【コラム】 さよならA-ZERO マンガ「落とし芸」を超えた新たな江口寿史伝説へ
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2009年05月24日 09:20 よりミク
1970年代から1980年代にかけて、「すすめ!!パイレーツ」や「ストップ!!ひばりくん!」などで人気を博したギャグマンガ家・江口寿史。「急病」「冬眠する」「白いワニ(真っ白な原稿)に襲われたから」などと述べては、数々の連載を休載し続け、「落とし芸」のエキスパートとしてもその名を轟かせています。
「ひばりくん」連載時(81〜83年)、絵のクオリティ追究に目覚めたせいで、描くのがどんどん遅くなり原稿を落としてしまうようになった、というのが定説。でも、理由はそれだけではないみたいです。5月11日に放送された「マンガノゲンバ 江口寿史スペシャル」(NHK BS2)では、番組スタッフが撮影のため仕事場を訪れます。ところが、原稿締め切り日だというのに、午前4時になっても先生は帰ってきません。収録スタジオに遅刻した江口さんは、「ちょっと飲んでいて……誘われると断れないんですよ」と語っていました。理想が高すぎるのか、誘惑が多すぎるのか、「ひばりくん」以降、イケナイ癖は常態化してしまいます。やがて読者から「掲載されていれば奇跡」「白いワニ伝説」と、ネタとして語り継がれるほどに……。
連載→休載というパターンをイヤというほど繰り返した江口さん。90年代以降はマンガ雑誌「COMIC CUE」の編集長を務めたり、岡村靖幸や銀杏BOYZのCDジャケットを手掛けるなど、イラストのみの仕事も増えたりしたため、マンガ家は引退かとのうわさも上りました。しかし美しい絵×質の高いギャグで繰り広げられる江口マンガを、待ち続けるファンはもちろん少なくありません。そんな中、2008年7月に創刊された月刊青年誌「漫画アクション増刊A-ZERO」(双葉社)で、待望の連載が始まったのです。しかも創刊からいまだ休載ゼロ! 奇跡が!! ……しかしファンの小躍りも長く続きませんでした。「A-ZERO」は、次号No.12(6月6日発売)をもって、休刊となることが発表されてしまったのです。
No.11は、江口寿史さんイラストの表紙。マンガには登場していないこの美女が気になります | | |
「A-ZERO」といえば、懸賞への応募ハガキが、プレゼント数より少なかったために起きた「全プレ(※1)」現象でネットを賑わせたこともありました。それにしても休載ゼロという快挙を成し遂げたまま、江口先生が雑誌の最後を見届ける……こんなことがかつてあったでしょうか(いやない)。
江口先生が「A-ZERO」で連載している「ゼロの笑点」は、毎回異なるネタに合わせ、画風を変えて描いた4ページフルカラー構成。「ドギワ荘の青春」や「もみあげクン」といった、どこかで聞いたようなサブタイトルが並びます。そして、ポップな線で描きだされた危ないギャグが満載。中でも「ドギワ荘」シリーズで展開される、登場人物テラさん(※2)のちょっとエッチな妄想ワールドには、脳みそが溶けそうになります。最終号では、一体どんな妄想が待っているのでしょうか・・・・・・はっ、最後の最後で「落とす」なんてこと、しないでくださいね、江口さん!(スズチ/mixiニューススタッフ)
江口妄想ワールドのテラさん。妄想に罪はありません! 画像提供:江口寿史公式HPより【N君の「トキは?荘」の仲間たち。】 | | |
(※1)・・・応募した全員にプレゼントが当たること。現在の「A-ZERO」は全プレ状態から脱却しています。
(※2)・・・あの有名な「トキワ荘」でのリーダー格・寺田ヒロオさんとは関係ないと思います(予想)。
■関連サイト
双葉社「漫画アクション増刊A-ZERO」
http://www.futabasha.co.jp/magazine/action_zero.html#
江口寿史公式HP KOTOBUKI STUDIO
http://www.kotobuki-studio.com/index.html
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