「紅天女」のラストが歌劇で明らかに、美内すずえ「全部書きました」

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2019年10月01日 19:18  コミックナタリー

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左から梅若実玄祥、美内すずえ、郡愛子。
美内すずえ「ガラスの仮面」を原作とした歌劇「紅天女」が、2020年1月11日〜15日まで東京・Bunkamuraオーチャードホールにて開催される。本日10月1日に本公演の制作記者発表会が同会場にて行われ、美内らが登壇した。

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1976年にスタートし、49巻までの累計発行部数が5000万部を超える「ガラスの仮面」の劇中作「紅天女」。大女優・月影千草のみが主役を演じることができる“幻の名作”として作中の重要な位置を占め、北島マヤと姫川亜弓が「紅天女」の主役の座を競い合う物語が展開されている。

歌劇「紅天女」は原作・脚本・監修を美内が担当する新作オペラ。主役の阿古夜×紅天女役は小林沙羅と笠松はる、仏師・一真役は山本康寛と海道弘昭がダブルキャストを務めるほか、帝、伊賀の局、楠木正儀といった役柄も2人のキャストが配置され、「ガラスの仮面」の“黒沼チーム”と“小野寺チーム”を彷彿とさせる2チーム編成で5日間の公演を行なっていく。作曲は寺嶋民哉、演出は馬場紀雄が手がけ、特別演出振付として2006年の初演以降、能「紅天女」の公演を重ねる梅若実玄祥がクレジットされている。

美内とは20年来の知己だという、歌劇「紅天女」の総監督・郡愛子は「1995年頃に舞踏家の方が『紅天女』が素晴らしいのでぜひ踊りたい、ということで美内さんが魂のこもった詩をお書きになり、寺嶋さんがスケールの大きな音楽で『紅天女』をテーマにした20分ほどのアリアをお作りになって。2017年に『ガラスの仮面』の原画展をなさったとき、そのCDが復刻されたんです。そのときに美内さんに『オペラにするしかないでしょ』と言ったら『それもそうよね』と言っていただいて、オペラが実現しました」と語る。またタイトルに“スーパーオペラ”と冠した本作について「スーパーオペラってなんだと思うかもしれませんが、大人気なマンガ作品とオペラのコラボレーション、しかも今回はグランド・オペラということでかつてない企画。美内さん自身が脚本をお書きになり、日本アカデミー賞優秀音楽賞を取られた寺嶋さんが初めてオペラを作曲され、梅若先生が振り付けされ、石笛の第一人者でいらっしゃる横澤(和也)さんが出演してくださって、今までになかった新しいオペラの誕生ということで、スーパーオペラとつけさせていただきました」と宣言した。

美内は「40巻で『紅天女』の内容をけっこう詳しく描いております。でも、『紅天女』のラストは描いてない。40巻で描いて果たしていいものかという思いと、全部見せるのは良くないのではという思いがあって、わざと封印したんです。表現が変わるかもしれないというのも、理由のひとつ。『紅天女』の台本は20数年前に書き上がっていたんですが、地震や災害に関係するセリフをいっぱい書いていたんです。日本中のあちこちで災害が起こる現状で、それをそのまま出していいのかと考えてしまって……。でも、今回の歌劇『紅天女』で全部書きました。マンガが出版される前にネタばらしになってしまうということでドキドキしているんですが、歌劇を観ていただいて、物語をマンガでも読んでいただけたらと思っています」と、「紅天女」のストーリーがラストまでわかるという驚きの発言が。「ガラスの仮面」40巻では一真と阿古夜の2人がどうなったのか、山場の場面が伏せられているが「エピソードとかセリフとかは(歌劇の脚本に落とし込む中で)だいぶ削りましたし、マンガではセリフなど多少の入れ替えがあると思いますけど、歌劇でラストまでほぼ見せます」と、オペラ版でマンガより一足早く「紅天女」の全貌が明かされることがわかった。

