保活が終わっても地獄? 「タバコを吸ってる保護者がいる」との密告で窮地に立たされるママも

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2018年01月14日 20:03  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

Photo by Photocapy from AC

 少子化といわれている現代。出産可能とされている15歳から49歳までに、1人の女性が産む子どもの数の平均を示す「合計特殊出生率」は、平成27年の発表によると「1.42」となっている。

 特に、ワーキングウーマンが多い都心部では、一人っ子が多く、自ずとお母さんの視線はその子だけに注がれる。特に、経済的理由から2人目を諦めた場合は、一人の子どもに対しての期待度が高くなってしまう。祖父母が地方に住んでいるために育児の協力を頼めない場合など、すべての判断がママに委ねられるために孤立しがちと言える。さらには、高齢出産や不妊治療の苦労などが影響し、子どもに対してつい度を越えた過保護になってしまうお母さんもいるようだ。いまだ解消されぬ待機児童問題の中、せっかく入園できた保育園を退園してしまう園児もいるが、その背後には、モンペと呼ばれるママたちの姿が見え隠れする。今回は、実際に保育園に勤務している保育士の「モンペママのせいで精神的に追い詰められた」という告白に着目。東京の育児ママたちの“保活のその後”に迫っていく。

■保育士「そんなに大事なら自分で育ててほしい」

 「潜在保育士」という言葉を聞いたことがあるだろうか。これは、実際に保育士の資格を持っていながらも、なんらかの理由で保育士の仕事に就いていない人を指す。よく保育士の賃金の安さがニュースなどでも取りざたされているが、問題はそれだけではない。

 都内で派遣社員として働いている香織さん(仮名)も、潜在保育士の1人だ。

「テレビのニュースなどで、保育士不足というのを見ると胸が痛みますが、戻る気はないです。園のお遊戯会で使う小道具を作ったり、土曜保育があるので土曜日も出勤したり。本当、休みが少なくてお給料も安いんです。子どもが好きだったので、最初はやりがいを感じていたのですが、お着がえの入れ間違いや、帽子をかぶせないで散歩に出かけたのを親からきつく言われたり、なんでも現場の保育士のせいにして知らん顔をする経営者に嫌気がして、辞めてしまいました」

 保育士不足の問題の一因にモンペママが絡んでいるようだ。

 恵美さん(仮名)は、中学生の頃からの夢が「保育士」だった。幼くして父親を亡くしたため、看護師として働いていた母親に育てられた。同じく看護師になるのも考えたが、卒業までに3〜4年かかる看護学校の学費なども考慮し、保育士の資格が取得できる2年制の専門学校に進学。「20歳で保育園に就職が決まったのですが、最初の1年はストレスで髪が抜け落ちたり、蕁麻疹が出たりしていました」と語る。

「就職する前に、宗教系の保育園にインターンシップ制度で働いていました。その園は、園長が厳しく教育方針が合ったお子さんが通っていたのでトラブルは少なかったんです。就職先の認証保育所は、小規模保育だったので3歳までの園児しか預かれなかったのですが、ビルのワンフロアくらいの広さの中で、乳児たちが泣きわめいて地獄でしたね」

 毎年、新年度の4月になると、子どもたちの情緒が不安定になるため1日中泣き止まないこともよくあるらしい。

「劣悪な職場環境だとは思わなかったんですけど、やはり窓も開けられないような部屋で延々と乳児たちが泣き叫ぶのは、聞いていて気が狂いそうになりました。入社してすぐに保育士さんが辞め、さらに1年で3人も自己都合で辞めていったんです。そんな保育士が一時的に足りない時に、野外保育の公園で遊んでいる男児が滑り台でケガをしてしまったんですが、それを伝え忘れてから、ママさんの態度が豹変しました」

 その後、そのママの言動はどんどんエスカレートしていった。

「受け渡しの時に、“肌着を後ろ前に着せられていた”から始まり、自分でひっかく癖のあるお子さんだったのですが“お前の抱っこの仕方が悪い”と怒られ、立ったまま20分、多いときで40分近くクレームを言われ続けたこともあります」

 ついには、連絡帳に書く内容についても、細かく指示をされるようになった。

「おむつを替えた回数、離乳食の量、ミルクの回数など記入漏れがあると怒り出すんです。給食の配膳が少ないと文句をつけられて、園長が臨時保護者会を開いて説明しました。そんなに大事な子どもだったら、自分で育ててほしいって思いました」

 あくまで保育園は、「日中働いていて、育児ができない両親に代わって、子どもを預かる」場所であり、親代わりではない。しかし、乳児が家で長時間泣いたり、思うようにミルクを飲まないなどの様子が見られると、「日中関わっている保育士が原因ではないか」と思い込んでしまう親もいるそう。忙しく働くことで、精神的な余裕がないワーママがモンペママ化してしまうのかもしれない。

 保育士が抱えるモンペママ問題とは反対に、保育園側がママたちにクレームを付けるケースもあるという。俗に“園ルール”と呼ばれる独自の決まり事があり、それに違反したママに注意が入るのだ。規律の厳しい園では、送迎時の親の寄り道は禁止のため、買い物袋を提げて迎えに行くのはNG。あくまで保育は、仕事などやむを得ない理由があって子どもを預かっているという建前のため、買い物などはもっての外だという。

 この園ルールは、入園前の説明会などでさらっと説明をして終わるだけの園もあるので、事前に、児童館や地域センターを利用し、地元で子育てを行うママ友ネットワークを駆使して、園の雰囲気を知ることが重要と言える。しかし、前情報を得ていたとしても、保育士だけでなく、“同じ園に通っているママさん”からルール違反を厳しくチェックされ、苦しむママが続出しているという。

「喫煙者なので、出社前に一服したいんです。最近は、禁煙の駅も多いので保育園の近くにあるタバコの販売所が喫煙所代わり。でも、送迎中のママさんに見られたみたいで“保育園を出たところでタバコを吸っている保護者がいます”と、園から配られるお知らせに書かれました」

 彼女は、受け入れ先の幅が広がる3歳を目安に、転園も考えている。

 モンペママの傾向に、「自分がルールを守っているのに、守っていない人がいるのが許せない」というのがあるようだ。ある保育園では、子どもが着ているものにまで、文句を言うママがいたという。4歳になる女児を持つ美穂さん(仮名)は「4歳になると、アニメやテレビの影響でスカートを穿きたがるんです。でも保育園のルールはズボンのみ。同じクラスに通う女の子で、スカートとパンツが一体型となった“スカッツ”を穿いている子がいたんですが、『本人や親に“スカートはルール違反ですよ”って言っても“これはスカートじゃなくてズボンだ”と言い張るので、園長から注意してもらった』と話していたママがいました。1人が許されると、全体がまねするからだそうです」と語る。

 まるで、厳しい公立中学の学区で起きた話のようだが、歴とした保育園に通うママ同士のトラブル。“保活”をしていると、子どもは、預け先が見つかるまでが地獄で、入ってしまえば天国のように錯覚してしまうが、そんなことはない。0歳児で入園すると、卒園までの6年間を過ごすことになる保育園では、なにごともなく、無事に卒園を迎えられるのは少数と言えるかもしれない。
(文=池守りぜね)

 

このニュースに関するつぶやき

  • 確かにそういう人いるけど、昔からいるでしょ。保育園だからとかじゃなく。保活にしてもあおりすぎ。
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