「民意を直接聞いて修正するのが民主主義」伊藤真弁護士、安保法めぐり政府を批判

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2015年10月06日 11:31  弁護士ドットコム

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日本弁護士連合会は10月3日、法の役割や重要性を考える「法の日週間」の一環として、イベント「戦後70年 今こそ憲法・平和を考えよう」を東京・霞が関の弁護士会館で開催した。


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イベントでは、5月に大腸がんで亡くなった俳優・今井雅之さん主演の映画「ウインズ・オブ・ゴッド」を上映。終了後は、同作品に出演し、俳優としても活躍する野元学二弁護士、伊藤真弁護士、経済アナリストの森永卓郎さんが登壇し、平和への思いを語った。



●「立憲主義をまるで無視した議論が展開された」


伊藤弁護士は、このほど衆議院で可決・成立した安保法について「政治家たちは、憲法を脇に置いて、『日本を取り巻く安全保障環境が急速に変化しているから、こういう法律を作らないといけない』と政策的な必要性ばかりを強調して、立憲主義をまるで無視した議論を展開した」と批判した。



また、世論調査などで、国民の理解が十分に得られていないことを示すデータもある中で、与党が安保法案を成立させたことについて、次のように述べた。



「もし、選挙で勝ったら何をしてもいいというのが民主主義なら、国会はいらない。選挙で政策を掲げて、選挙で勝った瞬間に何をやってもいいなら、それは専制政治だ。いくら国民から選ばれたとしても、審議をし、討論をして、民意を直接聞いて修正していく過程こそが民主主義だ」



●「今井さんの平和に対する思いは大きかった」


野元弁護士は、今井さんとともに「ウィンズ・オブ・ゴッド」の海外公演をした際の思い出を振り返り、今井さんの平和への思いを語った。



「(海外で『ウィンズ・オブ・ゴッド』を公演した際に)今井さんは最後にいつも『No more war』と言っていた。今井さんの平和に対する思いは相当大きかったのだと思う。『今の平和に対する感謝を忘れたときに、もう、戦後の現代ではなく、戦前にもどってしまう』と話していた。



私の祖父は戦争で亡くなった。私が『ウィンズ・オブ・ゴッド』で演じるに当たって、祖父の話を母から聞いた。(戦争を体験した世代が)自分の身近にいる、戦争体験を聞くという機会が減っていく状況の中で、どうやって、そうした経験を忘れないでいくかが大切だ」



また、森永さんは、バブル崩壊が世界中で繰り返されていることに触れ、政治の世界で「同じことが起こっている」と指摘した。



「経済の世界では、60年くらいのタイムラグをおいて、バブルが起きている。それは、世代が入れ替わって、(バブルの崩壊で)どれだけひどい目にあっても、体験をした人の声が届かなくなるからだ。今の政治もまさにそういう状況だ。戦中派の人たちが全員引退して、戦後に生まれた、戦争を知らない人が、威勢のいいことをいっている。その中でずるずると、戦争をしやすい仕組みに代わってきた」



(弁護士ドットコムニュース)


このニュースに関するつぶやき

  • 反対派の発言が日本の民主主義の根底をひっくり返しそうな話ばかりだな。自分たちの意見が通らないと見ると「少数派意見を取り入れろ」と騒ぐ。議会制民主主義とは違うよ。
    • イイネ!16
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