JR西日本「トワイライトエクスプレス瑞風」乗車、展望デッキが人気

JR西日本は3日、「TWILIGHT EXPRESS(トワイライトエクスプレス)瑞風」に体験乗車する「鉄道ゼミナール」を実施した。報道関係者らを乗せた同列車は14時31分頃に網干総合車両所宮原支所を出発。大阪駅・三ノ宮駅などを経由し、姫路駅まで運行された。

「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」は大阪〜札幌間を走った寝台特急「トワイライトエクスプレス」の伝統と誇りを受け継ぐ新たな寝台列車として、2017年6月にデビュー。1泊2日の片道タイプ「山陰コース(下り・上り)」「山陽コース(下り・上り)」、2泊3日の周遊タイプ「山陽・山陰コース」の計5コースを運行している。

車両はハイブリッド方式を採用した10両編成。車体色の「瑞風グリーン」に金色のラインとエンブレムをあしらった。先頭車は流線形のデザインで、展望デッキを設け、運転席は往年のボンネット型をほうふつとさせる配置とするなど、斬新かつ懐かしさも感じさせる外観となっている。宮原支所を出発した「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」は、大阪駅に停車すると駅利用者の注目を集め、車両を撮影する人や、ホームから車内をのぞき込む人もいた。

運行中の最後部車両では、展望デッキに出て風を感じつつ、沿線の風景を眺めることもできる。展望デッキは利用者から非常に好評とのことで、今回の体験乗車でも人気が高く、ここから見える風景などを撮影する人が多かった。複々線区間で上り列車とすれ違い、下り列車を追い抜くシーンも迫力がある。三ノ宮駅を通過する際、ホームで列車を待つ駅利用者が「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」に手を振る姿も見られた。

新長田駅で鉄人28号のモニュメントが見え、須磨駅発車後は海岸沿いを走り、舞子駅を通過する前後で明石海峡大橋、明石駅を通過する手前で明石市立天文科学館の塔時計を眺める。姫路駅に近づくにつれて雨が強くなり、車窓から姫路城を見ることはできなかったが、普段の列車とはひと味違う豪華列車の旅を楽しめた。「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」は15時53分頃、姫路駅8番線ホームに到着。報道関係者らが降車した後、回送列車として網干方面へ向かった。展望デッキから列車長らが手を振り、参加者を見送った。

今回の体験乗車では、展望車や7号車の「ザ・スイート」が公開されたほか、「ロイヤルツイン」「ロイヤルシングル」も一部公開。5号車のラウンジカー、6号車の食堂車も公開された。乗車に先立ち、JR西日本 瑞風推進事業部長の岡田学氏による車両の概要説明が行われ、「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」が「美しい日本をホテルが走る。〜上質さの中に懐かしさを〜」のコンセプトの下、ホテル品質の実現にこだわっていると紹介された。
○■1人用個室「ロイヤルシングル」も「非常に人気」

1両1室の「ザ・スイート」について、「ホテル業界で言うスイートはエントランスがあり、リビングルーム、ベッドルーム、バスルームがそれぞれ独立しています。それを列車で実現しようとした結果、1両1室の空間が必要となりました」と岡田氏。車窓を楽しむことにもこだわり、「ロイヤルツイン」では大型窓を採用したほか、通路側の扉を開放することで、左右両側の車窓風景を眺望できるように工夫されている。どのコースでも客室内の窓から海が見えるように、行程ごとに車両の方向転換も行っているという。

1人用の個室「ロイヤルシングル」を設けたことも特徴のひとつ。岡田氏によれば、「このような価格帯の列車で、シングルが本当に需要があるのか。構想当時から危惧していたのですが、結果として多数のご利用があり、非常に人気の高いルームとなっています」「エキストラベッドを使い、2段ベッドを作ることもできます。これが鉄道ファンの方々から『ノスタルジーを感じる』と好評をいただいています」とのことだった。

「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」は2018年12月末の時点で運行本数135本、利用者数はのべ約3,800人。2019年3〜6月出発分の平均倍率は約7倍とされており、運行開始から1年半を経た現在も人気が続いている。中でも山陰コースの倍率が高く、「下りも上りも人気が高い。旅慣れたお客様でも、山陰は行ったことがないという方が多いかもしれないですね」と岡田氏は話す。現行の5コース以外での運行の可能性についても質問があり、「いまのところ具体的な計画はありませんが、リピーターのお客様を増やすために当然必要なことですし、今後考えたいと思います」と答えていた。（上新大介）