阿古夜×紅天女役を務める小林は「小さい頃から舞台が大好きで、お芝居が大好きで、お芝居に足を運び、台本を買って何度も読んでその役になりきってみたり。そういうことをしょっちゅうしていたので、『ガラスの仮面』は私にとって大事な作品で、マヤに自分を重ねてみたり、何度も何度も読みました」と「ガラスの仮面」愛を明かした。さらに「オーディションがあると知ったときは絶対に受けなければと思い、全力をかけて受けました。そして台本が送られてきて、『紅天女』の物語の全容が明らかになり、読みながら泣いていることに気付きました。それくらい力のある作品です。人間、命、自然、万物の根幹を話しているような、そんな深い話でした。いままでは『ガラスの仮面』の中に出てくる作品として『紅天女』を考えていましたけど、きっと『紅天女』は劇中劇という枠を超えて、新しい古典になっていくと確信しました」と「紅天女」への感動を隠さない。また「阿古夜と紅天女の両方を演じなければならなくて、1人2役なのかと思いきやそうではなくて、勾玉の陰陽のようにくっついている、本当に難しい役です。台本を読んで、『ガラスの仮面』がこんなに長く続いて、でも誰が紅天女役をやるか月影先生が決められない理由がわかりました。いままでの経験を総動員して稽古に励んで、阿古夜と紅天女の仮面を、本物の仮面をかぶれるように精進したいと思います」と意気込んだ。

もう1人の阿古夜×紅天女役である笠松も「15歳のときに『ガラスの仮面』に出会ってから、作品の大ファンです」と微笑む。「普段はミュージカルや演劇の世界で仕事をしているので、今回は言ってみれば畑違い。最近はオペラとミュージカルの垣根も低くなってきましたが、ミュージカル界からオペラ作品にメインで出演するのはかなり珍しいパターンです。私は『ガラスの仮面』と出会った15歳で声楽を始めたので、ずっと愛してきたものが1つになったように感じています。紅天女は、演じるのがとても難しい役。とてもプレッシャーを感じますが、オペラという形で、歌の力を借りて演じることができる。畑違いの私だからできる表現を目指して、お稽古に励みます」と力強く語った。

美内はオペラの2チーム編成がマンガとシンクロしていることについて「もうびっくりしました! 笠松さんと小林さん、おふたりが並んでいる写真を見たときに、『え、どっち!? どっちがマヤ? 亜弓!?』って(笑)。この2人の切磋琢磨を見られることだけでもラッキーだと思っています。全く予期していませんでしたが、すごくいい展開だなと」と喜んでみせた。さらに50巻の進捗については「気に入らないところがあると、雑誌で連載したものを描き変えたりと描き下ろし状態でやっているものですから、単行本で出すときはこれ以上描き変えないぞというところまで煮詰めるんです。でも描き進めていますので、お待ちください」と期待を煽った。

歌劇「紅天女」のチケットはBunkamuraチケットセンター、チケットぴあ、イープラスほかにて販売中。美内と郡のトークイベントも各日開催される。

日本オペラ協会公演 スーパーオペラ 美内すずえ原作『ガラスの仮面』より歌劇「紅天女」 新作初演日程:2020年1月11日(土)〜1月15日(水)14:00開演
会場:東京都 Bunkamuraオーチャードホール

スタッフ原作・脚本・監修:美内すずえ
作曲:寺嶋民哉
総監督:郡愛子
指揮:園田隆一郎
演出:馬場紀雄
特別演出振付:梅若実玄祥

キャスト阿古夜×紅天女:小林沙羅、笠松はる
仏師・一真:山本康寛、海道弘昭
帝:杉尾真吾、山田大智
伊賀の局:丹呉由利子、長島由佳
楠木正義:岡昭宏、金沢平
藤原照房:渡辺康、前川健生
長老:三浦克次、中村靖
お豊:松原広美、きのしたひろこ
楠木正勝:斎木智弥、曽我雄一
こだま:飯嶋幸子、栗林瑛利子
しじま:古澤真紀子、杉山由紀
お頭:普久原武学、龍進一郎
お滝:鈴木美也子、佐藤恵利
久蔵(旅芸人):馬場大輝、望月一平
権左(旅芸人):嶋田言一、脇坂和
クズマ:照屋篤紀、清水実

合唱:日本オペラ協会
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
石笛:横澤和也
二十五弦筝:中井智弥

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  • まずは本編の完結をしといた方が良いと、和田慎二先生もおっしゃってるのではないでしょうか?
    • イイネ!4
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