身元保証人が必要になる。携帯電話の契約でも、未成年ならば親のサインを求められる。しかし、実の親には頼めない、あるいは頼みたくないという心情がある。

「アパートは保証会社を利用することもできますが、そのための保証人が必要になることがあるんです。保証人のサインがないと、家賃が上乗せされたり、リスクが高い物件を借りることになりかねない。本人のせいではない問題の相談は、常にあります」(高橋さん)

 また、子どもが18歳を過ぎた場合、児童相談所のサポートはなくなる。里親と良好な関係が築けなかった子どもも、18歳以降にサポートを受けられない。施設で育った子どもに対しては、施設側が「アフターケアも仕事としてやっていくべき」と高橋さんは主張する。

「里親、里子ともに、自立したあとも相談できるような人や場所などの公的支援が必要。現状では相談先が乏しく、抱え込む人も多いのではないでしょうか」

 東京都は、養子縁組したケースを除き、児童養護施設などで育った人たちの追跡調査をしている。'17年の調査では生活が安定しないためか「困っていること」として「消費者金融やクレジットなどの借金」が9割を超えた。生活保護を「受けている」と「受けたことがある」を合わせると、13・7%('10年調査)から20・2%('17年調査)と6・5ポイント増加している。

 社会的養護をめぐっては前述のような課題がある。しかし、養子縁組ができれば、家庭内の人間関係は比較的、安定するようだ。

子どもがいないと結婚する意味がない

 漫画家の古泉智浩さん(49)には、『うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門』(イーストプレス)の著書がある。タイトルどおり、里子を預かってからのエピソードを満載した作品は評判を呼び、続編『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました』(同)も昨年に出版している。

 古泉さんが妻(41)と結婚したのは'09年。子どもをつくるのが前提だった。

「子どもがいないと結婚する意味がない」(古泉さん、以下同)

 そう思うのには理由があった。妻と結婚する以前、婚約者がいたが、事情があり結婚できなかった。その女性との間に娘がいる。

「娘が2歳のときに初めて会って、それで子どもが欲しいと思ったんです。もし自分が2歳の女の子だったら、大人を頼って生きなければならない。娘と会ったことで、人を守らないといけないと初めて思いました。ずっと“愛とは何か?”と考えていましたが、これが答えでした」

 妻は初め、子どもを欲しいとは思っていなかったようだが、古泉さんと話をするなかで変化していった。

 しかし、なかなか2人の子どもができない。検査をしてもどちらも機能的には問題がない。不妊治療をするが、それでもできない。

「あるとき、妻から不妊治療で600万円使ったことを聞かされて。高い治療をすれば成功すると思っていましたし、妻も妊娠できるつもりでいた。それでもできない。深みにはまりました。運なのか、神様の差配なのか」

 それでもあきらめず、古泉さんは養子縁組を考えた。子どもがいないことが耐えられなかったのだ。

 里親の希望者は、夫婦の同意の上で相談し、児童相談所の担当職員がその家庭を訪問し、調査する。同時に研修を行う。児童福祉審議会の審議で認定されると、里親名簿に登録される。

「子どもは3、4人欲しい」

 里子は3、4歳でもいいと思っていた。愛情を確かめるため大人をわざと困らせる“試し行動”があるかもしれないと覚悟していたが、新生児がやってきた。

「里親研修を終えた途端、赤ちゃんを預かってほしいと言われて。びっくりしました。役所のケアもとても手厚い。こちらの想像の何倍も面倒を見てくれました」

 長男はすでに3歳。「かんが強いのか、泣き出したら止まらない」。「生みの親がいる」とは伝えているが、理解できているかはわからない。

 長男との特別養子縁組が成立して1年がたつ。生みの親との法的な親子関係を解消し、育ての親として親子関係を結んだ。法律上は実の子と同じになる。不安はなかったのだろうか?

「知り合いの漫画家が養子縁組をしているんですが、実の親子同然に見えました。真っ先にその親子が頭に浮かんで、安心できたんです」

 その後、2人目の娘も生まれたてで預かった。長男と同じく特別養子縁組を検討中だ。

 子育ての悩みは尽きない。長男は、欲しがるものを「買えないよ」と言われ、荒れて妹に八つ当たりをした。そのとき、「妹なんて、乳児院に戻せばいいんだ」と叫んだという。

「妹の出自も理解していることがわかりましたが、それは言ってはいけないこと。“人を傷つけるようなことを言うと、自分も傷ついてしまうので、言っちゃいけないよ”と叱りました」

 古泉さんは2人のほかにも子育てをしたい気持ちがあると話す。

「できれば、子どもは3、4人欲しいです。でも、僕も年ですし、これ以上は体力が大変。なので、今の2人が大きくなったとき、少し大きめの子どもを預かるということはあるかもしれません」

 里親や養子縁組は、なにより子どものためにある制度だ。だが、社会的養護を通じて「親」になれるかもしれないという選択肢は、子どもを切望する人たちにとって希望でもある。多様な家族を支える仕組みと理解が求められている。

<取材・文/渋井哲也>

このニュースに関するつぶやき

  • 夕飯の後に団欒も無く自分達の部屋で過ごすような書類上と血縁以外の繋がりがない家族って他人以下だよ?
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  • ぶっちゃけ夫婦だって他人だし。子供も他人でも良いと思うし、なんか面白いじゃん。血の繋がりがなんじゃいって話(笑���ä����١�)
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