【発達障害児の3,000万円訴訟事件に学ぶ】 「特性を理解しない育て方」が将来子どもを犯人にする理由

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2016年07月20日 22:11  &Mama

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毎日のように起こる様々な事件。その中で加害者に対して「精神鑑定により社会性の問題がありコミュニケーションが苦手と分かった」といった記事を目にすることがあります。


今日は、『〈マンガとQ&Aで楽しくわかる〉1人でできる子になる テキトー母さん流 子育てのコツ』の著者の立石美津子が、実際に起こった事件と昨日の判決をもとにお話します。




■賠償金1,025万円!? 9階から飛び降りを強要した小学校の4年生の女児

2年生の女子が2013年、同じ小学校の4年生の女子児童に命じられてマンション屋上から飛び降り重傷を負ったとして、被害者の両親が4年生の女児の両親に3千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決がありました。


裁判長は4年生の女児の両親に監督義務があったと認め、約1,025万円の支払いを命じました。


判決によると4年生の女児は、2年生の女児が学校の前で縄跳びを振り回しているのを注意。さらに説教しようと9階建ての自宅マンションの屋上に連れて行き、「飛び降りろ。ここから落ちて死んでしまえ」と言って飛び降りを強要しました。


2年生の女児は木の枝に当たるなどして一命は取り留めましたが肋骨や足の骨などを折る約11週間の重傷を負いました。



■「広汎性発達障害」の子が起こした事件の判決内容



4年生の女児は重度の難聴で両親は専門のクリニックに通って育て方の指導を受けていました。事件後に社会性の乏しさなどがみられる広汎性発達障害と診断されました。


広汎性発達障害とは、症状の軽い人を含めると6.5%前後の割合でみられる発達障害の一つであり、自閉症・アスペルガー症候群・トゥーレット症候群・小児期崩壊性障害などが含まれます。


判決は、年齢や障害などを考慮して、4年生の女児に責任能力はなかったと判断。


その上で、両親の監督義務について「専門家に相談するなど子育てに相当の努力を払った」と認める一方、「他者が思い通りに動かないと怒りを持つ女児の傾向に気づいておらず、対応は不十分だった」として賠償責任を負うと判断しました。




■「育てにくい子の孤独な子育て」と事件によって追い込まれる親たち

こういう報道をされると、まるでアスペルガー症候群などの自閉症スペクトラムに代表される、発達障害児を持つ親は世間から「将来、そんな事件を起こす可能性がある子」という誤った偏見の目で見られることがあります。


ただでさえ育てにくい子の孤独な子育てで悩んでいるのに追い打ちをかけられ苦しみます。


確かに想像力、社会性の障害があるこれらの子どもたちはルールを忠実に守り、他者にもこれを求めてしまうことがあります。その場に応じた臨機応変な対応をが出来ず、融通がきかないところがあります。


例えば、見知らぬ人であっても横断歩道を赤で渡っている人、携帯電話を電車内でしている人を許すことができず、声を荒げて注意したりします。


それは本人にとっては正論なのです。でも、見知らぬ相手から叱られた人は、たいてい嫌な思いをします。



■育て方で未来は変わる

これらの特性を理解していれば、わが子に「知らない人がルール違反をしていても声をあげて注意するものではない」と教えていくこともできます。友人であってもルール違反の罰則を厳しくする方が誤っていることも教えることができました。専門機関でソーシャルスキルトレーニングを受けることもできます。


また、こんな調子で学校生活を送っていると“付き合いの悪いヤツ”と言われ親友を作ることもできずトラブルメーカーになることもあります。


そんなとき、親が障害特性を理解していれば「どうしてお前だけ皆とうまく付き合っていけないんだ!」と叱責することはなく「どうやったらいいのか」をアドバイスする姿勢で子育てができます。


そうでなければ、子どもは年中、親や先生から叱られ、友達もできず「自分は価値がない人間」と自暴自棄になり自己否定し、心の病を発症したり自傷したり、他害に走り事件を起こすケースになることもあります。


育て方により人間は狼にも天使にもなるのです。「事件後に発達障害だと診断された」という言葉に「なぜ、早く気が付いて適切な子育てに切り替えられなかったのか」となんともやりきれない気持ちになります。



いかがでしたか。


発達障害そのものが事件を起こすのではなく、その特性を理解しない育て方による二次障害(情緒や行動の問題、鬱、引きこもり、他害など)により引き起こされたことを理解してもらいたいと思います。


筆者は裁判長はそこに親の監督責任を見出し賠償を求めたのではないかと考えます。



【参考】


※ Ollyy、Suzanne Tucker/ Shutterstock


※ 小2に飛び降り強要、小4両親に1千万円賠償命令 – 朝日新聞


※ 『〈マンガとQ&Aで楽しくわかる〉1人でできる子になる 「テキトー母さん」流 子育てのコツ』



※ 『一人でできる子が育つ「テキトーかあさん」のすすめ』



【著者略歴】


※ 立石美津子・・・20年間学習塾を経営、現在は著者・講演家として活動。自閉症児の母。著書は『〈マンガとQ&Aで楽しくわかる〉1人でできる子になる 「テキトー母さん」流 子育てのコツ』『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』『「はずれ先生」にあたった時に読む本』『一人でできる子が育つ「テキトーかあさん」のすすめ』ほか多数。オフィシャルサイト http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/


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  • 病気じゃないから治りません。責任能力の無い者を野放しにしてはいけない。しかるべき施設に隔離するのが、本人・家族・社会のため。
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