「着るレントゲン」センサ内臓ウェア
画像はリリースより重い荷物を動かす仕事や立ちっぱなしの仕事、無理な姿勢をとりがちな仕事をしている人たちにとって、悩みのタネの1つが「腰痛」です。重度になると、仕事を続けられなくなったり、日常生活に支障が出たりといったことにもなりかねません。
北海道大学と株式会社ニコンは、着用するセンサ内臓ウェアを開発。作業中の腰の負荷をリアルタイムに計測できるようになりました。市販されている“腰痛防止ベルト”のような形状をしたこのウェアには、加速度センサと曲げセンサが内蔵されており、レントゲン撮影と同等の精度で腰椎形状の推定が可能。いわば「着るレントゲン」としての機能を実現しています。さらに、計測のみならず、各種計算や制御、データ保存も可能です。柔軟な素材でできていて273gと軽量なため、着用時の違和感もありません。
このウェアを作業者に着用してもらい腰の負担を計測。データを蓄積して分析することによって、危険姿勢を事前に警告するなど、労働環境の改善につなげられることが期待されています。
腰痛リスクの高い介護施設などで活用できる製品・サービス開発を推進
北海道大学は、高齢者を抱きかかえるなど、作業において腰の負担が大きいと言われている介護士を対象に実証実験を実施。長時間にわたって腰の負担を計測し、前屈姿勢時などに大きな負担が腰椎にかかっていることを確認しました。
同大では、今後、介護施設をはじめ労働現場で活用できるサービス・製品の開発を進めていくとしています。いつ、どのような作業でどれくらいの負担がかかるのかを把握できるようになれば、あらかじめ腰痛の原因となる危険姿勢を避けたり、最適な人員配置を検討したりすることができます。
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作業負担や疲労を軽減できるようになれば、離職率の低下にもつながるでしょう。少子高齢社会において、介護や物流業界などの人材不足が深刻となっていますが、このウェアを活用することで新しいソリューションが生まれることを期待したいと思います。(宮坂 方子)
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