【コラム】 秘密がモットー、うわさの錯綜する覆面作家

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2009年03月29日 09:32  よりミク

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 三島由紀夫、GORILLAZ、GReeeeN。この一見バラバラな三者は、ある共通のキーワードでくくることができます。それは正体を隠して活躍する覆面作家(アーティスト)であるということ。  一口に覆面とは言っても、その意味合いはさまざま。三島由紀夫は、作者が自分であることを隠すため、榊山保という変名で「愛の処刑」という小説を発表しました。  ただ名前を隠すだけではなく、全く別の人格(キャラクター)として、プロフィールまで架空のものを作り上げてしまったのがGORILLAZ。デビュー当初は、架空のカートゥーン・バンドとして登場しましたが、現在は正体を公表(イギリスのロックバンド・Blurのデーモン・アルバーンら)しています。  文字通り、顔を覆って隠すという意味で覆面なのがDaft PunkやBEAT CRUSADERS 、そしてGReeeeNら。特にGReeeeNは、メンバー自らがメディアへ露出することも極端に少なく、アーティスト写真でも常にシルエットのイラストを使用するほどの徹底ぶりです。  他に、プロフィールを公表しないという、かつての北村薫や舞城王太郎らのようなパターンもあり。覆面という形態は、作家(アーティスト)の表現欲求とも相まって、多種多様なものが生まれていると言えるでしょう。
コミックス・BAKUMAN
コミックス・BAKUMAN
 漫画の世界にも、変名なのでは、と2005年ぐらいからうわさされている人物がいます。「DEATH NOTE」の原作者として大ヒットを飛ばした大場つぐみ。その正体が「とっても! ラッキーマン」を代表作に持つギャグ漫画家・ガモウひろしではないかと言われているのです。「DEATH NOTE」のシリアスな作風と、ギャグ漫画のイメージにはかなりギャップが……。それでも大場=ガモウ説は根強く、また最近になってそれを裏付けるような根拠が続々と発見されていることで、話題が再燃しています。  大場が今、週刊少年ジャンプ誌上で連載しているのが「BAKUMAN」という作品。「BAKUMAN」は、物語作りと絵描き、それぞれの才能に長けたふたりの少年が漫画家を目指す物語です。このタイトルの意味するところは明かされていませんが、まことしやかに言われているのが、タイトルの字面から下線部分を除くと「RAKIIMAN」になるということ。また、コミックス第1巻の表紙には「ラッキーマン」を思わせるイラストが、そこかしこに散りばめられています。  さらに、作中には主人公の叔父として、「ラッキーマン」を思わせるヒーローものでヒットを飛ばした絵の下手なギャグ漫画家が登場。その人物造形が、ガモウをほうふつとさせます。  その上、コミックスではおまけとして、ネーム(原稿の下絵)が完成原稿になるまでを三段階で紹介。その絵のタッチが、ガモウに酷似しているとか。
刺激的なサタミシュウ作品の装丁
刺激的なサタミシュウ作品の装丁
 一方、変名であることを自ら公表することで、注目を集めている作家もいます。「私の奴隷になりなさい」「ご主人様と呼ばせてください」「はやくいって」など、刺激的なタイトルのSM青春小説を発表しているサタミシュウです。本名でも多数の作品を発表していることが伝えられていますが、実際にそれが誰なのかは非公表。  その正体については諸説あり、ネット上では具体的な人物名も散見されます。しかし、3作目「おまえ次第」の巻末に収録されたインタビューで、作者自身が既に名前の挙がっている人はどれも正解ではないとコメントしました。  名のある作家やアーティストたちが、こうしてあえて名前を隠すのはどうしてでしょうか。理由は決してひとつではないはず。既に知られたイメージ、先入観が作品鑑賞の邪魔にならないようにという配慮。プライベートの自分を守るため。また、新人として再挑戦、なんていう意味合いもあるのかも知れません。ですが、作者の意図を酌むのならば、余計なせんさくなどせず、素直に作品を楽しむのがきっと一番なのでしょうね。(編集・執筆/mixiニューススタッフ)
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